753 / 1,657
第2部 10章
引き継ぐということ 33
しおりを挟む
「欲しい……」
煽ったのは俺の方だが、いざ翠の口から強請るような言葉を聞くと、いたたまれないような、嬉しいような気持でドロドロになる。
穢れなき兄である翠を抱いたのは俺だ。
信じらないことに翠の方も、それを受け入れ俺に抱かれることを厭わない。
更にはこんな風に求めてくれる。
こんなことが現実に起こるなんて、夢のまた夢だった。
翠の窄まりを潤滑剤のジェルでたっぷり濡らし、俺のもう限界まで上り詰める寸前の屹立にもしっかりとつけた。翠の躰を傷つけるわけにはいかない。
「挿れるぞ」
「ん……」
目元を朱色に染め上げ、眼を瞑って頷く健気な姿。その顔をじっと眺めながら様子を伺いながら、自身を埋め込む。
「んっ」
挿入の瞬間はやはり苦しくきついようで、翠の閉じた瞼が震え唇をきゅっと横にきつく結ぶ。
余裕がない中でも、必死に理性を保って、翠のことを気遣いたい。
躰に負担を強いられているのは翠の方なのだから。
やがて俺が緩やかに動き出すと、多めに塗ったジェルが摩擦により卑猥な音をグチュグチュと立て始める。
それから翠の息遣いも微かに聞こえて来た。
堪え気味な呼吸は浅く速く……
そうか雨が止んだのか。
翠を抱く茶室は、今は静寂に包まれていた。
よく耳を澄ませば遠くに滝の音。
だが俺が聴きたいのは翠の声。
付け根まで挿入し見下ろせば、翠はその薄い胸を上下させ、艶やかに肌を染めていた。
あぁもう堪らないな。その顔は煽ってるのか。
俺が動きを止めたので、翠が目を開き不思議そうに見上げて来た。
その目は欲情に揺れ、俺だけの翠そのものだった。
「流……どうして…」
「動いて欲しいのか」
「なっ」
悔しそうに、それでいて欲しそうな表情を浮かる姿が可愛すぎて、俺の腕でギュッと掻き抱く。俺の胸と翠の胸を密着させ、速まる心臓の音を分け合って、優しいキスを何度も交わす。
濡れていく唇の端を舌で舐めとって擦るように愛撫してやる。下半身が繋がったままの翠は、うっとりとした表情を浮かべている。
その唇で啼けよ、啼いてくれ。
もっと……もっと求めていいか。
煽ったのは俺の方だが、いざ翠の口から強請るような言葉を聞くと、いたたまれないような、嬉しいような気持でドロドロになる。
穢れなき兄である翠を抱いたのは俺だ。
信じらないことに翠の方も、それを受け入れ俺に抱かれることを厭わない。
更にはこんな風に求めてくれる。
こんなことが現実に起こるなんて、夢のまた夢だった。
翠の窄まりを潤滑剤のジェルでたっぷり濡らし、俺のもう限界まで上り詰める寸前の屹立にもしっかりとつけた。翠の躰を傷つけるわけにはいかない。
「挿れるぞ」
「ん……」
目元を朱色に染め上げ、眼を瞑って頷く健気な姿。その顔をじっと眺めながら様子を伺いながら、自身を埋め込む。
「んっ」
挿入の瞬間はやはり苦しくきついようで、翠の閉じた瞼が震え唇をきゅっと横にきつく結ぶ。
余裕がない中でも、必死に理性を保って、翠のことを気遣いたい。
躰に負担を強いられているのは翠の方なのだから。
やがて俺が緩やかに動き出すと、多めに塗ったジェルが摩擦により卑猥な音をグチュグチュと立て始める。
それから翠の息遣いも微かに聞こえて来た。
堪え気味な呼吸は浅く速く……
そうか雨が止んだのか。
翠を抱く茶室は、今は静寂に包まれていた。
よく耳を澄ませば遠くに滝の音。
だが俺が聴きたいのは翠の声。
付け根まで挿入し見下ろせば、翠はその薄い胸を上下させ、艶やかに肌を染めていた。
あぁもう堪らないな。その顔は煽ってるのか。
俺が動きを止めたので、翠が目を開き不思議そうに見上げて来た。
その目は欲情に揺れ、俺だけの翠そのものだった。
「流……どうして…」
「動いて欲しいのか」
「なっ」
悔しそうに、それでいて欲しそうな表情を浮かる姿が可愛すぎて、俺の腕でギュッと掻き抱く。俺の胸と翠の胸を密着させ、速まる心臓の音を分け合って、優しいキスを何度も交わす。
濡れていく唇の端を舌で舐めとって擦るように愛撫してやる。下半身が繋がったままの翠は、うっとりとした表情を浮かべている。
その唇で啼けよ、啼いてくれ。
もっと……もっと求めていいか。
10
お気に入りに追加
443
あなたにおすすめの小説
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ
紅子
恋愛
私は充分に幸せだったの。私はあなたの幸せをずっと祈っていたのに、あなたは幸せではなかったというの?もしそうだとしても、あなたと私の縁は、あのとき終わっているのよ。あなたのエゴにいつまで私を縛り付けるつもりですか?
何の因果か私は10歳~のときを何度も何度も繰り返す。いつ終わるとも知れない死に戻りの中で、あなたへの想いは消えてなくなった。あなたとの出会いは最早恐怖でしかない。終わらない生に疲れ果てた私を救ってくれたのは、あの時、私を救ってくれたあの人だった。
12話完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
林檎を並べても、
ロウバイ
BL
―――彼は思い出さない。
二人で過ごした日々を忘れてしまった攻めと、そんな彼の行く先を見守る受けです。
ソウが目を覚ますと、そこは消毒の香りが充満した病室だった。自分の記憶を辿ろうとして、はたり。その手がかりとなる記憶がまったくないことに気付く。そんな時、林檎を片手にカーテンを引いてとある人物が入ってきた。
彼―――トキと名乗るその黒髪の男は、ソウが事故で記憶喪失になったことと、自身がソウの親友であると告げるが…。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる