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第4章
※安志編※ 太陽の欠片 4
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涼と近くのホームセンターにやって来た。
「なぁ、家具をこんなところでいいのか」
「うん大丈夫だよ」
「分かった。じゃあまずは何から選ぼうか」
「うーんとやっぱりベッドかな」
「ベッド!!」
おいおい、なんだか赤面してしまう。いつかそのベッドで、なんて在らぬ妄想をしてしまう自分が恥ずかしい。
「安志さん、どうしたの? 」
「えっ!」
「ふふっ。ねぇやっぱりベッドは広い方がいいかな? 」
「あっ、えっと」
ベッド売り場の前で涼がそんなこと言い出すから、顔が火照ってしまう。
「じゃあこっちにしよう、ベッドは配送だって……あっそうだ、シーツとかもいるよな。どれがいいかな?この海みたいな濃いブルーのはどうだ?」
「いいと思う」
涼は嬉しそうにホームセンターのカートにシーツや枕カバーをどんどん積んでいった。そのまま歯ブラシやお風呂の道具などひとり暮らしに必要なものを選んでいく。こういうのって社会人になって独り暮らしを始めた時を思い出すな。涼の奴、ウキウキして楽しそうだ。彼はずっと親元にいたから、新鮮なのだろう。その気持ち分かる!
「あっこれも買おう!」
見ると色違いのマグカップだった。太陽のようなオレンジ色と、地中海の海のようなブルーのマグカップだ。
「安志さん、これって僕達みたいだ」
「オレンジが涼だな」
「安志さんはこの深いブルーだ」
まるで新婚さんのような買い物をして、俺の心臓はドキドキしっぱなしだ。涼の方もテンションが上がって来たのか、始終楽しそうにしていた。そんな表情を横で見ていると、さっきの暗い表情は気のせいだったのかと思えて来た。
荷物はすべて宅配にしてもらい手ぶらになったので、俺は涼を行きつけのビストロに連れて行ってやった。
「ほら、好きなだけ食べろよ」
「わぁ! いいの? ありがとう」
ハンバーグをおいしそうに頬張る涼の顔が可愛くて大満足だ。これからは日本でこんなことが出来ると思うと俺の頬も綻んでいく。
「大学はいつからだ? 」
「来週からだよ、九月入学だから」
「そうか。六月に高校を卒業して……俺と会ったのが七月の終わりだったな。八月は向こうで存分に楽しめたのか? 」
「……そうだね。みんなはそのままアメリカの大学に進む奴が多いから、そんなにお別れモードでもなかったけどね」
「そういえばサマーキャンプはどうだった? 涼の送別会も兼ねていたのだろう」
「……え……あぁうん、楽しかったよ」
少しだけトーンを落として涼が答えるのが気になった。まさか何かあったんじゃないよな? 心配になるじゃないか。
「涼……やっぱり何かあったのか。さっきから何となく元気がない気がする。もしかしてサマーキャンプで嫌なことがあったのか」
「いや大丈夫。時差ぼけで疲れが出てるんだよ。実は隣の人と喋り過ぎて、あまり寝てない」
ふんわりと微笑みながら、涼が心配しないでと机の下で手を握ってきた。全く可愛いことをするな。こっちは理性を保つのに必死なのに、お構いなしか。
「お前な~」
「ごめん、本当になんでもないから心配しないで」
「今日はもう早く帰って休めよ。疲れているのだろう」
「うん、でも安志さん……」
「なんだ? 」
「まだベッドも布団もないのに、何処で寝たらいいかな」
「はぁお前なっ。男だろ。床で寝ろ!」
「……床でなんて疲れが取れないよ。よかったら今日は安志さんの家に泊めてもらえると嬉しいけれども……」
「はっ? お前っ! それ無理っ! 」
「安志さん、何か怒ってる? 本当に駄目? 」
ははは……怒るも何も。どうしてこうも天使の顔をして悪魔のようなことを囁くのか。涼はまるで捨てられた猫のような眼で俺に訴えかけてくるし、おーい、この場合どうしたらいい?
「くそっ分かったよ。その代わり涼はソファで寝ろよ」
「ソファ?あっ……うんそうだね。安志さん……あの、僕、ごめん」
「何を謝る?」
「だって……まだ……その、覚悟が」
涼が小声で恥ずかしそうに呟いた。やっぱりそこだよな。涼が戸惑うのも無理ないよな。
「ストップ!飯がまずくなる。もういいよ。その話題は」
「安志さん……」
「涼、勘違いするな。俺はゆっくりでいいんだ。涼を急かすつもりはないから。俺達まだ実際に会うのは数回だ。安心しろ。これ以上は手は出さない」
「なんか……いろいろごめんなさい」
涼は申し訳なさそうに項垂れた。
本当はもう我慢できないと思ったが、俺は絶対に早まらない。
もう二度と間違いたくない。
己の感情のままに走っては駄目だ。
俺の想いは後回しでいい。
涼を怯えさせたくない。
涼の気持ちが一番大事なんだ。
「なぁ、家具をこんなところでいいのか」
「うん大丈夫だよ」
「分かった。じゃあまずは何から選ぼうか」
「うーんとやっぱりベッドかな」
「ベッド!!」
おいおい、なんだか赤面してしまう。いつかそのベッドで、なんて在らぬ妄想をしてしまう自分が恥ずかしい。
「安志さん、どうしたの? 」
「えっ!」
「ふふっ。ねぇやっぱりベッドは広い方がいいかな? 」
「あっ、えっと」
ベッド売り場の前で涼がそんなこと言い出すから、顔が火照ってしまう。
「じゃあこっちにしよう、ベッドは配送だって……あっそうだ、シーツとかもいるよな。どれがいいかな?この海みたいな濃いブルーのはどうだ?」
「いいと思う」
涼は嬉しそうにホームセンターのカートにシーツや枕カバーをどんどん積んでいった。そのまま歯ブラシやお風呂の道具などひとり暮らしに必要なものを選んでいく。こういうのって社会人になって独り暮らしを始めた時を思い出すな。涼の奴、ウキウキして楽しそうだ。彼はずっと親元にいたから、新鮮なのだろう。その気持ち分かる!
「あっこれも買おう!」
見ると色違いのマグカップだった。太陽のようなオレンジ色と、地中海の海のようなブルーのマグカップだ。
「安志さん、これって僕達みたいだ」
「オレンジが涼だな」
「安志さんはこの深いブルーだ」
まるで新婚さんのような買い物をして、俺の心臓はドキドキしっぱなしだ。涼の方もテンションが上がって来たのか、始終楽しそうにしていた。そんな表情を横で見ていると、さっきの暗い表情は気のせいだったのかと思えて来た。
荷物はすべて宅配にしてもらい手ぶらになったので、俺は涼を行きつけのビストロに連れて行ってやった。
「ほら、好きなだけ食べろよ」
「わぁ! いいの? ありがとう」
ハンバーグをおいしそうに頬張る涼の顔が可愛くて大満足だ。これからは日本でこんなことが出来ると思うと俺の頬も綻んでいく。
「大学はいつからだ? 」
「来週からだよ、九月入学だから」
「そうか。六月に高校を卒業して……俺と会ったのが七月の終わりだったな。八月は向こうで存分に楽しめたのか? 」
「……そうだね。みんなはそのままアメリカの大学に進む奴が多いから、そんなにお別れモードでもなかったけどね」
「そういえばサマーキャンプはどうだった? 涼の送別会も兼ねていたのだろう」
「……え……あぁうん、楽しかったよ」
少しだけトーンを落として涼が答えるのが気になった。まさか何かあったんじゃないよな? 心配になるじゃないか。
「涼……やっぱり何かあったのか。さっきから何となく元気がない気がする。もしかしてサマーキャンプで嫌なことがあったのか」
「いや大丈夫。時差ぼけで疲れが出てるんだよ。実は隣の人と喋り過ぎて、あまり寝てない」
ふんわりと微笑みながら、涼が心配しないでと机の下で手を握ってきた。全く可愛いことをするな。こっちは理性を保つのに必死なのに、お構いなしか。
「お前な~」
「ごめん、本当になんでもないから心配しないで」
「今日はもう早く帰って休めよ。疲れているのだろう」
「うん、でも安志さん……」
「なんだ? 」
「まだベッドも布団もないのに、何処で寝たらいいかな」
「はぁお前なっ。男だろ。床で寝ろ!」
「……床でなんて疲れが取れないよ。よかったら今日は安志さんの家に泊めてもらえると嬉しいけれども……」
「はっ? お前っ! それ無理っ! 」
「安志さん、何か怒ってる? 本当に駄目? 」
ははは……怒るも何も。どうしてこうも天使の顔をして悪魔のようなことを囁くのか。涼はまるで捨てられた猫のような眼で俺に訴えかけてくるし、おーい、この場合どうしたらいい?
「くそっ分かったよ。その代わり涼はソファで寝ろよ」
「ソファ?あっ……うんそうだね。安志さん……あの、僕、ごめん」
「何を謝る?」
「だって……まだ……その、覚悟が」
涼が小声で恥ずかしそうに呟いた。やっぱりそこだよな。涼が戸惑うのも無理ないよな。
「ストップ!飯がまずくなる。もういいよ。その話題は」
「安志さん……」
「涼、勘違いするな。俺はゆっくりでいいんだ。涼を急かすつもりはないから。俺達まだ実際に会うのは数回だ。安心しろ。これ以上は手は出さない」
「なんか……いろいろごめんなさい」
涼は申し訳なさそうに項垂れた。
本当はもう我慢できないと思ったが、俺は絶対に早まらない。
もう二度と間違いたくない。
己の感情のままに走っては駄目だ。
俺の想いは後回しでいい。
涼を怯えさせたくない。
涼の気持ちが一番大事なんだ。
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