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第2章
二人きりの旅 2
しおりを挟む「露天風呂なんて……まだ着いたばかりだし、こんなに明るい陽射しの中なんて恥ずかしい、無理だ」
慌てて丈から逃げるように、後ずさりして断った。
「俺はいいから!丈がひとりで入れよ」
「大丈夫だから落ち着け。部屋専用のだから誰にも見られない」
「いや……それが問題じゃないんだ!」
旅に出ようと誘われて、嬉しかった。
あの日初めて丈に抱かれ、その後は自然に毎晩のように抱き合った。テラスハウスで同居しているのだから、それは自然な成り行きだった。俺も少しも嫌ではなかった。むしろ求めてしまった。あまりの居心地の良さに溺れていた。
そんな風に躰は毎日のように重ね合ったが、一緒に出掛けたりすることなんて一度もなかったから、旅行の誘いに凄く新鮮な気持ちになった。それなのに着いた早々もう抱かれたら……きっと外に出られなくなる。丈は俺が意識を飛ばすまで抱くだろう。そして俺もそんな風に求められるのが嫌じゃないんだから困ったものだ。
俺は一体いつからこんなになった?この手のことには、恐怖心しかなかったのに。
丈の躰は、まるで俺の一部のようにしっくりと合う。抱かれるといのは、こういうものなのか。
あれこれ迷って俯いていると丈に抱き寄せられ、顎を掬われ上を向かされる。熱い眼差しが近づいてくれば、俺は目を閉じてその口づけを受け入れてしまう。そっと口を開くと丈の舌が入りこみ、俺の舌を絡めとる。
「あっ……」
甘い口づけが重なっていく。丈と唇を合わせ角度を変えて何度も何度も触れあっていくうちに、俺の迷いなんてあっという間に溶かされてしまうよ。
「さぁ一緒に入ろう」
「ん……わかった」
丈が俺のシャツのボタンを外してくるが、口づけでぼーっとしている俺はされるがままだ。あっという間に裸にされ、テラスに設置された専用露天風呂へ連れて行かれる。
風呂は二人がやっとは入れる位の大きさだった。
「えっ!こんなところに丈と入るのか」
想像するだけで赤面してしまう。外は明るすぎるし、風呂は狭くて密着しすぎるから。
丈は俺を湯船にいれた後、すぐに服を脱いで戻ってきた。その逞しい躰を明るい陽射しの下で目の当たりにして、俺は顔から火が出そうになった。
俺はいつもこの躰に抱かれているのか。
「少し狭いな。私にもたれて……」
湯船の中で丈の脚の間に座らされ、俺は頭にすっかり血が上ってしまった。
「丈……この位置……無理っ」
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