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第2章
月輪の約束 4
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空港の到着ロビーで丈を、ずっと待っている。俺の前を一体何人の人が通り過ぎて行ったのだろう。
「Hey!Do you mind if I join you?」
「Would you like to have dinner together?」
「Do you want to have some coffee? There’s a cafe over there.」
さっきから通りすがりの外人に、声を掛けられてばかりだ。しかも相変わらず同性ばかり。ニヤニヤとした視線に背筋が凍る。何で俺はこうも同性からいやらしい目で見られ、声を掛けられてしまうのか。そんなに寂しそうな誘って欲しい顔でもしているのかと思うと嫌になってくるし、恥ずかしい。
そのうち通りすがりに躰をタッチしてくる奴まで出てきて不快な気分が増し、待ち合わせ場所にそのまま立っているのがままならず、場所を移動することにした。
空港の屋上にある展望台にやって来た。
「ここは静かだ」
人気のない夜の展望台に俺は今一人佇んでいる。
俺の頭上の夜空には幾千もの夏の星が瞬いている。見上げる空はどこまでも高く澄んでいて、深呼吸するとイライラした心も少しは落ち着いてくる。だが綺麗な夜空も、丈が隣にいないのでは寂しいものだ。
俺はまだ一人。
空を見上げているだけで、昔と何も変わってない。
次々と飛び立つ飛行機の灯りが流れ星のように、夜空の向こうへと消えていく。
遠い昔、俺の傍から消えてしまった人を想い、来る日も来る日もこうやって空を見上げていた。遠い空の向こうにその人がいて、その人も俺のことを探している。そんなことがあるのかも、あったかも……そんな夢物語に想いを巡らせていると、背後からあの人の香りがふっと漂ってきた。
その香りは徐々に俺に近づいて……そして俺の肩に触れた。
もう振り返らなくても分かるよ。
俺の知ってる大好きな優しい手だから。
その手に俺の手を重ねる。
「洋、悪い。すまなかった。探したよ」
「遅いよ!」
素直に胸に飛び込みたかったが、つい拗ねてしまう。
「悪かった」
「俺がどれだけ待ったと思っている?」
「そうだな。ここにいるんじゃないかと思った」
「なんで分かった?」
「洋は人混みが苦手だろう」
「ん……」
「それにここは人がいないから、すぐに私にキスしてもらえるからだろう」
「なっ!そんなこと考えてない!」
「ふふっそうか。私はだからここに洋がいるんだと思ったのだが」
「丈はずるい奴だ!俺を待たせた上に揶揄って!」
くるりと丈の方を向くと、その彫りの深い端正な顔が、すぐ近くにあってドキドキと胸が高鳴った。
「キスしていいか」
息がかかる位近くで丈に囁かれるだけで、クラクラしてくる。
「でもここは外だし、人が見てるいるかも……」
「強情だな、そんなに寂しそうな眼をしている癖に」
丈の影が俺と重なった途端に、腰をキュッと引き寄せられ、温かい口づけを浴びた。
途端に大好きな温もりが伝わってきた。
「Hey!Do you mind if I join you?」
「Would you like to have dinner together?」
「Do you want to have some coffee? There’s a cafe over there.」
さっきから通りすがりの外人に、声を掛けられてばかりだ。しかも相変わらず同性ばかり。ニヤニヤとした視線に背筋が凍る。何で俺はこうも同性からいやらしい目で見られ、声を掛けられてしまうのか。そんなに寂しそうな誘って欲しい顔でもしているのかと思うと嫌になってくるし、恥ずかしい。
そのうち通りすがりに躰をタッチしてくる奴まで出てきて不快な気分が増し、待ち合わせ場所にそのまま立っているのがままならず、場所を移動することにした。
空港の屋上にある展望台にやって来た。
「ここは静かだ」
人気のない夜の展望台に俺は今一人佇んでいる。
俺の頭上の夜空には幾千もの夏の星が瞬いている。見上げる空はどこまでも高く澄んでいて、深呼吸するとイライラした心も少しは落ち着いてくる。だが綺麗な夜空も、丈が隣にいないのでは寂しいものだ。
俺はまだ一人。
空を見上げているだけで、昔と何も変わってない。
次々と飛び立つ飛行機の灯りが流れ星のように、夜空の向こうへと消えていく。
遠い昔、俺の傍から消えてしまった人を想い、来る日も来る日もこうやって空を見上げていた。遠い空の向こうにその人がいて、その人も俺のことを探している。そんなことがあるのかも、あったかも……そんな夢物語に想いを巡らせていると、背後からあの人の香りがふっと漂ってきた。
その香りは徐々に俺に近づいて……そして俺の肩に触れた。
もう振り返らなくても分かるよ。
俺の知ってる大好きな優しい手だから。
その手に俺の手を重ねる。
「洋、悪い。すまなかった。探したよ」
「遅いよ!」
素直に胸に飛び込みたかったが、つい拗ねてしまう。
「悪かった」
「俺がどれだけ待ったと思っている?」
「そうだな。ここにいるんじゃないかと思った」
「なんで分かった?」
「洋は人混みが苦手だろう」
「ん……」
「それにここは人がいないから、すぐに私にキスしてもらえるからだろう」
「なっ!そんなこと考えてない!」
「ふふっそうか。私はだからここに洋がいるんだと思ったのだが」
「丈はずるい奴だ!俺を待たせた上に揶揄って!」
くるりと丈の方を向くと、その彫りの深い端正な顔が、すぐ近くにあってドキドキと胸が高鳴った。
「キスしていいか」
息がかかる位近くで丈に囁かれるだけで、クラクラしてくる。
「でもここは外だし、人が見てるいるかも……」
「強情だな、そんなに寂しそうな眼をしている癖に」
丈の影が俺と重なった途端に、腰をキュッと引き寄せられ、温かい口づけを浴びた。
途端に大好きな温もりが伝わってきた。
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