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第4章
君を待つ家 5
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「そんなまさか……洋先生があのヨウ将軍の生まれ変わり? そんなの信じられない」
驚きで溢れた表情で、kaiが呟く。
「俺も最近だ。丈という相手と出会って、思い出した部分が多くて、まだあやふやだ」
「え……まさかジョウ!! ジョウって言ったのか、今! 」
ますますkaiの表情が青ざめていく。
「もしかして丈のことも何か知ってるのか」
「……少し話そう」
「あぁ」
歴代の王の墓が並ぶ緩やかな丘の芝生に、俺達は並んで腰かけた。二人の間を秋風が吹き抜けていく。爽やかな空気に頭がどんどん冴えていく。
「はぁ……参ったな。何から話せば良いのか」
「最初からゆっくり話してくれ」
「あぁつい最近知ったことだ。俺の先祖はこの国の昔の王様の武官だったそうだ」
「武官?」
「そしてその先祖が残した書物を俺の家では男の子が生まれたら、そのまた子供へと伝えるように言い伝えられていたそうで、俺もつい先日父に改まって呼ばれ、蔵の中にあった古びた重箱を見せられた所だった。まさか俺の代で本当に現れるなんて驚いた。信じられない」
「そうだったのか」
「洋先生がヨウ将軍と結びつく証拠がないのに、何故かすんなり信じられるんだ。本物だからなんだろうな。きっと」
そう言いながらkaiは苦い顔をした。
「詳しく教えてくれないか。俺はこの国で丈と俺の縁の由来を突き止めたい」
「ジョウって……まさかあのホテルの部屋の男がジョウか」
「あぁ……そうだよ」
どうやら、kaiの家の言い伝えには「丈」についても書かれているようだ。
****
久しぶりの実家だ。
俺はホテルマンとして就職してから勤務時間が不規則なため実家から通うのが大変なので、広大なホテルの敷地にある独身寮で暮らしている。
仕事を終え部屋に戻ったら留守番電話にメッセージが入っていた。
父さんから、近いうちに実家に来るように。大事な話があるとのことだった。だからオフを利用して実家へ戻って来た。
俺の家は古くから続く由緒ある家系を持つ旧家で、広大に敷地に立派な屋敷と古い蔵まである。ご先祖様が仕えていた武将からご下賜いただいた屋敷の名残だと言い伝えられている。まぁ本当かどうだかは分からないが。
「父さんただいま」
「お帰りkai」
「仕事はしっかりやっているか」
「はい」
「kai……お前ももうすぐ二十二歳になるな。我が家の言い伝え通りに、この書物をお前に見せる時が来た」
父は古びた重箱を机の上に置いた。鍵がついていて重々しい雰囲気を醸し出している。
「言い伝えって? 父さん……これは何ですか」
「お前のずいぶん前の先祖が残した書物だ」
「ずいぶん古びていますね。いつのものです?」
「八百年以上は前のものだと思うのだが…」
「そんなに昔のものが我が家に! よく受け継いで来れましたね。何が書かれているのですか。父さんも読んだのですか」
「うむ。kai……これから話すことは他言無用だ。心して聞いてくれ」
「一体何事です?」
突然突拍子もないことを言い出す、父の顔をまじまじと見つめてしまった。
驚きで溢れた表情で、kaiが呟く。
「俺も最近だ。丈という相手と出会って、思い出した部分が多くて、まだあやふやだ」
「え……まさかジョウ!! ジョウって言ったのか、今! 」
ますますkaiの表情が青ざめていく。
「もしかして丈のことも何か知ってるのか」
「……少し話そう」
「あぁ」
歴代の王の墓が並ぶ緩やかな丘の芝生に、俺達は並んで腰かけた。二人の間を秋風が吹き抜けていく。爽やかな空気に頭がどんどん冴えていく。
「はぁ……参ったな。何から話せば良いのか」
「最初からゆっくり話してくれ」
「あぁつい最近知ったことだ。俺の先祖はこの国の昔の王様の武官だったそうだ」
「武官?」
「そしてその先祖が残した書物を俺の家では男の子が生まれたら、そのまた子供へと伝えるように言い伝えられていたそうで、俺もつい先日父に改まって呼ばれ、蔵の中にあった古びた重箱を見せられた所だった。まさか俺の代で本当に現れるなんて驚いた。信じられない」
「そうだったのか」
「洋先生がヨウ将軍と結びつく証拠がないのに、何故かすんなり信じられるんだ。本物だからなんだろうな。きっと」
そう言いながらkaiは苦い顔をした。
「詳しく教えてくれないか。俺はこの国で丈と俺の縁の由来を突き止めたい」
「ジョウって……まさかあのホテルの部屋の男がジョウか」
「あぁ……そうだよ」
どうやら、kaiの家の言い伝えには「丈」についても書かれているようだ。
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久しぶりの実家だ。
俺はホテルマンとして就職してから勤務時間が不規則なため実家から通うのが大変なので、広大なホテルの敷地にある独身寮で暮らしている。
仕事を終え部屋に戻ったら留守番電話にメッセージが入っていた。
父さんから、近いうちに実家に来るように。大事な話があるとのことだった。だからオフを利用して実家へ戻って来た。
俺の家は古くから続く由緒ある家系を持つ旧家で、広大に敷地に立派な屋敷と古い蔵まである。ご先祖様が仕えていた武将からご下賜いただいた屋敷の名残だと言い伝えられている。まぁ本当かどうだかは分からないが。
「父さんただいま」
「お帰りkai」
「仕事はしっかりやっているか」
「はい」
「kai……お前ももうすぐ二十二歳になるな。我が家の言い伝え通りに、この書物をお前に見せる時が来た」
父は古びた重箱を机の上に置いた。鍵がついていて重々しい雰囲気を醸し出している。
「言い伝えって? 父さん……これは何ですか」
「お前のずいぶん前の先祖が残した書物だ」
「ずいぶん古びていますね。いつのものです?」
「八百年以上は前のものだと思うのだが…」
「そんなに昔のものが我が家に! よく受け継いで来れましたね。何が書かれているのですか。父さんも読んだのですか」
「うむ。kai……これから話すことは他言無用だ。心して聞いてくれ」
「一体何事です?」
突然突拍子もないことを言い出す、父の顔をまじまじと見つめてしまった。
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