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完結後の甘い話の章
『蜜月旅行 80』明けゆく想い
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流の指がスイッチに触れた途端、ベッドボードの上の照明が光を真っすぐに放った。それはまるで暗闇に光る稲光のように衝撃的だった。
はっとして流のことを見上げると、天井から僕の躰をスポットライトのように照らす光を認めた。
「流……これじゃ」
そう……これでは躰の隅々まで暴かれてしまう。
流の視線を痛い位に感じてしまう。
「翠、見せてくれよ。翠の躰の隅々まで見たかった」
うっと言葉に詰まる。
昨日躰を繋げた時も死にたくなるほど恥ずかしいと思ったが、また違った意味で羞恥で動悸が激しくなり、震えてしまう。
「なぁいいだろう?俺がどんなに翠の躰を見たかったか知っているだろう」
「なっ……流と同じ男の躰だ。でも……その……流みたいに逞しくはないが……」
「可愛いこと言うなよ、翠。翠の躰だから見たいんだ」
あぁ……困った。弟の頼みはいつだって断れない。
こんな不埒な頼みだって、僕は言うがままだ。
流の手が帯を緩め袷から肩を剥かれば、待っていたとばかりに胸元に冷房の冷気がすっと降りて来る。そのまま裾も割られ、浴衣を左右に開かれる形になる。
「あっ……」
流は…僕にすぐに触れなかった。
視線だけが僕の躰を隈なく撫でるように辿っていくのを感じ、一際恥ずかしさが募り、ぎゅっと眼を瞑った。
「翠の躰……こうやってゆっくり見たかった」
僕の顔。
僕の胸。
僕の腹。
下腹部……太腿……足先まで、流の熱い視線はどんどん下がって来る。
「流……もう…もういいだろう。これは心許なくて、いやだ」
いやだと言いながらも、流にこの躰を渡したくなるのは何故だろう。昨夜初めて流に抱かれてから、僕の中の何かがせき止められなくなっている。
やがて流の手が僕の躰に優しく触れてきた。撫でるように触れたかと思うと、所々で動きが停止するのは何故だ。
「ここと…ここ…あっここにもある」
「……っ……何がだ?」
もどかしい動きに、じれったくなる。
「翠のホクロの場所だ。ふぅん……こんな所にもあるんだな」
しみじみと感慨深く囁かれれば、「そんな場所いちいち見るな!」と叫びたくなっていた抗う気持ちも、途端に消沈してしまう。
スポットライトのように自分の裸体が照らされる中、流が艶めいた表情で見下ろして来るなんて堪らない。
「流……もう満足しただろう?もう浴衣を着せてくれないか」
「まだだ」
今度は流の手が足を掴み、そのまま膝を胸元まで折り曲げられ左右に開かれてしまった。
「あっ!やめろっ!そんな部分までは駄目だっ」
流の逞しくて大きな手、長い指が内股をつーっと辿っていく。そんな敏感な部分を撫でられたら、力が入らない。
「やっぱり此処にもあったな」
そんな際どい行き止まり付近に、ホクロなんてあったのか。自分では普段見ない部分まで暴かれる。
「此処にあるような気がしていた」
「馬鹿!もういいだろう?気が済んだだろう?」
「しっ……翠、そんなに声を出しては駄目だ」
「うっ……」
そうだった。リビングを挟んで向こうの部屋からは、まだテレビの音と時折話声が聴こえていたのだ。
「翠から……このベッドにやって来たんだ。我慢しろ」
覆い被さるように天井の照明を遮っていた流の躰が、ふっとずれると、眩しい光に包まれてしまう。
そして何もかも、僕からも丸見えになってしまう。
流の姿を探し、僕の下腹部を見下ろすとその光景に唖然とした。
何もかも見えすぎて、あからさますぎて、居たたまれなかった。
僕は流に見られ触れられただけで、こんなになっていたのか。
性欲というものは少なく淡白な方だと思っていたのに、そんなもの煩悩だと思っていたのに……昨日の今日でこの有様なんて、そのことに呆然としてしまった。
「翠のここ、気持ち良くなっているな。まだほんの少し触れただけなのに」
「それは……言うな」
はっとして流のことを見上げると、天井から僕の躰をスポットライトのように照らす光を認めた。
「流……これじゃ」
そう……これでは躰の隅々まで暴かれてしまう。
流の視線を痛い位に感じてしまう。
「翠、見せてくれよ。翠の躰の隅々まで見たかった」
うっと言葉に詰まる。
昨日躰を繋げた時も死にたくなるほど恥ずかしいと思ったが、また違った意味で羞恥で動悸が激しくなり、震えてしまう。
「なぁいいだろう?俺がどんなに翠の躰を見たかったか知っているだろう」
「なっ……流と同じ男の躰だ。でも……その……流みたいに逞しくはないが……」
「可愛いこと言うなよ、翠。翠の躰だから見たいんだ」
あぁ……困った。弟の頼みはいつだって断れない。
こんな不埒な頼みだって、僕は言うがままだ。
流の手が帯を緩め袷から肩を剥かれば、待っていたとばかりに胸元に冷房の冷気がすっと降りて来る。そのまま裾も割られ、浴衣を左右に開かれる形になる。
「あっ……」
流は…僕にすぐに触れなかった。
視線だけが僕の躰を隈なく撫でるように辿っていくのを感じ、一際恥ずかしさが募り、ぎゅっと眼を瞑った。
「翠の躰……こうやってゆっくり見たかった」
僕の顔。
僕の胸。
僕の腹。
下腹部……太腿……足先まで、流の熱い視線はどんどん下がって来る。
「流……もう…もういいだろう。これは心許なくて、いやだ」
いやだと言いながらも、流にこの躰を渡したくなるのは何故だろう。昨夜初めて流に抱かれてから、僕の中の何かがせき止められなくなっている。
やがて流の手が僕の躰に優しく触れてきた。撫でるように触れたかと思うと、所々で動きが停止するのは何故だ。
「ここと…ここ…あっここにもある」
「……っ……何がだ?」
もどかしい動きに、じれったくなる。
「翠のホクロの場所だ。ふぅん……こんな所にもあるんだな」
しみじみと感慨深く囁かれれば、「そんな場所いちいち見るな!」と叫びたくなっていた抗う気持ちも、途端に消沈してしまう。
スポットライトのように自分の裸体が照らされる中、流が艶めいた表情で見下ろして来るなんて堪らない。
「流……もう満足しただろう?もう浴衣を着せてくれないか」
「まだだ」
今度は流の手が足を掴み、そのまま膝を胸元まで折り曲げられ左右に開かれてしまった。
「あっ!やめろっ!そんな部分までは駄目だっ」
流の逞しくて大きな手、長い指が内股をつーっと辿っていく。そんな敏感な部分を撫でられたら、力が入らない。
「やっぱり此処にもあったな」
そんな際どい行き止まり付近に、ホクロなんてあったのか。自分では普段見ない部分まで暴かれる。
「此処にあるような気がしていた」
「馬鹿!もういいだろう?気が済んだだろう?」
「しっ……翠、そんなに声を出しては駄目だ」
「うっ……」
そうだった。リビングを挟んで向こうの部屋からは、まだテレビの音と時折話声が聴こえていたのだ。
「翠から……このベッドにやって来たんだ。我慢しろ」
覆い被さるように天井の照明を遮っていた流の躰が、ふっとずれると、眩しい光に包まれてしまう。
そして何もかも、僕からも丸見えになってしまう。
流の姿を探し、僕の下腹部を見下ろすとその光景に唖然とした。
何もかも見えすぎて、あからさますぎて、居たたまれなかった。
僕は流に見られ触れられただけで、こんなになっていたのか。
性欲というものは少なく淡白な方だと思っていたのに、そんなもの煩悩だと思っていたのに……昨日の今日でこの有様なんて、そのことに呆然としてしまった。
「翠のここ、気持ち良くなっているな。まだほんの少し触れただけなのに」
「それは……言うな」
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