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完結後の甘い話の章
『蜜月旅行 86』終わりは始まり
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「洋くんのは、これね」
「ありがとうございます」
「じゃあ一時間後に海に行こう。今日は部屋で水着に着替えて行こうな」
「あっはい」
部屋に戻ってから渡された売店の包みは開けることにした。ドアを開けると、一足先に部屋に戻っていた丈に出迎えられた。アイコンタクトを取った後、くるりと部屋へ戻ってしまう。
「あっはい……ええ、そうですか」
受話器を片手に誰かと話しているようだ。
誰だろう?朗らかな余所行きな声を出して。
「洋、悪かったな、どうした?」
「あっいや……その」
「あぁ病院に電話していたよ」
「そうか。大丈夫そうだった?」
「まぁなんとか……でも帰ったらしばらく当直が続くかもしれないが大丈夫か。この旅行のために代わってもらったから仕方がない。ところでいい水着を買ってもらえたか」
「うん、今回は翠さんのお見立てだから大丈夫だと思う。選んでもらったんだ。なんかこういうのって嬉しくなるね。誰かに俺が着るものを選んでもらうのって」
「おいおい、私が何度も選んであげたじゃないか。昔、会社帰りに電車に飛び乗って急に旅行したのを覚えているか、あの時だって洋の下着から何から何まで揃えたのは私だ」
「あっ!」
思わず赤面してしまった。あの時の丈は俺の躰に生クリームを塗って、それで机に押し倒し……駄目だ。この先は思い出すだけでも恥ずかしいことをされた。
「また行きたいな。ああいう突然の旅にも」
「でも、あれは……もうなしだぞ!」
「あれ?あぁそうか、あれか。あれは美味しかったよな」
余計なことを言ってしまった。丈が何かたくらんだような笑みを見せた。
「思い出さなくていいからっ。さぁもう着替えて海に行こうよ」
話を逸らそうと紙袋を開けて水着を取り出すと…その中身の形状に違和感を持った。
「えっええーー!?」
「なんだ?そんなに大声出して」
「うっ……」
思わず後ろ手に隠してしまう。
なっなんでまた……こんな淡い色合いのブリーフ型なんだよっ!
なんだかいろいろと透けそうな淡いイエローだし、タグにはしっかり「ローライズ ブリーフ型スイムウェア」と書いてある。
「いいから、見せてみろ」
「いやだっ」
さっきの話じゃ、膝丈の躰のラインが目立たないのにしようってなっていたはずなのに、翠さんに裏切られた気分だよ。丈を避け、思わず翠さんの部屋に駆け込むと。
「ん?洋くん、どうしたんだい?そんなに慌てて」
翠さんが上はリネンシャツのままズボンだけ脱いで、俺の水着の色違いを着用していた。しかも流さんがその様子をご満悦そうに眺めている。
「えー」
「あっごめん。なんか売店の女性が僕に似合うって言うから、こっちにしてしまったんだ。だから僕に似ていると言われた洋くんにも色違いを選んでもらったよ。どうかな、気に入った?」
「うっ」
翠さんは、何というか独特だ。異常に恥ずかしがる時もあれば、堂々とこんな水着を着こなしちゃう時もある。これじゃ何も言い返せない。
「うっ……ありがとうございます」
すごすごと部屋に戻ってドアを閉めると、丈が近づいて来た。
「洋、いい水着買ってもらったな。まるで昨日海に流れたのが戻ってきたようじゃないか」
「馬鹿っ!もう言うな!」
「ほら試着してみよう」
そう言いながら、丈が俺のハーフパンツのボタンを外してくるんだから。あぁ本当にいやらしい手だ!
「んっいいって。自分で着替えるから」
「いいから」
「あっやめっ」
必死に手で押さえるのに、ズボンを器用に脱がされてしまう。これ以上触れられたら水着を着るのに差し障りが出るんだよ!器用に腰のラインを撫でられ、ゾクゾクっとしてしまう。
「洋、少しだけ……新婚旅行も丸1日過ごせるのは今日で終わりなんだ」
そのままストンっとズボンが足元へ落ち、下着のゴムにも手をかけられる。
「んんっ」
更に着ていたTシャツの上から胸を撫でられる。弧を描くように何かを探すように撫でまわされて、困ってしまう。
「丈、それやめろ。その触り方……やらしっ」
「洋がやらしい気持ちになれるように触っているんだよ」
「あっ」
布越しに尖りを摘ままれ、腰が揺れた。布が擦れる度に、ぞくぞくしたものが駆け上がる。
「あっ!もう、だめだ」
プルンと自分のものに熱が集まり、固くなり始めたのを感じた。
「あぁ……洋、こんなにしたら、水着を着れなくなってしまうだろう」
「誰のせいだと……くっ」
丈の手がすかさず俺の下半身へ移動する。
こんな朝から立ったままなんて、しかも隣室には翠さんたちがいるのに。いろんなことが頭を過って集中できない。
声が出ちゃうし、絶対無理だ。
「丈っ丈……ここじゃ」
「ここじゃ嫌か?」
コクコクと頷くと、丈が偉く艶めいた表情を浮かべた。
「じゃあどこがいい」
「……」
「答えられないなら、ここでするか」
キュッと屹立を締め付けられ、思わず声が飛び出そうになった。丈がその声をキスで塞いでくれたから漏れずに済んだが、本当にここでは無理だ。
「あっ……もう無理だ。分かった……あそこがいい。あの貸切りの風呂場なら」
「残念だな。風呂は今日は予約で一杯で無理だそうだ」
「……っ……あ、あ…じゃあ…あの岩場は?」
「あそこなら空いている」
はぁ……まんまと乗せられた。中途半端な下半身をなんとか抑え込み、俺は再びあの岩場に向かう羽目になったというわけだ。
岩場に二人で腰かけ、昨日と何も変わらない青空と青い海を眺めている。でもこんな非日常的な時間ももう終わりが見えているから、俺もそれにのってしまうんだよな。
結局甘いのは丈か俺か……結局どちらもお互いに甘すぎるんだよなと思う。
「今日は絶対水着は死守するからな」
隣で悠然と海を眺めている丈に、はっきりと宣言した。
「ありがとうございます」
「じゃあ一時間後に海に行こう。今日は部屋で水着に着替えて行こうな」
「あっはい」
部屋に戻ってから渡された売店の包みは開けることにした。ドアを開けると、一足先に部屋に戻っていた丈に出迎えられた。アイコンタクトを取った後、くるりと部屋へ戻ってしまう。
「あっはい……ええ、そうですか」
受話器を片手に誰かと話しているようだ。
誰だろう?朗らかな余所行きな声を出して。
「洋、悪かったな、どうした?」
「あっいや……その」
「あぁ病院に電話していたよ」
「そうか。大丈夫そうだった?」
「まぁなんとか……でも帰ったらしばらく当直が続くかもしれないが大丈夫か。この旅行のために代わってもらったから仕方がない。ところでいい水着を買ってもらえたか」
「うん、今回は翠さんのお見立てだから大丈夫だと思う。選んでもらったんだ。なんかこういうのって嬉しくなるね。誰かに俺が着るものを選んでもらうのって」
「おいおい、私が何度も選んであげたじゃないか。昔、会社帰りに電車に飛び乗って急に旅行したのを覚えているか、あの時だって洋の下着から何から何まで揃えたのは私だ」
「あっ!」
思わず赤面してしまった。あの時の丈は俺の躰に生クリームを塗って、それで机に押し倒し……駄目だ。この先は思い出すだけでも恥ずかしいことをされた。
「また行きたいな。ああいう突然の旅にも」
「でも、あれは……もうなしだぞ!」
「あれ?あぁそうか、あれか。あれは美味しかったよな」
余計なことを言ってしまった。丈が何かたくらんだような笑みを見せた。
「思い出さなくていいからっ。さぁもう着替えて海に行こうよ」
話を逸らそうと紙袋を開けて水着を取り出すと…その中身の形状に違和感を持った。
「えっええーー!?」
「なんだ?そんなに大声出して」
「うっ……」
思わず後ろ手に隠してしまう。
なっなんでまた……こんな淡い色合いのブリーフ型なんだよっ!
なんだかいろいろと透けそうな淡いイエローだし、タグにはしっかり「ローライズ ブリーフ型スイムウェア」と書いてある。
「いいから、見せてみろ」
「いやだっ」
さっきの話じゃ、膝丈の躰のラインが目立たないのにしようってなっていたはずなのに、翠さんに裏切られた気分だよ。丈を避け、思わず翠さんの部屋に駆け込むと。
「ん?洋くん、どうしたんだい?そんなに慌てて」
翠さんが上はリネンシャツのままズボンだけ脱いで、俺の水着の色違いを着用していた。しかも流さんがその様子をご満悦そうに眺めている。
「えー」
「あっごめん。なんか売店の女性が僕に似合うって言うから、こっちにしてしまったんだ。だから僕に似ていると言われた洋くんにも色違いを選んでもらったよ。どうかな、気に入った?」
「うっ」
翠さんは、何というか独特だ。異常に恥ずかしがる時もあれば、堂々とこんな水着を着こなしちゃう時もある。これじゃ何も言い返せない。
「うっ……ありがとうございます」
すごすごと部屋に戻ってドアを閉めると、丈が近づいて来た。
「洋、いい水着買ってもらったな。まるで昨日海に流れたのが戻ってきたようじゃないか」
「馬鹿っ!もう言うな!」
「ほら試着してみよう」
そう言いながら、丈が俺のハーフパンツのボタンを外してくるんだから。あぁ本当にいやらしい手だ!
「んっいいって。自分で着替えるから」
「いいから」
「あっやめっ」
必死に手で押さえるのに、ズボンを器用に脱がされてしまう。これ以上触れられたら水着を着るのに差し障りが出るんだよ!器用に腰のラインを撫でられ、ゾクゾクっとしてしまう。
「洋、少しだけ……新婚旅行も丸1日過ごせるのは今日で終わりなんだ」
そのままストンっとズボンが足元へ落ち、下着のゴムにも手をかけられる。
「んんっ」
更に着ていたTシャツの上から胸を撫でられる。弧を描くように何かを探すように撫でまわされて、困ってしまう。
「丈、それやめろ。その触り方……やらしっ」
「洋がやらしい気持ちになれるように触っているんだよ」
「あっ」
布越しに尖りを摘ままれ、腰が揺れた。布が擦れる度に、ぞくぞくしたものが駆け上がる。
「あっ!もう、だめだ」
プルンと自分のものに熱が集まり、固くなり始めたのを感じた。
「あぁ……洋、こんなにしたら、水着を着れなくなってしまうだろう」
「誰のせいだと……くっ」
丈の手がすかさず俺の下半身へ移動する。
こんな朝から立ったままなんて、しかも隣室には翠さんたちがいるのに。いろんなことが頭を過って集中できない。
声が出ちゃうし、絶対無理だ。
「丈っ丈……ここじゃ」
「ここじゃ嫌か?」
コクコクと頷くと、丈が偉く艶めいた表情を浮かべた。
「じゃあどこがいい」
「……」
「答えられないなら、ここでするか」
キュッと屹立を締め付けられ、思わず声が飛び出そうになった。丈がその声をキスで塞いでくれたから漏れずに済んだが、本当にここでは無理だ。
「あっ……もう無理だ。分かった……あそこがいい。あの貸切りの風呂場なら」
「残念だな。風呂は今日は予約で一杯で無理だそうだ」
「……っ……あ、あ…じゃあ…あの岩場は?」
「あそこなら空いている」
はぁ……まんまと乗せられた。中途半端な下半身をなんとか抑え込み、俺は再びあの岩場に向かう羽目になったというわけだ。
岩場に二人で腰かけ、昨日と何も変わらない青空と青い海を眺めている。でもこんな非日常的な時間ももう終わりが見えているから、俺もそれにのってしまうんだよな。
結局甘いのは丈か俺か……結局どちらもお互いに甘すぎるんだよなと思う。
「今日は絶対水着は死守するからな」
隣で悠然と海を眺めている丈に、はっきりと宣言した。
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