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完結後の甘い話の章
完結後の甘い物語 『蜜月旅行 40』
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【R18】
「本当は少し妬いた」
露天風呂の湯船の中で、丈に背後からすっぽりと抱きしめられた状態で、ぼそっと呟かれた。なんだかその様子が、拗ねた子どもみたいで可愛かった。
丈はクールで自分の感情を表には出さなかったのに、最近少し違ってきている。入籍をして一緒に暮らすようになってから、たまにこんな風に幼い子供のようなことを言う。
「うん……ごめん」
でも、もしも逆の立場だったら、俺も同じことを思っただろう。丈が小さな子供と奥さんに囲まれていたら、そんな光景を目の当たりにしたら、きっと耐えられない。
だから素直になれる。
「もしもあの時、会社の独身寮が空いていたら、洋は私が一人で暮らしていたテラスハウスにやってこなかっただろう。あの時私たちが出逢っていなかったら、何もかも今とは違っていたな」
「丈?違っていたら、俺はどうなっていたと?」
「それは普通に女性を愛し、さっきみたいに小さな子供の父親になって、その輪の中で笑っていただろう」
さらに苦し気に、丈が呟いた。
「……すごく似合っていて幸せそうに見えたんだ」
なんでそんな姿……俺の中で想像したこともないことだよ。俺は女性を愛したことはない。抱いたこともない。ずっと長い間……俺の躰は丈と出逢うことだけを求め、丈に抱かれることだけを待っていたのに。
過去からの願い通りに俺の初めてを丈に届けたかったから、頑なに守って生きて来た。
少しだけ、丈のネガティブな考えにイラっとしてしまった。
俺には丈しかいない。
最初から最後まで丈だけがいい。
「なんでそんなこと考えるんだよ。俺が信じられないのか」
「いや何故だろう。あまりにさっきの光景が自然に見えたせいだ」
「自然?俺はどう対応したらいいのか分からなくて、焦っていたんだよ」
「そうか」
「それに馬鹿だな。俺は丈のものだよ。遠い昔からの縁を考えれば、丈にだって分かるだろう。俺の躰の中に入って来てもいいのは、丈だけだ」
「ふっ洋、ずいぶん大胆に誘うようになったな」
「えっ?」
やばい……何かのスイッチを押してしまったようだ。
途端に元気づいた丈の息子がビンビンに勢いづいて、俺の尻付近にあたって来て焦ってしまった。
「あっ!丈っ……お前、反応が良すぎる!」
「洋が誘ったからだ」
「いや違う。今のは丈を励ますために言ったことで」
「どっちでもいい」
「あぁ……んっ駄目だって……まだ湯に…」
丈の大きな手のひらが背後からやってきて、俺の剥き出しの乳首を触り出した。
ゆらゆらと揺れる湯気の下で、丈の手がいやらしく蠢くのをじっと見ていると、俺の下半身にも徐々に熱い血が集まっていくのを感じた。
片方の手で乳首の突起をひっぱり、もう片方では乳輪の周りを優しくなぞられる。両方の乳首を執拗にいじられてしまえば、腰が揺れ出すのを知っている癖に。
「意地悪だ」
昼間も散々いじられたそこは、少しの刺激でピンと張り詰めてしまう。
「ふっ洋のここは、弾力があるな。押せば押し返してくるぞ」
「いちいちそんなこと口にするなよ。いつも丈はそうやって言葉で俺を苛めるんだから」
「それは言葉に敏感に反応する……洋が可愛いからだ」
「もうそれ以上、煽るなよ」
丈が俺の乳首を指で摘まんだり軽くひっぱったりを繰り返してくれば、俺の方もどんどん反応していってしまう。
丈の指先が気が付くと下半身の窄まりに触れていた。優しく縁を描くように入り口付近を行き来している。
「洋、どこでしたい?」
「ん……正直…湯の中は辛い」
昼間に岩場で繋いだばかりの躰は、まだ丈のものが入っているかのような違和感を持っていた。タフな丈と違い、体力のない俺にとっては、湯の中で抱かれるというのは、普段よりも重労働になることが分かっていた。
「そうだな、昼間に無理をさせたし、洋にこれ以上の負担をかけさせたくない。今日はここまでで、やめておくか」
丈、いいんだよ。
それでも裸で丈と向き合えば、抱いて欲しくなってしまうのは俺の方だ。俺は丈に欲情している。そう認めざる得ない状況だ。
「……そうじゃなくて、丈に抱いて欲しい」
「そうか、じゃあ」
目を細めた丈に、ぐいっと持ち上げられた。
「わっ!丈っ降ろせ!」
突然丈に横抱きにされて驚いた。この姿勢は……男のくせに、こうも軽々と丈に持ち上げられてしまうのが恥ずかしくて、未だに慣れない。
風呂からザバッと躰が浮かび、ぽたぽたと湯が滴る中、運ばれた先は、「月見台」だった。
「ここで……?」
離れの前庭に設置されていたのは、屋根のない床だけの※「月見台」だった。
湯上りの火照った躰のまま横たわり、月を仰ぎ見れる、とても優雅なものだ。
今宵はここで俺を抱くつもりか。
そう思うと、羞恥と期待で躰が震えてしまった。
****
※月見台……背がないベンチのような形状で、大人二人が横になれるほどの奥行きがある高床。
「本当は少し妬いた」
露天風呂の湯船の中で、丈に背後からすっぽりと抱きしめられた状態で、ぼそっと呟かれた。なんだかその様子が、拗ねた子どもみたいで可愛かった。
丈はクールで自分の感情を表には出さなかったのに、最近少し違ってきている。入籍をして一緒に暮らすようになってから、たまにこんな風に幼い子供のようなことを言う。
「うん……ごめん」
でも、もしも逆の立場だったら、俺も同じことを思っただろう。丈が小さな子供と奥さんに囲まれていたら、そんな光景を目の当たりにしたら、きっと耐えられない。
だから素直になれる。
「もしもあの時、会社の独身寮が空いていたら、洋は私が一人で暮らしていたテラスハウスにやってこなかっただろう。あの時私たちが出逢っていなかったら、何もかも今とは違っていたな」
「丈?違っていたら、俺はどうなっていたと?」
「それは普通に女性を愛し、さっきみたいに小さな子供の父親になって、その輪の中で笑っていただろう」
さらに苦し気に、丈が呟いた。
「……すごく似合っていて幸せそうに見えたんだ」
なんでそんな姿……俺の中で想像したこともないことだよ。俺は女性を愛したことはない。抱いたこともない。ずっと長い間……俺の躰は丈と出逢うことだけを求め、丈に抱かれることだけを待っていたのに。
過去からの願い通りに俺の初めてを丈に届けたかったから、頑なに守って生きて来た。
少しだけ、丈のネガティブな考えにイラっとしてしまった。
俺には丈しかいない。
最初から最後まで丈だけがいい。
「なんでそんなこと考えるんだよ。俺が信じられないのか」
「いや何故だろう。あまりにさっきの光景が自然に見えたせいだ」
「自然?俺はどう対応したらいいのか分からなくて、焦っていたんだよ」
「そうか」
「それに馬鹿だな。俺は丈のものだよ。遠い昔からの縁を考えれば、丈にだって分かるだろう。俺の躰の中に入って来てもいいのは、丈だけだ」
「ふっ洋、ずいぶん大胆に誘うようになったな」
「えっ?」
やばい……何かのスイッチを押してしまったようだ。
途端に元気づいた丈の息子がビンビンに勢いづいて、俺の尻付近にあたって来て焦ってしまった。
「あっ!丈っ……お前、反応が良すぎる!」
「洋が誘ったからだ」
「いや違う。今のは丈を励ますために言ったことで」
「どっちでもいい」
「あぁ……んっ駄目だって……まだ湯に…」
丈の大きな手のひらが背後からやってきて、俺の剥き出しの乳首を触り出した。
ゆらゆらと揺れる湯気の下で、丈の手がいやらしく蠢くのをじっと見ていると、俺の下半身にも徐々に熱い血が集まっていくのを感じた。
片方の手で乳首の突起をひっぱり、もう片方では乳輪の周りを優しくなぞられる。両方の乳首を執拗にいじられてしまえば、腰が揺れ出すのを知っている癖に。
「意地悪だ」
昼間も散々いじられたそこは、少しの刺激でピンと張り詰めてしまう。
「ふっ洋のここは、弾力があるな。押せば押し返してくるぞ」
「いちいちそんなこと口にするなよ。いつも丈はそうやって言葉で俺を苛めるんだから」
「それは言葉に敏感に反応する……洋が可愛いからだ」
「もうそれ以上、煽るなよ」
丈が俺の乳首を指で摘まんだり軽くひっぱったりを繰り返してくれば、俺の方もどんどん反応していってしまう。
丈の指先が気が付くと下半身の窄まりに触れていた。優しく縁を描くように入り口付近を行き来している。
「洋、どこでしたい?」
「ん……正直…湯の中は辛い」
昼間に岩場で繋いだばかりの躰は、まだ丈のものが入っているかのような違和感を持っていた。タフな丈と違い、体力のない俺にとっては、湯の中で抱かれるというのは、普段よりも重労働になることが分かっていた。
「そうだな、昼間に無理をさせたし、洋にこれ以上の負担をかけさせたくない。今日はここまでで、やめておくか」
丈、いいんだよ。
それでも裸で丈と向き合えば、抱いて欲しくなってしまうのは俺の方だ。俺は丈に欲情している。そう認めざる得ない状況だ。
「……そうじゃなくて、丈に抱いて欲しい」
「そうか、じゃあ」
目を細めた丈に、ぐいっと持ち上げられた。
「わっ!丈っ降ろせ!」
突然丈に横抱きにされて驚いた。この姿勢は……男のくせに、こうも軽々と丈に持ち上げられてしまうのが恥ずかしくて、未だに慣れない。
風呂からザバッと躰が浮かび、ぽたぽたと湯が滴る中、運ばれた先は、「月見台」だった。
「ここで……?」
離れの前庭に設置されていたのは、屋根のない床だけの※「月見台」だった。
湯上りの火照った躰のまま横たわり、月を仰ぎ見れる、とても優雅なものだ。
今宵はここで俺を抱くつもりか。
そう思うと、羞恥と期待で躰が震えてしまった。
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※月見台……背がないベンチのような形状で、大人二人が横になれるほどの奥行きがある高床。
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