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第3章
君の声 1
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「洋、起きなさい。今日から会社だろう」
「あっ……痛っ」
二晩連続で激しく抱かれたせいで躰が悲鳴をあげている。感じない躰で抱かれるので苦痛しか感じず、翌朝は酷い痛みが躰を苛んでいる。
ぼんやりと目を開けて、汚れた窓ガラスをベッドから眺めると、胸が押しつぶされるような悲しみが込み上げてきた。昨夜、嫌がる俺をあの人は無理矢理抱き続けた。最初は窓ガラスに俺を押し付けて、暗黒の世界が広がる窓の外を見せられながら、躰に無理矢理捩じ込まれる熱に苦しんだ。立っていられない程の痛みに耐えかねて、床に膝をつくとそのまま引きずられるように、ベッドへ移動させられた。
父が俺の上にいるのは何故だ。
執拗に躰を撫でられ、全身が濡れるほど舌を這わされ、乳首も痛いほど捏ねられ充血している。育ての親だった人に裸に剥かれ、脚を大きく開かれ、何度も何度も父のもので貫かれた。
もう嫌だ!もう抱かれたくない!
これはおかしい!間違っている!
シーツが大きく皺を作る。縋るものが欲しくてシーツを掴んでいるせいか。激しく上下に揺さぶられながら暗く歪んだ視界を見つめながら、この時が一刻も早く終わることだけを祈り続けた。
助けは来ない。
俺はまた……ひとりだ。
こんな風に犯され続ける姿は誰にも見せたくない、知られたくない。もう逃げる場所も帰る場所もない。こんな恐ろしい世界が、俺の場所になってしまったのか。
あぁもうこの部屋は最悪だ。
あの窓ガラス見るだけで吐き気が込み上げる。
「洋、残念だよ。私は君を会社に送った後、急遽アメリカに一度戻らないといけなくなった。流石にあちらに仕事が溜まっているからな。私と離れている間は、全てを監視しているから気をつけて過ごしなさい」
「……はい」
大人しく返事をするしかなかった。反抗しても無駄だと分かっている。ただ……今日アメリカへ帰ってくれることに心底ほっとした。
「君の部署の人たちにも話があるから一緒にタクシーで行こう。早く着替えなさい」
****
今日から盆休みも明け、仕事がやっと再開する。
洋は来るよな?
結局あれから一度も連絡がなかった。何故だ? 親父さんが言った通り、もう私とは暮らさないのか。一体どうして……急に態度が変わった理由が知りたい。何か良くないことがあったのではと心配で溜まらないから仕事が始まる前に、どうしても洋と話したい。
朝から会社の玄関で、私は洋が出社してくるのを待っている。
早く会いたい。
顔を見せてくれ。
顔を見れば何かが分かるはず。
そう信じている。
****
始業30分前、一台のタクシーが会社の前に停まった。
洋だ!
だが親父さんも一緒で近寄るのを躊躇し、驚いてしまった。洋は見たこともない程の暗い顔だった。初めて会った時なんかよりもずっと辛そうな表情を浮かべていた。
一瞬、私の方を見たが、洋の方から気まずそうに顔をふっと背けた。足取りが重くなったのに気が付いた親父さんが、洋の細い腰に手を回し進むように促した。
なんだか凄く嫌な気分だ。私の洋なのに何故だか親父さんのものになってしまったような、そんな光景だった。私は洋の親父さんにまで妬いてるのか。
自分の情けなさに苦笑して、会社の中へ入っていく洋を後ろから見守った。あとで、親父さんがいない時に洋の部署に立ち寄ってみよう。二人で話してみないと、一体何があったか分からない。
「あっ……痛っ」
二晩連続で激しく抱かれたせいで躰が悲鳴をあげている。感じない躰で抱かれるので苦痛しか感じず、翌朝は酷い痛みが躰を苛んでいる。
ぼんやりと目を開けて、汚れた窓ガラスをベッドから眺めると、胸が押しつぶされるような悲しみが込み上げてきた。昨夜、嫌がる俺をあの人は無理矢理抱き続けた。最初は窓ガラスに俺を押し付けて、暗黒の世界が広がる窓の外を見せられながら、躰に無理矢理捩じ込まれる熱に苦しんだ。立っていられない程の痛みに耐えかねて、床に膝をつくとそのまま引きずられるように、ベッドへ移動させられた。
父が俺の上にいるのは何故だ。
執拗に躰を撫でられ、全身が濡れるほど舌を這わされ、乳首も痛いほど捏ねられ充血している。育ての親だった人に裸に剥かれ、脚を大きく開かれ、何度も何度も父のもので貫かれた。
もう嫌だ!もう抱かれたくない!
これはおかしい!間違っている!
シーツが大きく皺を作る。縋るものが欲しくてシーツを掴んでいるせいか。激しく上下に揺さぶられながら暗く歪んだ視界を見つめながら、この時が一刻も早く終わることだけを祈り続けた。
助けは来ない。
俺はまた……ひとりだ。
こんな風に犯され続ける姿は誰にも見せたくない、知られたくない。もう逃げる場所も帰る場所もない。こんな恐ろしい世界が、俺の場所になってしまったのか。
あぁもうこの部屋は最悪だ。
あの窓ガラス見るだけで吐き気が込み上げる。
「洋、残念だよ。私は君を会社に送った後、急遽アメリカに一度戻らないといけなくなった。流石にあちらに仕事が溜まっているからな。私と離れている間は、全てを監視しているから気をつけて過ごしなさい」
「……はい」
大人しく返事をするしかなかった。反抗しても無駄だと分かっている。ただ……今日アメリカへ帰ってくれることに心底ほっとした。
「君の部署の人たちにも話があるから一緒にタクシーで行こう。早く着替えなさい」
****
今日から盆休みも明け、仕事がやっと再開する。
洋は来るよな?
結局あれから一度も連絡がなかった。何故だ? 親父さんが言った通り、もう私とは暮らさないのか。一体どうして……急に態度が変わった理由が知りたい。何か良くないことがあったのではと心配で溜まらないから仕事が始まる前に、どうしても洋と話したい。
朝から会社の玄関で、私は洋が出社してくるのを待っている。
早く会いたい。
顔を見せてくれ。
顔を見れば何かが分かるはず。
そう信じている。
****
始業30分前、一台のタクシーが会社の前に停まった。
洋だ!
だが親父さんも一緒で近寄るのを躊躇し、驚いてしまった。洋は見たこともない程の暗い顔だった。初めて会った時なんかよりもずっと辛そうな表情を浮かべていた。
一瞬、私の方を見たが、洋の方から気まずそうに顔をふっと背けた。足取りが重くなったのに気が付いた親父さんが、洋の細い腰に手を回し進むように促した。
なんだか凄く嫌な気分だ。私の洋なのに何故だか親父さんのものになってしまったような、そんな光景だった。私は洋の親父さんにまで妬いてるのか。
自分の情けなさに苦笑して、会社の中へ入っていく洋を後ろから見守った。あとで、親父さんがいない時に洋の部署に立ち寄ってみよう。二人で話してみないと、一体何があったか分からない。
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