重なる月

志生帆 海

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プロローグ

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 夜空に浮かぶ月を見上げると、自然と濡れていく瞳。

 もう……叶わない。

 月を受け止める湖で──

 悲し気に月を見上げて──

 俺はいつも泣いていた。

 ただ会いたくて、ただ抱いて欲しくて。

 君ともう一度……重なりたい。

 思慕する心を持って、この世に生を受けた。



 だが俺は、まだ何も知らない。

 これから起こることも──君の存在すらも──
 

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