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完結後の甘い話の章
完結後の甘い物語 『星の数だけ 3』
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母の熱い視線を感じた涼がパッとこっちを見たので、俺とばっちり目が合った。途端にハッとしたような表情を浮かべた後、とろけるような甘い笑顔でぺこりとお辞儀をしてくれた。
「安志さん!」
俺の名前を呼ぶ涼の声が好きだ。
いつもは明るくニコニコしている涼が、一瞬表情を引き締めたかと思うと、すぐに俺だけ見せる甘えた笑顔になっていく。その過程が俺だけの涼だと実感できる瞬間で好きなんだ。
人当たりがいい涼は、誰とでもすぐに打ち解けられるので、皆の人気者だ。
だが俺と付き合いだしてから、それだけじゃないんだってことに気が付いていた。いつもはリーダーシップをとる涼だけど、俺の前では結構甘えん坊なんだよな。そして独占欲も強いのかもしれない。俺は涼に甘えてもらうのが大好きだ。可愛くて可愛くて仕方がない。
「涼、こっち来いよ」
手招きすると涼が持っていたグラスを乗せたトレーを置いて、近づいて来た。
「まぁ安志ってば、気が利くじゃない。紹介してくれるの?」
母さんも何故か、至福の表情だ。
「……当たり前だよ」
大事な大事な涼だからな。
近づいてきた涼が少し恥ずかしそうに、母さんに向かって挨拶をした。
「こんにちは。以前はお邪魔しました。月乃 涼です」
「そうよね、涼くんだったわよね。あの時よりも更に恰好良くなって、あぁもう流石洋くんの従兄弟ねぇ」
「えっそんな」
「もうっそれに比べたら我が息子の垢抜けないこと」
栗毛色で健康そうに頬を染める涼と俺と涼を見比べて盛大な溜息をつく母さんを、どうにかしたい。
「そんなことないです!」
突然、涼が声を張り上げたので、こっちがたじろいでしまう。
「えっ!そっそうかしら?」
おいっまずいよ。涼あからさますぎだろう。それ!
母さんの方がたじろいでる。
「はい、あ……すいません、大きな声出して。その……安志さんはすごくカッコいいです」
「やだ。涼くんったら顔まで赤くして、でも嬉しいわ。実はね、洋くんがお嫁に行っちゃって、この子寂しがってるから、どうか仲良くしてあげてね」
「母さんっ!余計なこと言うなよ」
「あら、だって小さい頃から安志は、洋くんのことを大きくなったらお嫁さんにするって言っていたじゃないの」
「おいっ!それは洋のこと女の子だって間違えていた子供の頃の話だろ。もういいから、向こう行ってくれよっ」
「はいはい。じゃあちょっと化粧室に行ってくるわね」
やれやれ…きまり悪いな。
俺と母さんのやりとりを聞いていた涼が、びっくりした表情を浮かべていた。
こんな話聞いて、気を悪くしたんじゃないかと、恐る恐る聞いてみる。
「涼……怒ってない?」
「えっなんで?」
「いや…その」
「うーん洋兄さんやっぱり相当可愛かったんだね。小さい頃は、女の子と間違えられちゃうなんて」
「あ?あぁそうなんだよ。本当に幼稚園入る前は、ずっと女の子だって信じていてさ。可笑しいよな。頭でそう思い込むと、もうそうにしか見えなくてさ。それにしても可憐だったなぁ」
「ふーん……安志さん、鼻の下伸びてる!」
涼がいたずらな瞳で、俺の鼻を指ではじいた。その後耳元でこう囁いた。
「まぁ洋兄さんが可愛いのは僕も認めるけど、安志さんはもう僕だけのものだよ」
クスッと笑う涼の甘い笑顔は、小悪魔的な可愛さでクラっとした。
****
洋の国は居心地がいいな。
今日この場所に優也さんと一緒に参列出来て、本当によかった。
あの軽井沢の事件がなかったら、ここまで一気に優也さんと進めなかった。洋のおかげだ。洋が俺たちの背中を押してくれた。だから今は温かい気持ちでいっぱいだ。
寺の庭での披露宴……ガーデンパーティーか。いいもんだな。
木漏れ日が降り注ぐ中に、数えきれないほどの料理が並んでいて、俺と優也さんは皿を持って、少しづつ味わっていた。
「ほら、優也さんこのローストビーフ美味しそうだよ。皿貸して」
「あっうん。痛っ……」
あれ…やっぱり……なんか変だ。実はさっきから気になることがある。
それは優也さんが歩くたびに、少し腰を重そうにしていることだ。これってさ……この原因ってやっぱり俺だよな。昨夜はつい止まらなくて、大事な優也さんに負担をかけたかと思うと居たたまれない。
「優也さん、あのさ……立っているの辛くない?」
「ん?大丈夫だよ」
「いや、やっぱり座った方がいい。椅子を持って来るよ」
「なんで?」
「ごめん。さっきから腰をだるそうにしていて見ていられない。あー俺のせいだよな、昨夜あんなに求めて、ごめんっ」
途端に優也さんの顔が、火が付いたようにポンっと赤く染まった。
「か……Kaiくんっ、こ…声大きいっ」
「安志さん!」
俺の名前を呼ぶ涼の声が好きだ。
いつもは明るくニコニコしている涼が、一瞬表情を引き締めたかと思うと、すぐに俺だけ見せる甘えた笑顔になっていく。その過程が俺だけの涼だと実感できる瞬間で好きなんだ。
人当たりがいい涼は、誰とでもすぐに打ち解けられるので、皆の人気者だ。
だが俺と付き合いだしてから、それだけじゃないんだってことに気が付いていた。いつもはリーダーシップをとる涼だけど、俺の前では結構甘えん坊なんだよな。そして独占欲も強いのかもしれない。俺は涼に甘えてもらうのが大好きだ。可愛くて可愛くて仕方がない。
「涼、こっち来いよ」
手招きすると涼が持っていたグラスを乗せたトレーを置いて、近づいて来た。
「まぁ安志ってば、気が利くじゃない。紹介してくれるの?」
母さんも何故か、至福の表情だ。
「……当たり前だよ」
大事な大事な涼だからな。
近づいてきた涼が少し恥ずかしそうに、母さんに向かって挨拶をした。
「こんにちは。以前はお邪魔しました。月乃 涼です」
「そうよね、涼くんだったわよね。あの時よりも更に恰好良くなって、あぁもう流石洋くんの従兄弟ねぇ」
「えっそんな」
「もうっそれに比べたら我が息子の垢抜けないこと」
栗毛色で健康そうに頬を染める涼と俺と涼を見比べて盛大な溜息をつく母さんを、どうにかしたい。
「そんなことないです!」
突然、涼が声を張り上げたので、こっちがたじろいでしまう。
「えっ!そっそうかしら?」
おいっまずいよ。涼あからさますぎだろう。それ!
母さんの方がたじろいでる。
「はい、あ……すいません、大きな声出して。その……安志さんはすごくカッコいいです」
「やだ。涼くんったら顔まで赤くして、でも嬉しいわ。実はね、洋くんがお嫁に行っちゃって、この子寂しがってるから、どうか仲良くしてあげてね」
「母さんっ!余計なこと言うなよ」
「あら、だって小さい頃から安志は、洋くんのことを大きくなったらお嫁さんにするって言っていたじゃないの」
「おいっ!それは洋のこと女の子だって間違えていた子供の頃の話だろ。もういいから、向こう行ってくれよっ」
「はいはい。じゃあちょっと化粧室に行ってくるわね」
やれやれ…きまり悪いな。
俺と母さんのやりとりを聞いていた涼が、びっくりした表情を浮かべていた。
こんな話聞いて、気を悪くしたんじゃないかと、恐る恐る聞いてみる。
「涼……怒ってない?」
「えっなんで?」
「いや…その」
「うーん洋兄さんやっぱり相当可愛かったんだね。小さい頃は、女の子と間違えられちゃうなんて」
「あ?あぁそうなんだよ。本当に幼稚園入る前は、ずっと女の子だって信じていてさ。可笑しいよな。頭でそう思い込むと、もうそうにしか見えなくてさ。それにしても可憐だったなぁ」
「ふーん……安志さん、鼻の下伸びてる!」
涼がいたずらな瞳で、俺の鼻を指ではじいた。その後耳元でこう囁いた。
「まぁ洋兄さんが可愛いのは僕も認めるけど、安志さんはもう僕だけのものだよ」
クスッと笑う涼の甘い笑顔は、小悪魔的な可愛さでクラっとした。
****
洋の国は居心地がいいな。
今日この場所に優也さんと一緒に参列出来て、本当によかった。
あの軽井沢の事件がなかったら、ここまで一気に優也さんと進めなかった。洋のおかげだ。洋が俺たちの背中を押してくれた。だから今は温かい気持ちでいっぱいだ。
寺の庭での披露宴……ガーデンパーティーか。いいもんだな。
木漏れ日が降り注ぐ中に、数えきれないほどの料理が並んでいて、俺と優也さんは皿を持って、少しづつ味わっていた。
「ほら、優也さんこのローストビーフ美味しそうだよ。皿貸して」
「あっうん。痛っ……」
あれ…やっぱり……なんか変だ。実はさっきから気になることがある。
それは優也さんが歩くたびに、少し腰を重そうにしていることだ。これってさ……この原因ってやっぱり俺だよな。昨夜はつい止まらなくて、大事な優也さんに負担をかけたかと思うと居たたまれない。
「優也さん、あのさ……立っているの辛くない?」
「ん?大丈夫だよ」
「いや、やっぱり座った方がいい。椅子を持って来るよ」
「なんで?」
「ごめん。さっきから腰をだるそうにしていて見ていられない。あー俺のせいだよな、昨夜あんなに求めて、ごめんっ」
途端に優也さんの顔が、火が付いたようにポンっと赤く染まった。
「か……Kaiくんっ、こ…声大きいっ」
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⭐︎2023.4.24完結⭐︎
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