41 / 1,657
第2章
二人きりの旅 3
しおりを挟む
トクン──
心臓の高鳴る音が丈に聴こえてしまいそうで、その胸に背を預けるのが憚られる。
「洋……二人きりだな。ここでは」
「そうだね。ここはとても静かだ」
鳥のさえずりだけが聴こえる静かな俺たちだけの空間だ。この数週間のことが思い出される。丈に抱かれてから……抱かれる度に凍っていた心が解けていき、この湯のように暖かい気持ちでどんどん満ちている。本当に不思議だ。
だが、静かに丈の胸に躰を預けお湯に浸かっているが、やはり恥ずかしい。こんなに明るいし貸し切りとはいえ外だし、誰かに見られないか心配になり、もぞもぞと落ち着かない。
「どうした?居心地悪いか?」
いたずらそうな黒い切れ長の瞳で覗かれて、ちょっとムッとした。
なんだって丈はそんなに余裕なんだ?俺はこんなに落ち着かないのに。
「もう上がるよ。このままだとのぼせそうだ」
「駄目だ、もう少しここにいろ」
丈を押しのけて風呂から出ようとすると、俺の腰をぐいっと引き寄せ、俺のものに丈が触れてきた。更に背後には丈の熱いものがはっきりあたるのを感じ、途端に電流が走ったように体が熱くなり疼きだしてしまった。
「あっ!駄目!ここじゃ嫌だ!」
慌てて身を捩ってお湯からあがろうとするが、腰をしっかりと抑えられていて動けない。
「んっ……んっ」
声が出ないように唇を噛みしめるが、我慢しても丈の手の刺激があまりに気持ち良くて漏れ出してしまう。
「丈……」
俺はどうしてこんなにも弱いのか。丈のすることなら何でも受け入れたくなるのは何故なのか。
丈と結ばれた時に過去からの願いが叶ったような、過去からの呪縛から解き放たれたような、なんとも表現しがたい満ち足りた気持ちが溢れだした。だから、丈のためにだったら、丈が望むことだったら、何でもしてあげたいとさえ思ってしまう。
「んっ」
刺激が一層強くなる。気持ち良さと恥ずかしさが入り混じる。いまだ丈は手を止めてくれない。
「も……我慢できなくなる。部屋に戻りたい」
「ここじゃ嫌か」
「こんな所で……慣れてないんだ。お願いだ……」
刺激が強すぎて涙目になりながら必死で訴えると、丈は少し困ったような表情をして
「洋……分かったよ。その代り部屋では好きなだけ抱くけど、いいか」
「えっ……そんな」
心臓の高鳴る音が丈に聴こえてしまいそうで、その胸に背を預けるのが憚られる。
「洋……二人きりだな。ここでは」
「そうだね。ここはとても静かだ」
鳥のさえずりだけが聴こえる静かな俺たちだけの空間だ。この数週間のことが思い出される。丈に抱かれてから……抱かれる度に凍っていた心が解けていき、この湯のように暖かい気持ちでどんどん満ちている。本当に不思議だ。
だが、静かに丈の胸に躰を預けお湯に浸かっているが、やはり恥ずかしい。こんなに明るいし貸し切りとはいえ外だし、誰かに見られないか心配になり、もぞもぞと落ち着かない。
「どうした?居心地悪いか?」
いたずらそうな黒い切れ長の瞳で覗かれて、ちょっとムッとした。
なんだって丈はそんなに余裕なんだ?俺はこんなに落ち着かないのに。
「もう上がるよ。このままだとのぼせそうだ」
「駄目だ、もう少しここにいろ」
丈を押しのけて風呂から出ようとすると、俺の腰をぐいっと引き寄せ、俺のものに丈が触れてきた。更に背後には丈の熱いものがはっきりあたるのを感じ、途端に電流が走ったように体が熱くなり疼きだしてしまった。
「あっ!駄目!ここじゃ嫌だ!」
慌てて身を捩ってお湯からあがろうとするが、腰をしっかりと抑えられていて動けない。
「んっ……んっ」
声が出ないように唇を噛みしめるが、我慢しても丈の手の刺激があまりに気持ち良くて漏れ出してしまう。
「丈……」
俺はどうしてこんなにも弱いのか。丈のすることなら何でも受け入れたくなるのは何故なのか。
丈と結ばれた時に過去からの願いが叶ったような、過去からの呪縛から解き放たれたような、なんとも表現しがたい満ち足りた気持ちが溢れだした。だから、丈のためにだったら、丈が望むことだったら、何でもしてあげたいとさえ思ってしまう。
「んっ」
刺激が一層強くなる。気持ち良さと恥ずかしさが入り混じる。いまだ丈は手を止めてくれない。
「も……我慢できなくなる。部屋に戻りたい」
「ここじゃ嫌か」
「こんな所で……慣れてないんだ。お願いだ……」
刺激が強すぎて涙目になりながら必死で訴えると、丈は少し困ったような表情をして
「洋……分かったよ。その代り部屋では好きなだけ抱くけど、いいか」
「えっ……そんな」
10
お気に入りに追加
443
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
悩める文官のひとりごと
きりか
BL
幼い頃から憧れていた騎士団に入りたくても、小柄でひ弱なリュカ・アルマンは、学校を卒業と同時に、文官として騎士団に入団する。方向音痴なリュカは、マルーン副団長の部屋と間違え、イザーク団長の部屋に入り込む。
そこでは、惚れ薬を口にした団長がいて…。
エチシーンが書けなくて、朝チュンとなりました。
ムーンライト様にも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
番?呪いの別名でしょうか?私には不要ですわ
紅子
恋愛
私は充分に幸せだったの。私はあなたの幸せをずっと祈っていたのに、あなたは幸せではなかったというの?もしそうだとしても、あなたと私の縁は、あのとき終わっているのよ。あなたのエゴにいつまで私を縛り付けるつもりですか?
何の因果か私は10歳~のときを何度も何度も繰り返す。いつ終わるとも知れない死に戻りの中で、あなたへの想いは消えてなくなった。あなたとの出会いは最早恐怖でしかない。終わらない生に疲れ果てた私を救ってくれたのは、あの時、私を救ってくれたあの人だった。
12話完結済み。毎日00:00に更新予定です。
R15は、念のため。
自己満足の世界に付き、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる