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完結後の甘い話の章
『蜜月旅行 66』もう一つの月
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「翠……」
そう呼びかけても、もう翠からの返事はない。
何故なら……疲れ果てて意識を飛ばしてしまったのだから。
「翠、疲れたよな、ごめんな」
翠の躰を暖かいタオルで丁寧に拭いてやりながら、先ほどの情事をひとり反芻していた。
とうとうだ。二十年越しの想いが成就した。
振り返れば中学の時、翠に初めて欲情してから、こうなる日を夢見ていたのかもしれない。
でも決して叶うことはないとあきらめていた。
翠は俺の実の兄で、結婚もし子供も設けて……男の俺に躰を許してくれる日なんて絶対ないと荒れた時期もあった。
本当に、まさか叶う日がやってくるなんて思っていなかった。
憧れ続けた翠の中に、躰の一部を挿入した時、感極まって涙が滲んだ。
翠の方は、痛いと泣いてしまったので胸がつぶれる思いだった。
本当に心苦しかったが、もう後にはひけなかった。
そんな俺の心中を察してか、翠はすべてを許してくれた。
俺がその躰を開くことを許してくれたのだ。
やがて徐々に翠の方も馴染んで来たのか、艶めいた声をあげ出したので心底ほっとした。
俺は翠の声が好きだ。
いつも庭の掃除をしていると、仏間から翠の読経が聴こえてくる。
淀みなく流れる涼やかな声に聴き惚れてしまっていた。
だが涼しげな清楚な声もいいが、艶めいた声も聴いてみたい。
どんな風に啼くのか、聴きたい。
いつしかそんなやましい願望を持つようになっていた。
「ふっ……うっ…あっ…」
翠の緊張を解いてやろうと、胸を弄り、前を弄りとしているうちに、強張っていた躰も徐々に柔らかくなり、感じ出してくれたようだった。
良かった。最初は辛そうに眉根を寄せ涙をこぼし……痛がっていたので忍びなかった。
「翠……気持ちいいか」
「……うっ……」
まだ抵抗があるのだろう。素直に口に出せないようだが、その澄んだ目は明らかに潤み、喉からは聴いたことがないような声が上がるようになっていた。
翠の先端からは、とろりとした蜜も零れだしていた。翠を抱きかかえ前後に揺さぶりながら、高いところまで共に昇って行った。
「あっ……あ…」
嬌声が耳に届く。ひどく官能的だ。
「気持ちいいか」
「んっ……流、流」
もうイキそうだった。翠も俺も……
最後に抉るように大きく動かすと翠が達した。
続いて俺も、翠の中に大きく飛び込むように達した。
腕の中で、翠はか弱く震えていた。
疲れ果てたのか、もう夢現のような状態だった。
そんな翠に俺は口づけした。
「ありがとう……翠」
****
はっと目が覚めると、時計の針がもう朝の八時を指していた。
俺にしては酷い寝坊だ。
昨日は翠の処理をしてから、迷ったが自分のベッドで眠ったのだ。
朝を迎えるのが怖かった。
昨日のことが夢だったらどうしようか。
もし現実でも……翠の態度が変化していたら……
不安な気持ちで隣のベッドを恐る恐る見ると、そこには翠がいなかった。
「えっ?翠どこへ」
慌てて飛び起きた。
初めての行為を受け、まだ辛いはずなのに、一体どこへ。
翠のベッドの上にはメモ書きが残してあった。
…
大風呂に行ってくる。
…
はぁ……なんだってそんな場所まで。
まだ躰も辛いだろうに、無理して大風呂に行くことなんてないのに。
それに翠の裸体を、他の男も見ることを想像したら無性に腹が立った。
翠はやっぱり翠だ。
俺の気持ちなんて察してくれない。
俺も行く!
そう思いリビングへ通じるドアを勢いよく開けると、丈がソファに座っていた。
「流兄さん、おはようございます。珍しいですね。寝坊なんて」
****
志生帆 海です。
流と翠はとうとう昨夜結ばれました!!感無量です。でも、まだまだ前途多難のような。
北鎌倉に帰ったら二人はどんな態度で過ごすのか想像したりしています。
この二人のお話しはまだまだ続きます。よろしくお願いします。
そう呼びかけても、もう翠からの返事はない。
何故なら……疲れ果てて意識を飛ばしてしまったのだから。
「翠、疲れたよな、ごめんな」
翠の躰を暖かいタオルで丁寧に拭いてやりながら、先ほどの情事をひとり反芻していた。
とうとうだ。二十年越しの想いが成就した。
振り返れば中学の時、翠に初めて欲情してから、こうなる日を夢見ていたのかもしれない。
でも決して叶うことはないとあきらめていた。
翠は俺の実の兄で、結婚もし子供も設けて……男の俺に躰を許してくれる日なんて絶対ないと荒れた時期もあった。
本当に、まさか叶う日がやってくるなんて思っていなかった。
憧れ続けた翠の中に、躰の一部を挿入した時、感極まって涙が滲んだ。
翠の方は、痛いと泣いてしまったので胸がつぶれる思いだった。
本当に心苦しかったが、もう後にはひけなかった。
そんな俺の心中を察してか、翠はすべてを許してくれた。
俺がその躰を開くことを許してくれたのだ。
やがて徐々に翠の方も馴染んで来たのか、艶めいた声をあげ出したので心底ほっとした。
俺は翠の声が好きだ。
いつも庭の掃除をしていると、仏間から翠の読経が聴こえてくる。
淀みなく流れる涼やかな声に聴き惚れてしまっていた。
だが涼しげな清楚な声もいいが、艶めいた声も聴いてみたい。
どんな風に啼くのか、聴きたい。
いつしかそんなやましい願望を持つようになっていた。
「ふっ……うっ…あっ…」
翠の緊張を解いてやろうと、胸を弄り、前を弄りとしているうちに、強張っていた躰も徐々に柔らかくなり、感じ出してくれたようだった。
良かった。最初は辛そうに眉根を寄せ涙をこぼし……痛がっていたので忍びなかった。
「翠……気持ちいいか」
「……うっ……」
まだ抵抗があるのだろう。素直に口に出せないようだが、その澄んだ目は明らかに潤み、喉からは聴いたことがないような声が上がるようになっていた。
翠の先端からは、とろりとした蜜も零れだしていた。翠を抱きかかえ前後に揺さぶりながら、高いところまで共に昇って行った。
「あっ……あ…」
嬌声が耳に届く。ひどく官能的だ。
「気持ちいいか」
「んっ……流、流」
もうイキそうだった。翠も俺も……
最後に抉るように大きく動かすと翠が達した。
続いて俺も、翠の中に大きく飛び込むように達した。
腕の中で、翠はか弱く震えていた。
疲れ果てたのか、もう夢現のような状態だった。
そんな翠に俺は口づけした。
「ありがとう……翠」
****
はっと目が覚めると、時計の針がもう朝の八時を指していた。
俺にしては酷い寝坊だ。
昨日は翠の処理をしてから、迷ったが自分のベッドで眠ったのだ。
朝を迎えるのが怖かった。
昨日のことが夢だったらどうしようか。
もし現実でも……翠の態度が変化していたら……
不安な気持ちで隣のベッドを恐る恐る見ると、そこには翠がいなかった。
「えっ?翠どこへ」
慌てて飛び起きた。
初めての行為を受け、まだ辛いはずなのに、一体どこへ。
翠のベッドの上にはメモ書きが残してあった。
…
大風呂に行ってくる。
…
はぁ……なんだってそんな場所まで。
まだ躰も辛いだろうに、無理して大風呂に行くことなんてないのに。
それに翠の裸体を、他の男も見ることを想像したら無性に腹が立った。
翠はやっぱり翠だ。
俺の気持ちなんて察してくれない。
俺も行く!
そう思いリビングへ通じるドアを勢いよく開けると、丈がソファに座っていた。
「流兄さん、おはようございます。珍しいですね。寝坊なんて」
****
志生帆 海です。
流と翠はとうとう昨夜結ばれました!!感無量です。でも、まだまだ前途多難のような。
北鎌倉に帰ったら二人はどんな態度で過ごすのか想像したりしています。
この二人のお話しはまだまだ続きます。よろしくお願いします。
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