29 / 1,657
第1章
雨に濡れて 14
しおりを挟む
あっ……丈の唇が俺の頬に触れた。
本当はベッドに降ろされた瞬間に目覚めていたんだ。 ソファでの口づけは夢か現実か分からないほどあやふやなものだったが 、今もう一度ベッドで頬にそっと触れていった唇の温かさは確かだった。
丈……このまま行ってしまうのか 。
俺はどうしたい?
丈は迷っている 。
俺も迷っている 。
でも確かなのは嫌じゃなかったということ 。むしろ心地良かったということ 。丈に触れられると、何故だかふんわりとした甘い気持ちが込み上げて来るよ。
****
部屋のドアが閉まる音と共に、俺はむくりと起きあがり冷静に考えた。
丈は迷っている……俺に手を出していいのか。紳士的な彼のことだ、きっと葛藤しているのだろう。 俺だってあんなに触れられるのを嫌だった同性の男にキスをされて、大丈夫だなんて信じられない。 しかも、丈だったら……丈にならもっと触れてもらいたいと思っているなんて。この高鳴る気持ちって一体何なんだろう。
まるでこうなる運命だった。そんな出逢いってあるのか。相手は男なのに。
ため息と共に部屋の時計を見ると、まだ二十一時だ。俺はすぅっと深呼吸して目を閉じ、頭の中をクリアにしていく。
空っぽの頭に残る気持ちは何だろう。それを知りたくて。 冷静になれ……。
目を瞑ると脳裏に浮かぶのは温かみのある頼もしい丈の優しい眼差し 。その記憶に手を伸ばせば、丈の男らしい香りが漂ってくるようだ。 もうそれだけで胸が締め付けられるんだ。
今、ここで俺は決心した。
丈になら抱かれてもいいと 。
丈になら抱いてもらいたいと 。
バスローブを脱ぎ、真っ白なシャツとズボンに着替え、丈の部屋へと足を向けた。緊張で足がカタカタと震えているのが分かる。
だがこの一歩……
この一歩は自分で決めた一歩だ。
本当はベッドに降ろされた瞬間に目覚めていたんだ。 ソファでの口づけは夢か現実か分からないほどあやふやなものだったが 、今もう一度ベッドで頬にそっと触れていった唇の温かさは確かだった。
丈……このまま行ってしまうのか 。
俺はどうしたい?
丈は迷っている 。
俺も迷っている 。
でも確かなのは嫌じゃなかったということ 。むしろ心地良かったということ 。丈に触れられると、何故だかふんわりとした甘い気持ちが込み上げて来るよ。
****
部屋のドアが閉まる音と共に、俺はむくりと起きあがり冷静に考えた。
丈は迷っている……俺に手を出していいのか。紳士的な彼のことだ、きっと葛藤しているのだろう。 俺だってあんなに触れられるのを嫌だった同性の男にキスをされて、大丈夫だなんて信じられない。 しかも、丈だったら……丈にならもっと触れてもらいたいと思っているなんて。この高鳴る気持ちって一体何なんだろう。
まるでこうなる運命だった。そんな出逢いってあるのか。相手は男なのに。
ため息と共に部屋の時計を見ると、まだ二十一時だ。俺はすぅっと深呼吸して目を閉じ、頭の中をクリアにしていく。
空っぽの頭に残る気持ちは何だろう。それを知りたくて。 冷静になれ……。
目を瞑ると脳裏に浮かぶのは温かみのある頼もしい丈の優しい眼差し 。その記憶に手を伸ばせば、丈の男らしい香りが漂ってくるようだ。 もうそれだけで胸が締め付けられるんだ。
今、ここで俺は決心した。
丈になら抱かれてもいいと 。
丈になら抱いてもらいたいと 。
バスローブを脱ぎ、真っ白なシャツとズボンに着替え、丈の部屋へと足を向けた。緊張で足がカタカタと震えているのが分かる。
だがこの一歩……
この一歩は自分で決めた一歩だ。
10
お気に入りに追加
443
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた
翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」
そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。
チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる