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第4章
君を待つ家 4
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「先生がどうしてこの写真を? 」
「えっ! kaiくんこそ何故この写真のことを知って? 」
「だってこれは……この国の昔の重鎮、名将として有名なヨウ将軍の墓だ」
「えっ? この武将の名前はヨウっていうのか」
「あっそういえば先生と同じ発音だ。youって……」
「……」
思わず二人で顔を見合わせてしまった。
どうしてkaiがこの武将にこんなに過敏に反応したのか、その真意が分からない。彼はそんなに有名な武将だったのか。もしかしてkaiなら何か知っているかもと思い、もっと詳しく話して欲しいと思った。
「kaiくんっ、ここに何と書いてあるのか分かるか」
「ちょっと待って……先生は何故これに興味を持っている? どうしてこの武将に興味があるんだよ!」
「んっ……あぁちょっと知りたくて」
まさかいきなりヨウ将軍が、俺の前世の人物かもしれないとは言えないので、口を濁してしまう
「ここには凄く大事なことが書いてある。でも何も関係のない外国人のあなたに簡単には伝えられない!」
今までにないほどkaiが真剣な眼差しでむっとして言い返してきた。一体どうしたのか。こちらまでムキになってしまう。
「関係ないことはない。俺にとっても大事なことだ!」
「はっ? 意味が分からない」
プイっと席を立って、教室から出て行こうとするkaiのことを慌てて呼び止める。
「待ってくれ。kaiくん行くな!」
あっこのシーンは……急に頭がズキンと痛んだ。
「待って……君の名はkaiだよな」
急に頭の中に、その名前がぐるぐると渦を巻くように巡りだす。
kai、カイ……
この名前を俺は知っている。頭の中がモヤモヤしてしょうがない。
あそこに行けば、すっきり思い出すかもしれない。そう思ったので出て行こうとするkaiくんを引き止め誘った。
「kaiくん、今日のレッスンは野外にしよう。この武将の墓がある故宮に一緒に行ってくれ。何かを思い出すかも」
怪訝そうな意外そうな顔で、kaiは俺を見つめ返してきた。
「先生……思い出すって一体どういうこと?」
****
「話してくれよ。何故先生は、このヨウ将軍に関心を持っているのか」
「じゃあ俺も聞かせてくれ、何故kaiくんもこの武将に関心を?」
「それは……先生の理由が納得できるものだったら、俺もきちんと話すよ」
そんな理由で、二人は故宮にやってきた。
歴代の王が眠る墓標の並ぶ丘をゆっくりと歩いていく。
やっぱり……ゾクゾクするこの感じ。それは目を閉じれば、蘇る記憶があるからだ。
一歩足を踏み出す度に一つ思い出す。
どんどん蘇るヨウとしての記憶に困惑してしまう!
****
「カイ、お前に頼みがある。お前にしかこんなことを頼めない」
「なんだ? ヨウ、そんなに改まって」
「俺がもし死んだら、俺には家族がいないから家が途絶えてしまう。俺達が生きているこの世の次、そのまた次の世……もっともっと先になるかもしれないが、きっといつかオレの生まれ変わりが誕生するはずだ。そいつにきっとお前の子孫は出会うだろう。その時が来たらこの手紙を渡して欲しい。お前には家族がいる。どうか代々に伝えてくれないか。この手紙を守ってくれないか……お願いだ」
「ヨウ……そんなにも大事なものを何故俺に?」
「……お前だけが、ジョウ以外に全ての秘密を知ってるから」
「……」
「頼ってもいいか。どうか頼む」
※『悲しい月』より
****
俺は遠い昔……カイを従えて、この道を歩いた。
そうか、そうだったのか。
彼は俺の部下であり同僚であったカイだ。
遠い昔、信頼できる男に託した一通の手紙があった。
まさに今、運命が引き合わさるように、いつの間に出逢っていたkaiと俺。その手紙の行方をkaiは果たして知っているのだろうか。
恐る恐る告白する。
「君はかつての俺の部下であり同僚であったカイの子孫なのだろう? 俺は恐らくヨウの生まれ変わりだと思う。こう言えば、全て通じるか」
「なっ……何だって?」
ギョッとした顔で、kaiが俺のことを見つめた。
「えっ! kaiくんこそ何故この写真のことを知って? 」
「だってこれは……この国の昔の重鎮、名将として有名なヨウ将軍の墓だ」
「えっ? この武将の名前はヨウっていうのか」
「あっそういえば先生と同じ発音だ。youって……」
「……」
思わず二人で顔を見合わせてしまった。
どうしてkaiがこの武将にこんなに過敏に反応したのか、その真意が分からない。彼はそんなに有名な武将だったのか。もしかしてkaiなら何か知っているかもと思い、もっと詳しく話して欲しいと思った。
「kaiくんっ、ここに何と書いてあるのか分かるか」
「ちょっと待って……先生は何故これに興味を持っている? どうしてこの武将に興味があるんだよ!」
「んっ……あぁちょっと知りたくて」
まさかいきなりヨウ将軍が、俺の前世の人物かもしれないとは言えないので、口を濁してしまう
「ここには凄く大事なことが書いてある。でも何も関係のない外国人のあなたに簡単には伝えられない!」
今までにないほどkaiが真剣な眼差しでむっとして言い返してきた。一体どうしたのか。こちらまでムキになってしまう。
「関係ないことはない。俺にとっても大事なことだ!」
「はっ? 意味が分からない」
プイっと席を立って、教室から出て行こうとするkaiのことを慌てて呼び止める。
「待ってくれ。kaiくん行くな!」
あっこのシーンは……急に頭がズキンと痛んだ。
「待って……君の名はkaiだよな」
急に頭の中に、その名前がぐるぐると渦を巻くように巡りだす。
kai、カイ……
この名前を俺は知っている。頭の中がモヤモヤしてしょうがない。
あそこに行けば、すっきり思い出すかもしれない。そう思ったので出て行こうとするkaiくんを引き止め誘った。
「kaiくん、今日のレッスンは野外にしよう。この武将の墓がある故宮に一緒に行ってくれ。何かを思い出すかも」
怪訝そうな意外そうな顔で、kaiは俺を見つめ返してきた。
「先生……思い出すって一体どういうこと?」
****
「話してくれよ。何故先生は、このヨウ将軍に関心を持っているのか」
「じゃあ俺も聞かせてくれ、何故kaiくんもこの武将に関心を?」
「それは……先生の理由が納得できるものだったら、俺もきちんと話すよ」
そんな理由で、二人は故宮にやってきた。
歴代の王が眠る墓標の並ぶ丘をゆっくりと歩いていく。
やっぱり……ゾクゾクするこの感じ。それは目を閉じれば、蘇る記憶があるからだ。
一歩足を踏み出す度に一つ思い出す。
どんどん蘇るヨウとしての記憶に困惑してしまう!
****
「カイ、お前に頼みがある。お前にしかこんなことを頼めない」
「なんだ? ヨウ、そんなに改まって」
「俺がもし死んだら、俺には家族がいないから家が途絶えてしまう。俺達が生きているこの世の次、そのまた次の世……もっともっと先になるかもしれないが、きっといつかオレの生まれ変わりが誕生するはずだ。そいつにきっとお前の子孫は出会うだろう。その時が来たらこの手紙を渡して欲しい。お前には家族がいる。どうか代々に伝えてくれないか。この手紙を守ってくれないか……お願いだ」
「ヨウ……そんなにも大事なものを何故俺に?」
「……お前だけが、ジョウ以外に全ての秘密を知ってるから」
「……」
「頼ってもいいか。どうか頼む」
※『悲しい月』より
****
俺は遠い昔……カイを従えて、この道を歩いた。
そうか、そうだったのか。
彼は俺の部下であり同僚であったカイだ。
遠い昔、信頼できる男に託した一通の手紙があった。
まさに今、運命が引き合わさるように、いつの間に出逢っていたkaiと俺。その手紙の行方をkaiは果たして知っているのだろうか。
恐る恐る告白する。
「君はかつての俺の部下であり同僚であったカイの子孫なのだろう? 俺は恐らくヨウの生まれ変わりだと思う。こう言えば、全て通じるか」
「なっ……何だって?」
ギョッとした顔で、kaiが俺のことを見つめた。
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