重なる月

志生帆 海

文字の大きさ
上 下
612 / 1,657
完結後の甘い話の章

完結後の甘い物語 『雨の悪戯 6』

しおりを挟む
【R18】

「んっ……丈…もう苦し…」

 躰の上に跨がせた洋が、眉をよせて苦悩の表情を浮かべている。その背中はしっとりと汗ばんで、絹のような輝いていた。

 色っぽいな。

 じっと観察するように、洋の美しい表情を眺めてしまう。

 ふっ、耳まで真っ赤になっているな。何度もこの体位で抱いているのに、未だに慣れないようだ。股に私のものがぴたりとあたっているのを、洋も敏感に感じ取っているのだろう。腰をもぞもぞと動かして恥ずかしそうにしている。

 私の方もそろそろ限界だ。

「洋……腰をそのまま落とせ」

「んあっ……無理っ」

 洋がぱっと目を見開いて腰をひいてしまったので、私の方が洋の腰に手をまわしぐっと引き寄せて誘導してやる。入り口にあたっていたものが、洋の躰の奥へと吸い込まれるように入っていく。

「あぁ……」

 洋が羞恥に震えている。その姿にまたいっそう煽られてまた大きくなってしまう。腰を揺らせば、洋の腰が跳ね一層大きな声を出してくれる。洋をもうなりふり構わない状態まで連れて行く。

 洋に乱れて欲しい、もっと溺れて欲しい。
 そんな気持ちで、一気に突き上げていく。

「丈っ……もう無理……駄目だ…」

 甘い懇願の中、二人で共に果てた。

「はぁはぁ……」

 荒い息遣いで汗をぐっしょりかいた洋が、私の胸にドサッと倒れ込んでくる。その背中に手をまわし、優しく抱き留めてやる。

「洋、頑張ったな」

「この姿勢は苦しいよ」

「じゃあ。今度は違う体位にしよう」

「えっ今日は一回だけっていったろう」

 可愛く文句をいう洋の乳首をぺろっと舐めあげると、洋が小さな悲鳴をあげる。

「やだっ、そこ触るな」

「まだだ、どうせ汗をこんなにかいたのだから、もう一度」

 今度は洋の上に私が四つん這いに跨って、洋の体を万遍なく愛撫していく。手で撫でて、敏感になって震える突起を摘まみ、甘噛みしたり指先ではじいたりすれば、果てたばかりの洋のものも、また息を吹き返したかのようにふるふると勃ちあがっていく。

「まだ出来そうだな」

「……丈は意地悪だ」

 そういいながらも洋も甘い笑みで抱きついてくる。

 洋とは何度躰を重ねても飽きることがない、
 魅力溢れる洋との営みに溺れているのは私だ。

 何度か絶頂を迎えた後、流石の私も疲れ果てて、二人で汗まみれで布団に横たわった。

「ふぅ……」

 耳を澄ませば、障子の向こうに雨音がする。次第に雨戸に吹き付けるように強くあたる音になっていく。

「丈……この音は雨?結構降っているね」

「あぁ月に暈がかぶっていたからな。今宵は嵐になるかもな」

「そうなんだ……はぁ疲れた」

 体力のない洋はまさに私によって抱き潰され、うつらうつらしだしていた。

「洋、まだ寝るな。シャワーを浴びにいかないと、そのままでは駄目だ」

「ん……眠い。この部屋にシャワーがあったらいいのに」

 ピカっ
 その時、部屋の中まで稲妻が届くような轟音がした。

「雷か」

「丈の言った通りだな。嵐が来るかも……ん……おやすみ」

「おい、まだ寝るな」

「シャワーは明日でいいよ」

「そんなことしたら、また具合が悪くなるだろう。さぁいこう」

「もう無理だ。動けない」

「しょうがないな。抱いていってやるから」

「それは無理だ。お兄さんたちに見られたら恥ずかしい」

 洋がギョッとした表情をした。

 雨は一層ひどくなってきている。
 雷も近づいているようだった。

 ドドドッー

 その時もう一度木造の家屋が揺れる程の轟音がした。

「わっ雷落ちたのか」

流石に洋も驚いて、天井を見上げた。

「そのようだな。部屋が壊れるかと思ったぞ」

「本当に驚いた」

 雷は遠のいて行ったが雨脚は強まるばかりだ。
 その時、顔にぽつぽつと水滴があたった。

「なんだ……これ?」



しおりを挟む
感想 54

あなたにおすすめの小説

忘れ物

うりぼう
BL
記憶喪失もの 事故で記憶を失った真樹。 恋人である律は一番傍にいながらも自分が恋人だと言い出せない。 そんな中、真樹が昔から好きだった女性と付き合い始め…… というお話です。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

別れの夜に

大島Q太
BL
不義理な恋人を待つことに疲れた青年が、その恋人との別れを決意する。しかし、その別れは思わぬ方向へ。

花いちもんめ

月夜野レオン
BL
樹は小さい頃から涼が好きだった。でも涼は、花いちもんめでは真っ先に指名される人気者で、自分は最後まで指名されない不人気者。 ある事件から対人恐怖症になってしまい、遠くから涼をそっと見つめるだけの日々。 大学生になりバイトを始めたカフェで夏樹はアルファの男にしつこく付きまとわれる。 涼がアメリカに婚約者と渡ると聞き、絶望しているところに男が大学にまで押しかけてくる。 「孕めないオメガでいいですか?」に続く、オメガバース第二弾です。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます

夏ノ宮萄玄
BL
 オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。  ――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。  懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。  義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。

僕は君になりたかった

15
BL
僕はあの人が好きな君に、なりたかった。 一応完結済み。 根暗な子がもだもだしてるだけです。

ゆい
BL
涙が落ちる。 涙は彼に届くことはない。 彼を想うことは、これでやめよう。 何をどうしても、彼の気持ちは僕に向くことはない。 僕は、その場から音を立てずに立ち去った。 僕はアシェル=オルスト。 侯爵家の嫡男として生まれ、10歳の時にエドガー=ハルミトンと婚約した。 彼には、他に愛する人がいた。 世界観は、【夜空と暁と】と同じです。 アルサス達がでます。 【夜空と暁と】を知らなくても、これだけで読めます。 随時更新です。

半分だけ特別なあいつと僕の、遠まわりな十年間。

深嶋
BL
 恵まれた家庭環境ではないけれど、容姿には恵まれ、健気に明るく過ごしていた主人公・水元佑月。  中学一年生の佑月はバース判定検査の結果待ちをしていたが、結果を知る前に突然ヒート状態になり、発情事故を起こしてしまう。  隣のクラスの夏原にうなじを噛まれ、大きく変わってしまった人生に佑月は絶望する。  ――それから数か月後。  新天地で番解消のための治療をはじめた佑月は、持ち前の明るさで前向きに楽しく生活していた。  新たな恋に夢中になっていたある日、佑月は夏原と再会して……。    色々ありながらも佑月が成長し、運命の恋に落ちて、幸せになるまでの十年間を描いた物語です。

処理中です...