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第2章
番外編 新しい一年が始まる 2
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「丈……どうした?」
仰向けにソファに押し倒された洋が私のことを見上げながら聞いてくる。
「あぁ洋のこと早く抱きたいと思っていた」
「な、なんでいつもそうなんだ? お前はいつもいつも……まったく」
顔を更に赤く染め恥ずかしそうに背ける。かといって抵抗もしないから、洋だって本当はそう思っているのだと伝わってくる。
その上品な桜色に染まる可愛い唇をチュッチュと啄ばむと、甘い吐息が次第に漏れ出してくる。
「んっ……ん……」
一旦やめると名残惜しそうな表情をするから止まらなくなる。少し開かれた唇の間から舌をさし入れ、可愛い舌と絡ませていく。そしてくちゅくちゅっと音がするほどお互いの唇を吸いあっていく。
どうして洋とするキスは、こんなにも気持ち良いのか。深めれば深めるほど躰の奥から熱いものがどんどん込み上げてくる。
ソファに押し倒した洋の細い腰に腕をまわし躰をさらに密着させていくと、洋も私の背中にその細い腕をまわしてくれる。ぎゅっと力を込めてやると安心するようで、嬉しそうに微笑んでいるのが分かる。
「ふっ……洋はきつく抱かれるのが好きだな」
「そっ、そんなことない! 」
頬を赤く染めふるふると首を振る。その仕草も可愛くて仕方がない。
「さてと掃除を終わらせて料理をするか」
「えっ」
ここで終わり? と不満げな顔で洋が見上げてくる。
大晦日から三日まで会社は休みだし特に予定もないので、このテラスハウスで思う存分ゆっくり過ごせる。
少し洋を焦らすのも悪くない。
そんな意地悪な考えが浮かんでくる。
「洋の好きな栗きんとんは作っておきたいからな」
「そうか……」
「手伝ってくれるか」
「もちろん、いいよ!」
洋も気持ちをなんとか切り替えたらしく、明るい返事だった。
****
キッチンに立つ洋は、たどたどしい仕草で一生懸命だ。
「洋は向こうにいる間、料理していたのだろ?」
「んー俺は本当に苦手で、デリとか買って済ますことが大半だったよ。それに父もいつも帰りが遅かったから。一人で食べるだけだし本当に何でも良かったんだ」
アメリカで何年も父親と二人で暮らしていた洋の寂しさが想像を想像すると、胸がぎゅっと締め付けられる。
洋のことだから、きっと向こうでも嫌な目にあったのではないだろうか。まだ向こうでの暮らしについて、ほとんど話さない洋だが、そんなにいいものではなかったのだろう。いつかきちんと聞いて受け止めてやりたい。
「どうした?」
「いやなんでもないよ。では、おせち料理なんて久しぶりか」
「あぁ……母が亡くなってからちゃんと食べてないかも」
「そうか……洋、ほら味見してみろ。甘さをみてくれ」
栗きんとんを指に少し取り、洋の唇に撫でるようにつけてやる。
「んっ……」
さっきのキスで敏感になっているのか、洋はそれだけでも感じやすくなっているようで、躰を震わす。
「洋の方が甘そうだな」
「丈……もう意地悪するなよ!もぅ……」
段々と涙目になってくる洋に少し苦笑した。
そういえば洋がこのテラスハウスに来た頃、こうやってキッチンに一緒に立った。まだ洋がツンツンと、私を警戒していた頃だ。
あの頃の私はひとりで悶々として大変だったな。もしかして洋もそうだったのか。
今私の前で悶々としている洋を見て、もっと意地悪したくなってしまうのだから、私も大人げないものだ。
仰向けにソファに押し倒された洋が私のことを見上げながら聞いてくる。
「あぁ洋のこと早く抱きたいと思っていた」
「な、なんでいつもそうなんだ? お前はいつもいつも……まったく」
顔を更に赤く染め恥ずかしそうに背ける。かといって抵抗もしないから、洋だって本当はそう思っているのだと伝わってくる。
その上品な桜色に染まる可愛い唇をチュッチュと啄ばむと、甘い吐息が次第に漏れ出してくる。
「んっ……ん……」
一旦やめると名残惜しそうな表情をするから止まらなくなる。少し開かれた唇の間から舌をさし入れ、可愛い舌と絡ませていく。そしてくちゅくちゅっと音がするほどお互いの唇を吸いあっていく。
どうして洋とするキスは、こんなにも気持ち良いのか。深めれば深めるほど躰の奥から熱いものがどんどん込み上げてくる。
ソファに押し倒した洋の細い腰に腕をまわし躰をさらに密着させていくと、洋も私の背中にその細い腕をまわしてくれる。ぎゅっと力を込めてやると安心するようで、嬉しそうに微笑んでいるのが分かる。
「ふっ……洋はきつく抱かれるのが好きだな」
「そっ、そんなことない! 」
頬を赤く染めふるふると首を振る。その仕草も可愛くて仕方がない。
「さてと掃除を終わらせて料理をするか」
「えっ」
ここで終わり? と不満げな顔で洋が見上げてくる。
大晦日から三日まで会社は休みだし特に予定もないので、このテラスハウスで思う存分ゆっくり過ごせる。
少し洋を焦らすのも悪くない。
そんな意地悪な考えが浮かんでくる。
「洋の好きな栗きんとんは作っておきたいからな」
「そうか……」
「手伝ってくれるか」
「もちろん、いいよ!」
洋も気持ちをなんとか切り替えたらしく、明るい返事だった。
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キッチンに立つ洋は、たどたどしい仕草で一生懸命だ。
「洋は向こうにいる間、料理していたのだろ?」
「んー俺は本当に苦手で、デリとか買って済ますことが大半だったよ。それに父もいつも帰りが遅かったから。一人で食べるだけだし本当に何でも良かったんだ」
アメリカで何年も父親と二人で暮らしていた洋の寂しさが想像を想像すると、胸がぎゅっと締め付けられる。
洋のことだから、きっと向こうでも嫌な目にあったのではないだろうか。まだ向こうでの暮らしについて、ほとんど話さない洋だが、そんなにいいものではなかったのだろう。いつかきちんと聞いて受け止めてやりたい。
「どうした?」
「いやなんでもないよ。では、おせち料理なんて久しぶりか」
「あぁ……母が亡くなってからちゃんと食べてないかも」
「そうか……洋、ほら味見してみろ。甘さをみてくれ」
栗きんとんを指に少し取り、洋の唇に撫でるようにつけてやる。
「んっ……」
さっきのキスで敏感になっているのか、洋はそれだけでも感じやすくなっているようで、躰を震わす。
「洋の方が甘そうだな」
「丈……もう意地悪するなよ!もぅ……」
段々と涙目になってくる洋に少し苦笑した。
そういえば洋がこのテラスハウスに来た頃、こうやってキッチンに一緒に立った。まだ洋がツンツンと、私を警戒していた頃だ。
あの頃の私はひとりで悶々として大変だったな。もしかして洋もそうだったのか。
今私の前で悶々としている洋を見て、もっと意地悪したくなってしまうのだから、私も大人げないものだ。
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