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11章
有明の月 1
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「翠、そろそろ帰り支度をしよう。さぁこっちへ」
「んっ」
もう間もなく季節は師走。
宇治の山奥の朝は、冷え込んでいた。
こんな寒空の下で、翠を明け方近くまで執拗に抱いてしまったことを後悔したが、でも二人の躰を重ねている時は、不思議と少しも寒くなかった。
井戸水は使えるようだったので、俺は持って来た道具で簡単に火を起こし、タオルをぬるま湯で絞った。
翠はその様子を目を丸くして眺めている。
「へぇ流は本当に器用だね。そんなに簡単に火を起こせるなんて、すごいな」
心底驚いている様子が、無垢で可愛いものだ。
「まぁな、俺は寺の裏山でいろんなことしたをしているから」
「ふぅん……すごいんだな」
「いつだって翠の役に立つようにと思っていたから」
「……そうか」
このことは遠い昔、離婚した翠を再び月影寺に迎えた時、誓ったことだ。
翠の手となり足となり、今後の翠を支えていくのは俺だと誓った。だからどんな状況でも翠に快適に過ごしてもらえるように、翠の衣食住をいかなる状況でも支えられるようになろうと、ひたむきに努力してきた。
「さぁ、躰を拭こう。こんなベトベトでは帰れないだろう。沢山濡らしていたな」
少し揶揄うように、翠に告げてやった。
「なっ……流がしたことだ」
「さぁ部屋に入ろう」
「あっ」
恥ずかしそうに俯く翠の躰を、廃屋で一番温かそうな場所へと誘った。手際よく翠の衣類を剥いて、昨夜の情痕が深く残る裸身に、温かいタオルを当ててやる。
「温かいな。すごく気持ちいい」
翠もほっと安堵の溜息を漏らす。
念入りに首筋、胸元、腹にタオルをあてて俺がつけた汚れを落としてやる。そして立ったまま脚を開かせると、内股に白濁の汁がゆっくりと伝い降りてきた。
「あっ……」
翠もそのことに気がついて、躰を震わせ羞恥に震える。
「流っ……もういい。この先は自分で出来る! 」
涙目で訴える翠の言う事を、大人しく聞くはずがない。
「いいから、任せろ」
自分でも見境がないと思いつつ、翠の内股の奥に指をさしこんで掻き出してやる。こんなにも俺の出したモノで満ちていたのかと感動すら覚える瞬間だ。
あの宮崎旅行に行くまでは、翠の躰に触れることすら出来なかったのに……今はこんな部分を、俺に見せて開いてくれるなんて。
「あっ……嫌だ。もういいから……自分で」
流石に朝日に染まる明るい部屋で、こんなことをされるのは初めてなので翠も激しく抵抗した。だがその抵抗を押さえつけるように、俺は後処理に没頭した。
「んっ……ふっ……」
翠は感じるのを怖がるように唇をきゅっと噛みしめ、羞恥に震えながら瞼を閉じた。
「ほらっこれでもう大丈夫だ。すっきりしただろう? 他に気持ち悪いところはないか」
「うっ……流は……意地悪だ」
キッと俺を恨みがましく見つめるなよ。
そんな煽るような顔するなよ。
まややりたくなる。
****
着衣を整えた翠の肩に、もう一度ダウンをかけてやる。
「ありがとう。流は寒くないのか」
「あぁ火を使っているしな、ほらココアだ」
ふたりで朝飯代わりに沸かしたお湯でココアを飲んだ。興奮した体を静めるのには、丁度いい。そんな中……翠は何かを決心したような横顔だった。
「なぁ流、急いでこの廃屋の持ち主を調べてくれないか」
「何故だ?」
「墓を移したくて、ここに眠る人たちの墓を」
「そうか、月影寺にある、あの墓だな」
翠が言う通り、ここには俺達の曾祖父の弟が眠っている。
それから月影寺に眠る夕顔さんの息子の「夕凪」と恐らく彼の恋人の「信二郎」という人物の墓もある。
「僕が連れて帰る約束をしたから」
「あぁ俺もしたよ。この人たちを連れて帰ろう。俺達の寺に」
「んっ」
もう間もなく季節は師走。
宇治の山奥の朝は、冷え込んでいた。
こんな寒空の下で、翠を明け方近くまで執拗に抱いてしまったことを後悔したが、でも二人の躰を重ねている時は、不思議と少しも寒くなかった。
井戸水は使えるようだったので、俺は持って来た道具で簡単に火を起こし、タオルをぬるま湯で絞った。
翠はその様子を目を丸くして眺めている。
「へぇ流は本当に器用だね。そんなに簡単に火を起こせるなんて、すごいな」
心底驚いている様子が、無垢で可愛いものだ。
「まぁな、俺は寺の裏山でいろんなことしたをしているから」
「ふぅん……すごいんだな」
「いつだって翠の役に立つようにと思っていたから」
「……そうか」
このことは遠い昔、離婚した翠を再び月影寺に迎えた時、誓ったことだ。
翠の手となり足となり、今後の翠を支えていくのは俺だと誓った。だからどんな状況でも翠に快適に過ごしてもらえるように、翠の衣食住をいかなる状況でも支えられるようになろうと、ひたむきに努力してきた。
「さぁ、躰を拭こう。こんなベトベトでは帰れないだろう。沢山濡らしていたな」
少し揶揄うように、翠に告げてやった。
「なっ……流がしたことだ」
「さぁ部屋に入ろう」
「あっ」
恥ずかしそうに俯く翠の躰を、廃屋で一番温かそうな場所へと誘った。手際よく翠の衣類を剥いて、昨夜の情痕が深く残る裸身に、温かいタオルを当ててやる。
「温かいな。すごく気持ちいい」
翠もほっと安堵の溜息を漏らす。
念入りに首筋、胸元、腹にタオルをあてて俺がつけた汚れを落としてやる。そして立ったまま脚を開かせると、内股に白濁の汁がゆっくりと伝い降りてきた。
「あっ……」
翠もそのことに気がついて、躰を震わせ羞恥に震える。
「流っ……もういい。この先は自分で出来る! 」
涙目で訴える翠の言う事を、大人しく聞くはずがない。
「いいから、任せろ」
自分でも見境がないと思いつつ、翠の内股の奥に指をさしこんで掻き出してやる。こんなにも俺の出したモノで満ちていたのかと感動すら覚える瞬間だ。
あの宮崎旅行に行くまでは、翠の躰に触れることすら出来なかったのに……今はこんな部分を、俺に見せて開いてくれるなんて。
「あっ……嫌だ。もういいから……自分で」
流石に朝日に染まる明るい部屋で、こんなことをされるのは初めてなので翠も激しく抵抗した。だがその抵抗を押さえつけるように、俺は後処理に没頭した。
「んっ……ふっ……」
翠は感じるのを怖がるように唇をきゅっと噛みしめ、羞恥に震えながら瞼を閉じた。
「ほらっこれでもう大丈夫だ。すっきりしただろう? 他に気持ち悪いところはないか」
「うっ……流は……意地悪だ」
キッと俺を恨みがましく見つめるなよ。
そんな煽るような顔するなよ。
まややりたくなる。
****
着衣を整えた翠の肩に、もう一度ダウンをかけてやる。
「ありがとう。流は寒くないのか」
「あぁ火を使っているしな、ほらココアだ」
ふたりで朝飯代わりに沸かしたお湯でココアを飲んだ。興奮した体を静めるのには、丁度いい。そんな中……翠は何かを決心したような横顔だった。
「なぁ流、急いでこの廃屋の持ち主を調べてくれないか」
「何故だ?」
「墓を移したくて、ここに眠る人たちの墓を」
「そうか、月影寺にある、あの墓だな」
翠が言う通り、ここには俺達の曾祖父の弟が眠っている。
それから月影寺に眠る夕顔さんの息子の「夕凪」と恐らく彼の恋人の「信二郎」という人物の墓もある。
「僕が連れて帰る約束をしたから」
「あぁ俺もしたよ。この人たちを連れて帰ろう。俺達の寺に」
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