重なる月

志生帆 海

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第6章

贈り物 6

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【R18】

 さっきから安志さんからの胸への愛撫がひっきりなしに続いている。躰に変な熱がこもって、もう苦しくて堪らない。

 乳首を舐められたり吸われるという未知の体験に頭の中が真っ白になってしまう。舌先で尖ってしまった部分を突っつかれれば、それは途端に甘い疼きと快感となり、僕の躰の奥深くを翻弄してくる。

 安志さんの逞しい手で、布越しにやわやわと下半身をもみ込まれると、男性としての快楽にもう抗えなくなってしまった。

「はっ……うっ…」

 自分のものが次第に勃ち上がり、熱を持って張り詰めていくのが分かる。その形を安志さんの手が確認するように、なぞるように丁寧に触れてくる。

「綺麗だな」

 耳たぶを甘噛みされながら囁かれると、躰がぶるっと震える。気持ち良すぎて、震えてしまう。こんな快楽、僕は知らない。自分でするのと全然違う。

 安志さんは途中で何度も「大丈夫か」と優しく聞いてくれる。その手で上下に扱かれると、もう堪らない。

 もっと。もっと強く……いいところで引いていく波にもどかしさを感じ、とうとう自然と腰を揺らしてしまっていた。すると、パジャマと下着を一気に降ろされた。

「あっ……」

 僕は今、安志さんの腕の下にいて何も身に着けていない。産まれたままの姿をすべて見せるのは、同性同士でもかなり恥ずかしいものだ。

「涼……いいか。優しくするから……」

 安志さんが優しい言葉で囁いてくると、抗えず無我夢中で頷いていた。

「えっ! 」

 だが次の瞬間、安志さんが僕の脚の間に顔を埋めていることに気が付いて羞恥に震えた。

「あっ……そんな場所を」
 
 僕のものが安志さんの口の中にすっぽりと含まれている。

「なっ……」

 想像していたよりも早い展開に、パニックを起こしそうになる。

「嫌だ……もう離れてっ」

 恥ずかしくてずりずりと上に逃げようとしても腰を押さえつけられ、また快楽の波に捕まってしまう。

「もう……もう……ああっ」

 自分でも驚くほど先端から次々に溢れ出てくる蜜を、安志さんの温かい口腔へとじゅっと吸われた瞬間、もう我慢できなく、一番高いところまで一気に上りつめて弾けてしまった。

 僕の躰から出たものを、安志さんがぐっと吸い上げていく。

「あっ……」

 腰が震え、躰から汗が噴き出していった。

「あっ……安志さん。駄目だ。出してっ! 飲むなんて……そんなっ」

 必死に安志さんの肩を押しやろうとするが、聞き入れてもらえない。

 安志さんの喉がゴクッと鳴るのを聞いて、消え入りたい気持ちになった。だが今まで味わったことのない快楽にもう躰も心も持っていかれてしまう。

「涼、可愛い……本当に可愛い」

 安志さんは嬉しそうな顔をして、僕にまた覆い被さってくる。チュッチュッと今度は一転して軽いキスを口から躰中にまで、落としていく。

「涼、落ち着いた? 怖くないか」

 優しい眼で僕の汗ばんだ髪を指で梳きながら聞いてくれる。安志さんはこんな時でも常に僕を気遣ってくれ、本当に安心できる優しい人だ。

 僕の躰をぎゅっと抱きしめている。

 安志さんの鍛えられた男らしい香りに酔いそうだ。本当にこの人のことが大好きなんだという想いがじわっと込み上げてくる。

「安志さん……好きだよ。大丈夫だ。もっと深く抱いて欲しい」

 自然ともっともっと深く、僕の躰に安志さんを刻んで欲しくなっていた。だから思わず……そんな大胆なことを口に出してしまった。安志さんははっとした表情を浮かべ、確かめるように聞いてくる。


「涼、本当にいいのか? この先のこと分かっているのか」
「うん、安志さんとひとつになってみたい」
「涼……それ以上可愛いこと言うなよ。俺、もう我慢できなくなる」
「あっ……」

 ふと安志さんの張り詰めた下半身を見つめ、赤面してしまった。同時に男の僕の躰でこんなに感じてくれているということが嬉しくなった。

「安志さんの……大きい」
「うわっ涼、もう喋るな、出ちゃうだろ。その声、本当に危険だ!」

 安志さんは耐えるような表情を浮かべた。そして安志さんの指先がそろりと太腿を撫でながら徐々にあがってくる。行き止まりにある、そこを指先がかすめていく。

 誰にも触れさせたことのないそこは、今はまだ固く閉じている。

「ここ……だよな。指を入れてみてもいいか」

 かっと躰が熱くなる。指でほぐして……その後は……知識としては知っているが、これから先の未知の体験に再び心臓が早鐘の様にバクバクし出した。

「安志さん……もう……いちいち確認しないで……恥ずかしくなる」
「だが涼に痛い思いだけは、させたくないんだ」
「優しい…嬉しいよ。でも恥ずかしくてしょうがない」
「じゃあ……ちょっと待って」

 安志さんはベッドサイドの棚の引き出しを開けて、何かを取り出した。

「傷つけたくないから、これ使うよ」


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