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第3章
道は閉ざされた 1
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気を付けないと……父と二人きりは駄目だ。だが今逆らうと丈に迷惑がかかってしまうと思い、冷や汗が浮かぶ中、俺は父に逆らわないようにタクシーに乗り込んだ。
(丈……怖い)
不安そうに見送る丈に、駆け寄って縋りつきたかった。でも迷惑をかけてしまうことになるので、ぐっとそれを耐えた。
これは俺と父の問題だから。
****
タクシーで、父が宿泊する都心のホテルへと連れて来られた。
「洋、こちらへ来なさい」
部屋へ入るなり、ソファに座った父に低い声で呼ばれた。
「はい」
父の横に座ると、その厚ぼったい手で背中を執拗に撫でられた。
アメリカに居た時から、よく躰には触られていた。最初は父が子供を愛おしむスキンシップだと思っていたが、徐々にその手が熱を持ってきていることに気づいていた。父が俺を通して違う何かを求めているのも……ただ、アメリカではそれ以上のことは起こらなかった。
それは……俺も警戒していたし、父にも迷いがあったのだろう。
だから今回もこれで許されるのならと、我慢して抵抗せずに躰を預けていた。
「洋、何故アメリカへ戻ってこなかった? 休みごとに戻ってくるのが条件で帰国させたのに」
「……ごめんなさい」
「ふんっ、アメリカに帰国しないで男と旅行か」
「えっ!」
「まったくいい気なもんだよ。お前……あの男と同居していることを何故私に言わなかった?」
「……ごめんなさい」
「言えなかったのだろう? 私を騙せると思ったのか。私から逃れられるとでも?」
父は俺の全身を撫でまわしながら、いやらしい目線で俺の躰をチェックし、そして深くため息をつきながらこう言った。
「まったく、お前は私が見過ごしてくれると思っているのか」
「えっ!」
そう言われて恐る恐る見上げた父の眼は、怒りで燃えるように赤く充血していた。そしていきなりシャツの襟に手を突っ込まれた。
「なっ……」
「これはなんだ? これはキスマークだろう!」
「あっ!」
しまった!温泉旅行で過ごした日々、丈は俺の躰にいくつものキスマークを残していた。
「……お前にこれを付けたのは、さっきのあの男だな」
一気に襟のボタンを力任せに千切られ、開いた襟もとから胸元がはだけて見えてしまった。丈につけてもらった多数の赤い花弁の跡も、丸見えになってしまった。どうしたらいいのか。
「あっ……」
慌てて胸元を押さえる手を、父の手がすぐに制止し、胸元のシャツを大きく広げられたまま、ソファに押し倒されてしまった。
「お前って奴は……まさか……男に躰を許したのか!」
「ち……違う!これは。父さん待って!落ち着いて!」
「いや……淫乱なお前の躰が誘ったんだろう。私よりも先に食べさせてしまったのか?私を裏切ったのか」
「違う!そんなんじゃない!いやっ!やだ!」
「洋……お前まで俺を裏切るのか。夕のように」
「かっ母さんは裏切ってなんかないっ」
「いや裏切っていたんだよ。いつまでも前の主人のことを女々しく思って」
「やめて!父さん!」
なんてことだ!
ずっと警戒していたことが、現実になってくる。
ソファに凄い力で押し倒された俺は、恐怖に震えながらも、ありったけの力を込めて必死に抵抗した。
(丈……怖い)
不安そうに見送る丈に、駆け寄って縋りつきたかった。でも迷惑をかけてしまうことになるので、ぐっとそれを耐えた。
これは俺と父の問題だから。
****
タクシーで、父が宿泊する都心のホテルへと連れて来られた。
「洋、こちらへ来なさい」
部屋へ入るなり、ソファに座った父に低い声で呼ばれた。
「はい」
父の横に座ると、その厚ぼったい手で背中を執拗に撫でられた。
アメリカに居た時から、よく躰には触られていた。最初は父が子供を愛おしむスキンシップだと思っていたが、徐々にその手が熱を持ってきていることに気づいていた。父が俺を通して違う何かを求めているのも……ただ、アメリカではそれ以上のことは起こらなかった。
それは……俺も警戒していたし、父にも迷いがあったのだろう。
だから今回もこれで許されるのならと、我慢して抵抗せずに躰を預けていた。
「洋、何故アメリカへ戻ってこなかった? 休みごとに戻ってくるのが条件で帰国させたのに」
「……ごめんなさい」
「ふんっ、アメリカに帰国しないで男と旅行か」
「えっ!」
「まったくいい気なもんだよ。お前……あの男と同居していることを何故私に言わなかった?」
「……ごめんなさい」
「言えなかったのだろう? 私を騙せると思ったのか。私から逃れられるとでも?」
父は俺の全身を撫でまわしながら、いやらしい目線で俺の躰をチェックし、そして深くため息をつきながらこう言った。
「まったく、お前は私が見過ごしてくれると思っているのか」
「えっ!」
そう言われて恐る恐る見上げた父の眼は、怒りで燃えるように赤く充血していた。そしていきなりシャツの襟に手を突っ込まれた。
「なっ……」
「これはなんだ? これはキスマークだろう!」
「あっ!」
しまった!温泉旅行で過ごした日々、丈は俺の躰にいくつものキスマークを残していた。
「……お前にこれを付けたのは、さっきのあの男だな」
一気に襟のボタンを力任せに千切られ、開いた襟もとから胸元がはだけて見えてしまった。丈につけてもらった多数の赤い花弁の跡も、丸見えになってしまった。どうしたらいいのか。
「あっ……」
慌てて胸元を押さえる手を、父の手がすぐに制止し、胸元のシャツを大きく広げられたまま、ソファに押し倒されてしまった。
「お前って奴は……まさか……男に躰を許したのか!」
「ち……違う!これは。父さん待って!落ち着いて!」
「いや……淫乱なお前の躰が誘ったんだろう。私よりも先に食べさせてしまったのか?私を裏切ったのか」
「違う!そんなんじゃない!いやっ!やだ!」
「洋……お前まで俺を裏切るのか。夕のように」
「かっ母さんは裏切ってなんかないっ」
「いや裏切っていたんだよ。いつまでも前の主人のことを女々しく思って」
「やめて!父さん!」
なんてことだ!
ずっと警戒していたことが、現実になってくる。
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