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第4章
※安志編※ 太陽の欠片 18
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ーNew life 2ー
「安志さん、おはよう」
明るい声が俺に降り注ぐ朝だ。この声は心地良い。まるで鈴が転がるような優しい響きだ。
「んっ」
唇に暖かく柔らかおいしそうなものが触れて、俺ははっと飛び起きた! 眠たい目を擦りながら確認すると俺はソファで寝ていて、涼がふわっと微笑みながら覗き込んでいた。
「今、何かした? 」
「んっ……おはようのキスをしたよ」
涼ははにかみながら俯いて、みるみる頬を桃色に上気させていった。寝起きで髪が乱れているのが妙に生々しく色っぽい。俺が貸したTシャツは少し大きかったようで、涼の綺麗な鎖骨が露わになっている。
「お前な~それ反則だろっ」
まったくこんなにも可愛くあどけない顔をして。この小悪魔が……朝から俺を刺激しないでくれよ。ムラムラと湧き上がってくる欲求を抑え込むのに必死だ。
やれやれ……清純な顔に反して、たまにこうやって自分の方から誘うような行動をとってくる涼に、早速振り回されているな。
「安志さん、目が覚めた? 」
「あぁバッチリ覚めた」
「ふふっ安志さん今日は仕事だよね? 昨日はベッド占領しちゃってごめんね。ソファで寝たから躰痛くない? 次からはベッドで一緒に……」
「!!」
もぉ……ダメだ。
「……トイレ行ってくる」
涼の奴は年上の俺をからかっているのか、それとも無自覚なのか。朝からクラクラと眩暈がするぜ。
パンとコーヒーといった簡単な朝食を涼にも作ってやると、嬉しそうに美味しそうに食べてくれる。
「美味しいか。そんなに」
「うん!夢みたいだ。こうやって一緒に朝を迎えて、一緒に朝食を食べているなんて……安志さんありがとう。僕、日本に来てよかった」
「そうか……そんなに喜んでもらえるなんてな」
くるくるキラキラと変わる明るい表情をじっと見つめると、その美しさに吸い込まれそうだ。日焼けしてもあまり黒くならない健康的な肌色に栗色の柔らかな髪、茶色っぽい大きな瞳が眩しい位だよ。
涼は誰もが一度見たら忘れられない程の美しい顔で完璧な容姿なのに、人懐っこい笑顔を振りまくから、きっと向こうの高校でも男女問わず人気者だったろうな。
それは決してマイナスではなく涼にとってはプラスなことであって、涼本来の明るい太陽のような輝きを生み出している。この輝きを失わないように守ってやりたい。日本で始まる涼の大学生活が思い出深いものとなるように、そっとサポートしてやりたい。
「安志さん、僕も一旦家に戻るね。明日からの大学の準備をしないといけないし、荷物も届くし。今日は夜は空いてる?」
「あぁ大丈夫だよ」
「よかった! じゃあ今度は僕の家に遊びに来て。それまでに頑張って片づけておくから」
「おっおお……了解!」
なんだこの展開。
いや何も起こらないのは分かっているが、嬉しいものだな。
好きな人がいる。
大切にしたい人がいる。
守りたい人がいる
会いたい人がいるっていいもんだ。
「じゃあ行ってくるよ」
なんて爽やかな朝なんだ。大袈裟だが、新しい生活、いや新しい人生の始まりとでも言うのか……なるべく平静を装い、涼に見送られて部屋を出る。
「涼、部屋の鍵さ、そのままでいいから……持っていろ」
「あっうん! 安志さん、あの……これは僕の家のキー」
「えっいいのか? 」
驚いた。まだ会って間もないのに、涼からそこまで信頼してもらえていることが嬉しかった。
「うん! そのつもりで二つ用意したんだ」
「涼……ありがとう。嬉しいよ。じゃあ夜、寄るよ」
「いってらっしゃい」
ほんのり頬を染めながら、小さく手を振る初々しい涼のことが、いつまでも頭から離れない。駅のホームでポケットに手を突っ込むと、用意していたアクセサリーが入ったBOXがあった。
あっまずい。すっかり渡し忘れたな。これは涼をイメージして購入した太陽の欠片のような色の石を使ったシルバーのキーホルダーだ。華奢なネックレスやリングは涼に似合うと思ったが、恥ずかしくて結局買えなかった。
手のひらには、もらったばかりの涼の部屋の鍵。この鍵をつけて俺がこのまま持っていてもいいかもな。涼といつでも一緒にいられる気分になるから。
新しい朝
新しい1日
涼がいてくれることによって、どんどん色づいていく。
そんな新しい一歩を踏み出した。
「安志さん、おはよう」
明るい声が俺に降り注ぐ朝だ。この声は心地良い。まるで鈴が転がるような優しい響きだ。
「んっ」
唇に暖かく柔らかおいしそうなものが触れて、俺ははっと飛び起きた! 眠たい目を擦りながら確認すると俺はソファで寝ていて、涼がふわっと微笑みながら覗き込んでいた。
「今、何かした? 」
「んっ……おはようのキスをしたよ」
涼ははにかみながら俯いて、みるみる頬を桃色に上気させていった。寝起きで髪が乱れているのが妙に生々しく色っぽい。俺が貸したTシャツは少し大きかったようで、涼の綺麗な鎖骨が露わになっている。
「お前な~それ反則だろっ」
まったくこんなにも可愛くあどけない顔をして。この小悪魔が……朝から俺を刺激しないでくれよ。ムラムラと湧き上がってくる欲求を抑え込むのに必死だ。
やれやれ……清純な顔に反して、たまにこうやって自分の方から誘うような行動をとってくる涼に、早速振り回されているな。
「安志さん、目が覚めた? 」
「あぁバッチリ覚めた」
「ふふっ安志さん今日は仕事だよね? 昨日はベッド占領しちゃってごめんね。ソファで寝たから躰痛くない? 次からはベッドで一緒に……」
「!!」
もぉ……ダメだ。
「……トイレ行ってくる」
涼の奴は年上の俺をからかっているのか、それとも無自覚なのか。朝からクラクラと眩暈がするぜ。
パンとコーヒーといった簡単な朝食を涼にも作ってやると、嬉しそうに美味しそうに食べてくれる。
「美味しいか。そんなに」
「うん!夢みたいだ。こうやって一緒に朝を迎えて、一緒に朝食を食べているなんて……安志さんありがとう。僕、日本に来てよかった」
「そうか……そんなに喜んでもらえるなんてな」
くるくるキラキラと変わる明るい表情をじっと見つめると、その美しさに吸い込まれそうだ。日焼けしてもあまり黒くならない健康的な肌色に栗色の柔らかな髪、茶色っぽい大きな瞳が眩しい位だよ。
涼は誰もが一度見たら忘れられない程の美しい顔で完璧な容姿なのに、人懐っこい笑顔を振りまくから、きっと向こうの高校でも男女問わず人気者だったろうな。
それは決してマイナスではなく涼にとってはプラスなことであって、涼本来の明るい太陽のような輝きを生み出している。この輝きを失わないように守ってやりたい。日本で始まる涼の大学生活が思い出深いものとなるように、そっとサポートしてやりたい。
「安志さん、僕も一旦家に戻るね。明日からの大学の準備をしないといけないし、荷物も届くし。今日は夜は空いてる?」
「あぁ大丈夫だよ」
「よかった! じゃあ今度は僕の家に遊びに来て。それまでに頑張って片づけておくから」
「おっおお……了解!」
なんだこの展開。
いや何も起こらないのは分かっているが、嬉しいものだな。
好きな人がいる。
大切にしたい人がいる。
守りたい人がいる
会いたい人がいるっていいもんだ。
「じゃあ行ってくるよ」
なんて爽やかな朝なんだ。大袈裟だが、新しい生活、いや新しい人生の始まりとでも言うのか……なるべく平静を装い、涼に見送られて部屋を出る。
「涼、部屋の鍵さ、そのままでいいから……持っていろ」
「あっうん! 安志さん、あの……これは僕の家のキー」
「えっいいのか? 」
驚いた。まだ会って間もないのに、涼からそこまで信頼してもらえていることが嬉しかった。
「うん! そのつもりで二つ用意したんだ」
「涼……ありがとう。嬉しいよ。じゃあ夜、寄るよ」
「いってらっしゃい」
ほんのり頬を染めながら、小さく手を振る初々しい涼のことが、いつまでも頭から離れない。駅のホームでポケットに手を突っ込むと、用意していたアクセサリーが入ったBOXがあった。
あっまずい。すっかり渡し忘れたな。これは涼をイメージして購入した太陽の欠片のような色の石を使ったシルバーのキーホルダーだ。華奢なネックレスやリングは涼に似合うと思ったが、恥ずかしくて結局買えなかった。
手のひらには、もらったばかりの涼の部屋の鍵。この鍵をつけて俺がこのまま持っていてもいいかもな。涼といつでも一緒にいられる気分になるから。
新しい朝
新しい1日
涼がいてくれることによって、どんどん色づいていく。
そんな新しい一歩を踏み出した。
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