【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!

大森 樹

文字の大きさ
上 下
30 / 37

29 きっかけ

しおりを挟む
・番外編です。読み飛ばしても大丈夫な内容です。本編五話で委員長が響介に語っていた、中学の頃の律の話です。
・律と沢根の一人称視点で交互に語られるので少し読みづらいかもしれませんが、一人称「僕」が律、「俺」が沢根です。



 あれは中学三年の秋のことだった。当時僕が通っていた中学は、毎年十月に合唱コンクールが催されていた。普段なら学校行事の合唱なんかにそれ程意欲を持つ生徒はおらず、適当にやり過ごすのが恒例の行事だったのだが、その年、三年の僕のクラスは卒業前ということもあって妙に活気付いていた。
 僕のクラスの課題曲は“空駆ける天馬”だった。空駆ける天馬は混声三部構成のため、男子は全員が同じパートを歌う。僕は低い音程を周りに合わせて上手く歌う自信がなく、こっそりと声を出さずに、口だけをそれらしく動かして、歌うふりをしていた。いわゆる口パクというやつだ。周囲のクラスメイトは揃って知らんふりでもしているのか、それとも本当に誰も気づいていないのか、僕が声を出していないことを咎める者は誰もいなかった。
 一年や二年の頃は男子の殆どに意欲がなく、それを女子が徒党を組んで咎めるという光景が散見されていたが、どうやら今年の僕のクラスに限っては、珍しく男子の方がやる気らしい。周りのクラスメイトが各々声を張って響かせる中で、僕は一人だけ唇を金魚のように開閉させながら、この行事が早く過ぎ去ることばかりを願っていた。

---

 最後なんだからさ。そう言い出したのは、俺の後ろの席でいつも授業中に昼寝や落書きなんかをしている、とても真面目とは言い難い友人だった。
 これは後から知った話だが、そいつは高校には進学せず、中卒で家の仕事を継ぐことが決まっていたらしい。三年のクラスメイトは進学先も散り散りで、卒業したらもう顔を合わせないであろう連中もいる。「確かにそうだな」と俺が適当に相槌を打つと、周りの友人達も波紋を広げるように頷き始めた。
 合唱コンクールなんて絵に描いたような真面目な行事は、正直俺は好きじゃなかったし、大抵の男子生徒は同じことを考えていた。けれど改まって“最後だ”と言われると、何故かその退屈な行事が急に特別な物に思えてきたのだ。実際に俺たちが一丸になって歌い始めると、それまでふざけていた他の連中すら急に真剣になり始めて、やがて不揃いだった歌声が一つに纏まり始めた。
 練習を重ねるごとに合唱の質が上がっていくことに、次第に俺たちは高揚感を抱き始めた。気づけば俺のクラスは全員が放課後に他のクラスよりも長く居残るほど、合唱コンの練習に夢中になっていた。
 ただ一人、椀田の奴を除いて。
 妙な因果というものはあるものだ。俺はいけ好かない事に小学校の頃からこいつと幾度も同じクラスに属し、中学最後の年まで椀田と同じ教室の空気を吸う羽目になっていた。
 練習中、俺の前に立っている椀田はあからさまなくらいの仏頂面で、それこそ死んだ魚のような濁った目をしているくせに、生きた金魚みてえに口ばっかパクパクしやがって、まるで自分だけが違う世界にでもいるかのような様相だった。一人で周りと違うことをしているのに、恥なんかちっとも感じないのだろう。隠す気すらないのが手に取るようにわかるほど、明確な“フリ”をしていた。
 こいつはいつだってそういう奴だった。周りがどんな空気だろうとお構いなしで、常に自分一人の世界に篭っている。俺は椀田のそういう所が心底嫌いだった。
 たとえば何故それが気に食わないのか、もっと明確に説明しろなどと言われたとしても、俺は上手く言葉には纏められないだろう。が、嫌いなんて気持ちは所詮感情だ。理由なんか説明できなくても、俺は兎に角この椀田律という野郎が気に食わないのだ。ガキの頃にこいつと口喧嘩をしたなんてのは、ただのきっかけに過ぎない。口喧嘩から数年が経った今でも、俺は椀田のことが嫌いで嫌いで仕方がなかった。
 好きの反対は無関心とはよく言ったもんだ。俺以外のクラスメイトはみんな、椀田の口パクなんか知ってても何とも思っていないのに、俺だけは苛立ちを抑えられずにいた。それが顔にまで出てしまっていたのだろう、仲の良い友人から「一人くらい歌ってなくても大丈夫だろ。邪魔されてるわけじゃないんだから」と諭されて、俺はますます自分が惨めに感じた。
 嫌いな奴のことなんか気にするだけ無駄で、わざわざ苛立つほうがずっと損で馬鹿げている。中学三年にもなれば、たとえ子供だろうとそのくらいは学習していた。現に周りのクラスメイトはもう椀田のことを“そういう奴だから”と諦めているし、椀田の方に至っては、俺のことなんかちっとも気にかけていやしない。
 俺ばかりが未だ一方的にあいつを意識して、勝手に一人で苛立ち続けているのだ。その事実が、ますます俺の腹底を煮えたぎらせていた。

---

 合唱コンクール本番の、一週間ほど前のことだった。僕のクラスの伴奏担当だった女子生徒が、急に体調を崩したらしい。朝のホームルームで担任がそう告げると、教室はひそやかに騒ついた。
 僕のクラスの伴奏担当は、ピアノを弾ける人物が他にいないという消極的な理由で決まったものだった。それはつまり、代わりに弾ける人物がいないことを意味していた。何人かのクラスメイトが、担任に練習がどうなるのかを尋ねると、彼は残念そうな顔で「暫くは休みになります」と告げた。
 教室の騒めきが大きくなった。それまで珍しくあれだけ活気付いていたのだから、当然の反応だろう。本番直前のタイミングで急に練習ができなくなると、今までの努力は水の泡だ。担任は音楽教師に代奏を頼んでみると話していたが、正直その案への期待は薄かった。
 放課後になるとやはり担任は申し訳なさそうな顔をして、音楽教師はコンクール本番へ向けた他の仕事で手一杯であることを説明した。伴奏担当の体調がいつ回復するかもわからない。教室はもう騒つくでもどよめくでもなく、ただ納得した様子で落胆した空気に満ちていった。
「なあ、お前ピアノ弾けたりしない?」
「無理だよ。俺ピアノなんかドレミの歌しか弾けないよ」
「だよな。俺なんかドレミすらわかんねぇや」
 隣の席の男子生徒が、未だ諦めきれないのか小声でそう交わすのが耳に入った。後ろの方からは「こうなるなら、真面目に練習なんかしなきゃ良かったな」という嘆きまで聞こえてきた。
 昨日まで活気で溢れていた教室じゅうが、一転して失望で埋まっていく。そのあまりの居心地の悪さに耐えられず、僕は思わず右手を挙げていた。
「すみません。あまり上手くはないですけど……」

---

 あまり上手くはないですけど。などと悲観的な保身に走っておいて、椀田は楽譜を少し見るや否や鍵盤を軽々しく叩き始めた。その演奏は“上手くはない”なんていう謙遜には、微塵も似つかわしくないものだった。椀田は数分ほどピアノを弾くともう譜面を覚えてしまったらしく、楽譜を閉じて姿勢を正し「お願いします」と呟いた。
 椀田の唐突な行動に、クラスメイトの過半数がどよめいていた。なんたって、常日頃から明らかに一人だけやる気がないことを、咎められすらされないような奴だ。“そういう奴”が自らピアノの代奏者に立候補したとなれば、驚くのが自然な反応だろう。無論、俺だって困惑していた。
 指揮担当の生徒が合図を送るのを見やりながら、椀田は伴奏を弾き始めた。ごく自然に、さも当然そうに慣れた手つきでピアノを弾く椀田の姿に狼狽えながらも、クラスメイト達は皆後に続いて歌い始めた。呆けていた俺も、慌てて一小節後に続けて歌い出す。
 異様、または不可思議としか言いようのない気分だった。俺は小学校の頃から幾度も椀田と同じ校門をくぐってきたが、今まであいつがピアノどころか、楽器を弾けるだなんて話は聞いたことがなかった。ただあいつのことは、俺より賢くて、俺より裕福で、俺より容姿が整っていて、俺より成績も良くて、俺より家族に恵まれていて、俺が欲しているものを全て持っているような奴で──その程度にしか考えていなかったのだ。
 椀田の伴奏は完璧だった。その証拠に練習を終えると、早速クラスメイトの一人が「本番も弾いてくれ」と直談判し始める程だった。それほど整った旋律だった。あまりにも美しい弾き方だった。
 俺は胃の底の辺りに、再びかっと熱が込み上げてくるのを感じた。

---

 歌い終えた男子生徒の一人から、好奇的な表情で「本番も弾いてくれ」と頼まれて、正直悪い気がしなかったわけではない……と言えば嘘になる。
 けれど僕はかぶりを振った。あくまでもこれは練習だから、という前提ありきの演奏だった。自宅で一人、ただの趣味として弾いている時と同じで、『失敗しても構わない』という保険がなければ、僕はまともに鍵盤を叩くこともままならないのだ。練習とはいえクラスメイトの前で演奏できたことすら、僕にとっては奇跡のようなものだった。
 実際先程の自分の伴奏を振り返れば、あれは無事に弾き終えることにばかり必死で、ただ正確なだけの、気持ちの籠っていない演奏だったと評価をせざるを得なかった。合唱の伴奏なら、正確なだけでも充分かもしれない。しかし僕の場合に限っては、この矮小な精神性が誘因し、舞台に立ってしまうとその正確さすら危うくなるのだ。その程度の分際が壇上に上がるなど、無謀も甚だしいだろう。
 別にこの程度は上手くない。本番なら僕はもっと下手になる。だから弾けない。そう言い放って僕が拒否すると、男子生徒は大層気を悪くしたらしく、拗ねた様子で退いていった。話が長続きするのが嫌で、あえて嫌味な言葉を選んだのだから、当然の流れだった。
 後方で「これだから椀田は」と自分を揶揄する声が聞こえて、僕はひっそりと肩を震わせた。
 人に嫌われるのも、失望されるのも、頭ではもはや慣れきっているつもりだった。けれど未だ心の方は追いつかないらしい。胸のあたりが重くなるのを感じて俯くと、不意に横から声がかかった。
「ねえ、椀田くんだよね」
 僕は黙ったまま顔だけを声の方へ向けた。女子生徒が柔かな笑みをたたえて、僕の席の横に立っていた。僕が返事もせずに硬直していると、彼女は笑みを緩めながら話を続けた。
「急にごめんね。さっきの伴奏、凄く上手かったから……」
「別に上手くはないよ」
 僕は敢えて彼女の言葉を遮った。こうすれば彼女も僕に失望して、離れてくれるだろうという算段だった。
 しかし、どうやら彼女は例外のようだった。
「うん、そっか……さっきも田中くんとそんな話をしてたもんね。もちろん本番までお願いをするつもりなんてないよ。けど、あの演奏は良かったよってことは伝えたかったの」
 女子生徒は再び笑みを作った。いかにも人から好かれそうな、愛嬌のある仕草だった。「そう」と僕は正反対に全く愛想のない返事を突きつけたが、それでも彼女はさらに話を続けた。
「だから、ありがとう椀田くん。弾いてくれて……」
 彼女の唐突な感謝に、僕が否定や反応を返すよりも先に、帰り際の女子生徒達が「飯野さん、早く帰ろう」と彼女を急かすのが聞こえた。
「飯野さん、呼ばれてるよ」
 僕はそれだけ言ってから再び俯いて、押し黙った。飯野さんは「うん。ありがとう。じゃあね」と二度目の謎の感謝を述べてから、僕から離れていった。
 僕はああいう手合いはどうにも苦手だった。優しい人にはこちらが冷たくすればするほど、罪悪感ばかりが募ってくる。そんな自分勝手で浅ましい考えが脳裏をよぎって、僕はますます気が重くなった。

---

「だから言ったろ委員長、椀田なんかに話しかけない方がいいって」
 廊下を歩く委員長──こと飯野の背に向けて、俺は思わずそう声をかけた。飯野は振り向くと、歯痒そうに苦笑した。
「あはは、そうかも。私、椀田くんに邪魔しちゃったみたい」
「そうじゃねえよ。どっちかっつうと、邪魔されたのは委員長の方だろ」
 俺がかっとなって言い返すと、飯野はやはり困った様子で「そうかなあ」と呟いた。飯野の隣に並ぶ女子生徒が続いてフォローを入れる。
「そうだよ。あんな突き返し方する子に、わざわざ感謝なんか言わなくていいよ」
「勿体ないよね、椀田くん。顔は綺麗だし、お金持ちらしいのに」
「ねぇ。あの性格は流石にちょっと、ね」
 気づけば話の軸が逸れていき、女子生徒達は椀田を肴に井戸端会議を始める始末だった。俺がため息をつくと、飯野がぽつりと呟いた。
「椀田くん、悪い子じゃないと思うんだけどな」
 俺はうっかり舌打ちをしそうになって、抑えようと歯を食いしばったのを、誤魔化そうと戯けて笑ってみせた。
「委員長。あんた、とんだお人好しだよ」
 てめえは性善説信者かよ。本当はそう言いたかったのを、なんとか堪えた。この人の良すぎる女子には、その言い方はあまりに辛辣すぎるだろう。そう選び直したところで、それでも俺の口から出るのは皮肉めいた台詞だった。
 飯野はそんな俺にすら、相変わらず気の良い笑みを向けてくる。
「沢根くんもありがとう。心配してくれて」
 やはりこいつはとことん人を見る目がないらしい。恐らくこの苦笑いはもう誤魔化せなかっただろうが、彼女のような善人は俺の真意になんか気づくはずがないだろう。
 胃の底が、焼け爛れたようにひりつくのを感じた。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

断る――――前にもそう言ったはずだ

鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」  結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。  周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。  けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。  他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。 (わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)  そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。  ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。  そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?

踏み台令嬢はへこたれない

三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」  公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。  春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。  そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?  これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。 「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」  ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。  なろうでも投稿しています。

呪いを受けて醜くなっても、婚約者は変わらず愛してくれました

しろねこ。
恋愛
婚約者が倒れた。 そんな連絡を受け、ティタンは急いで彼女の元へと向かう。 そこで見たのはあれほどまでに美しかった彼女の変わり果てた姿だ。 全身包帯で覆われ、顔も見えない。 所々見える皮膚は赤や黒といった色をしている。 「なぜこのようなことに…」 愛する人のこのような姿にティタンはただただ悲しむばかりだ。 同名キャラで複数の話を書いています。 作品により立場や地位、性格が多少変わっていますので、アナザーワールド的に読んで頂ければありがたいです。 この作品は少し古く、設定がまだ凝り固まって無い頃のものです。 皆ちょっと性格違いますが、これもこれでいいかなと載せてみます。 短めの話なのですが、重めな愛です。 お楽しみいただければと思います。 小説家になろうさん、カクヨムさんでもアップしてます!

とまどいの花嫁は、夫から逃げられない

椎名さえら
恋愛
エラは、親が決めた婚約者からずっと冷淡に扱われ 初夜、夫は愛人の家へと行った。 戦争が起こり、夫は戦地へと赴いた。 「無事に戻ってきたら、お前とは離婚する」 と言い置いて。 やっと戦争が終わった後、エラのもとへ戻ってきた夫に 彼女は強い違和感を感じる。 夫はすっかり改心し、エラとは離婚しないと言い張り 突然彼女を溺愛し始めたからだ ______________________ ✴︎舞台のイメージはイギリス近代(ゆるゆる設定) ✴︎誤字脱字は優しくスルーしていただけると幸いです ✴︎なろうさんにも投稿しています 私の勝手なBGMは、懐かしすぎるけど鬼束ちひろ『月光』←名曲すぎ

赤貧令嬢の借金返済契約

夏菜しの
恋愛
 大病を患った父の治療費がかさみ膨れ上がる借金。  いよいよ返す見込みが無くなった頃。父より爵位と領地を返還すれば借金は国が肩代わりしてくれると聞かされる。  クリスタは病床の父に代わり爵位を返還する為に一人で王都へ向かった。  王宮の中で会ったのは見た目は良いけど傍若無人な大貴族シリル。  彼は令嬢の過激なアプローチに困っていると言い、クリスタに婚約者のフリをしてくれるように依頼してきた。  それを条件に父の医療費に加えて、借金を肩代わりしてくれると言われてクリスタはその契約を承諾する。  赤貧令嬢クリスタと大貴族シリルのお話です。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

働かなくていいなんて最高!貴族夫人の自由気ままな生活

ゆる
恋愛
前世では、仕事に追われる日々を送り、恋愛とは無縁のまま亡くなった私。 「今度こそ、のんびり優雅に暮らしたい!」 そう願って転生した先は、なんと貴族令嬢! そして迎えた結婚式――そこで前世の記憶が蘇る。 「ちょっと待って、前世で恋人もできなかった私が結婚!?!??」 しかも相手は名門貴族の旦那様。 「君は何もしなくていい。すべて自由に過ごせばいい」と言われ、夢の“働かなくていい貴族夫人ライフ”を満喫するつもりだったのに――。 ◆メイドの待遇改善を提案したら、旦那様が即採用! ◆夫の仕事を手伝ったら、持ち前の簿記と珠算スキルで屋敷の経理が超効率化! ◆商人たちに簿記を教えていたら、商業界で話題になりギルドの顧問に!? 「あれ? なんで私、働いてるの!?!??」 そんな中、旦那様から突然の告白―― 「実は、君を妻にしたのは政略結婚のためではない。ずっと、君を想い続けていた」 えっ、旦那様、まさかの溺愛系でした!? 「自由を与えることでそばにいてもらう」つもりだった旦那様と、 「働かない貴族夫人」になりたかったはずの私。 お互いの本当の気持ちに気づいたとき、 気づけば 最強夫婦 になっていました――! のんびり暮らすつもりが、商業界のキーパーソンになってしまった貴族夫人の、成長と溺愛の物語!

【完結】アラサー喪女が転生したら悪役令嬢だった件。断罪からはじまる悪役令嬢は、回避不能なヤンデレ様に溺愛を確約されても困ります!

美杉。祝、サレ妻コミカライズ化
恋愛
『ルド様……あなたが愛した人は私ですか? それともこの体のアーシエなのですか?』  そんな風に簡単に聞くことが出来たら、どれだけ良かっただろう。  目が覚めた瞬間、私は今置かれた現状に絶望した。  なにせ牢屋に繋がれた金髪縦ロールの令嬢になっていたのだから。  元々は社畜で喪女。挙句にオタクで、恋をすることもないままの死亡エンドだったようで、この世界に転生をしてきてしあったらしい。  ただまったく転生前のこの令嬢の記憶がなく、ただ状況から断罪シーンと私は推測した。  いきなり生き返って死亡エンドはないでしょう。さすがにこれは神様恨みますとばかりに、私はその場で断罪を行おうとする王太子ルドと対峙する。  なんとしても回避したい。そう思い行動をした私は、なぜか回避するどころか王太子であるルドとのヤンデレルートに突入してしまう。  このままヤンデレルートでの死亡エンドなんて絶対に嫌だ。なんとしても、ヤンデレルートを溺愛ルートへ移行させようと模索する。  悪役令嬢は誰なのか。私は誰なのか。  ルドの溺愛が加速するごとに、彼の愛する人が本当は誰なのかと、だんだん苦しくなっていく――

処理中です...