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1 天使の生まれ変わり
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アイラは、天使の生まれ変わりではと噂されるほど可愛らしい見た目だった。彼女がふわりと微笑めば、恋に落ちない男はいないと言われるほどだ。
この国の未婚の令嬢で一番可愛いのはアイラ・ロッシュ、そして一番美しいのはそのアイラの親友であるリーゼ・ヴェーデルだった。
しかしリーゼはすでに公爵令息のロベルトと結婚が決まっているため、実際にフリーなのはアイラだけだった。そのため、アイラが舞踏会に行けば下心たっぷりの貴族令息たちに常に狙われていた。
「可愛いアイラ嬢、私と踊っていただけませんか」
「いいえ、ぜひ僕とお願いします。素敵なあなたに、今度豪華なドレスを贈らせてください」
「いや! 私なら、天使のようなアイラ嬢をもっと輝かせる珍しい宝石をプレゼントできますよ」
鼻の下を伸ばしながら、必死に話しかけてくる男たちにアイラは心の中でため息をついた。アイラのことを好きだと言ってくれる人はたくさんいるが、その男たちは皆『顔が可愛いから』という理由で口説いてくる。
アイラは努力家で、勉強熱心な才女だった。だが、それを評価してくれる人はおらず、いつも容姿のことばかり褒められていた。
どんなに面倒でも下級貴族であるアイラは、自分より家格が上の御令息からの誘いをはっきりとは断ることができない。いつも曖昧に微笑み、この場をやり過ごすしかないのだ。
「アイラ嬢、私にあなたと踊る幸せをいただけませんか?」
その声の主に気が付いて、アイラの傍に群がっていた男たちは一斉に場所を空けた。
「……ファビアン様」
「光栄だな。私を知っていてくれるなんて」
「まあ、ファビアン様を知らない令嬢なんていませんわ。私なんかでよろしければ、よろしくお願い致します」
アイラは差し出された手を素直に取った。これは、アイラがファビアンのことが好きだからではない。彼が有力なアンブロス公爵家の令息だと知っているので、抵抗しても無駄だと諦めたのだ。
「では、行こうか」
「はい」
ファビアンにエスコートをされ、アイラはダンスフロアの中心まで移動をした。アイラは彼のファンの御令嬢方からギロリと睨みつけられて、とても居心地が悪かった。
なぜなら、このファビアンという男はとても見目麗しくで、御令嬢みんなが憧れている人物だったからだ。そしてファビアンは『自分からは声をかけない』と有名だった。なのに、そんな彼がアイラに声をかけたので余計に目立ってしまっていた。
「子爵家の娘ごときがファビアン様と踊るなんて、図々しいわ」
「そうね。でも、悔しいけれど見た目はお似合いよ。ファビアン様のご尊顔に負けていないもの」
「ああ、アイラ嬢と踊れるファビアン様が羨ましい」
女はファビアンと踊れるアイラを妬み、男はアイラと踊れるファビアンに嫉妬した。
そんな嫉妬と羨望が渦巻いた会場で、二人は見事なダンスを披露していた。
「アイラ嬢、とてもダンスがお上手ですね」
「ありがとうございます。でも、全てファビアン様のリードのおかげですわ」
「はは。じゃあ幼い頃にダンスの練習をサボらなかった自分を、褒めてあげなくてはいけないな」
優雅なステップを踏みながら爽やかに微笑んだファビアンは、まるで物語から飛び出してきた完璧な王子様のようだった。
曲が終わったため、アイラはゆっくりと体を離した。実際の時間より恐ろしく長く感じたため、アイラは内心疲れてしまっていた。
「ありがとうございました。ファビアン様と踊れて、一生の記念になりましたわ」
うふふ、と笑いながら遠回しに『もう踊りたくない』と伝えた。どう考えても、子爵令嬢のアイラと公爵令息のファビアンでは家柄が釣り合わないからだ。側室としてならいいかもしれないが、アイラは二番目の女になるつもりはなかった。
そして、単純にアイラはファビアンに興味がない。好きでもない男性のせいで、周りから嫌われるのは嫌だったのだ。
「アイラ嬢、もう一曲どうかな」
「まぁ、御冗談を。それに私、この後友人と約束をしておりますので失礼いたします」
真剣な表情のファビアンの顔に気が付いたアイラは、すぐにまずいと思い扇で口元を隠してふふふと微笑み頭を下げた。
「……そうか。残念だが、仕方がないね。また誘うよ」
「機会がございましたら」
そんな機会は二度とありませんように、とアイラは心の中で祈った。逃げるようにその場を去るアイラに向けて、たくさんの貴族たちの中から「チッ」という憎しみがこもった舌打ちが聞こえてきた。
「はあ、これでまた御令嬢方から嫌われたわね」
外見が整っているアイラは、昔から家格が上の御令嬢から目の敵にされていた。虐められたことも一度や二度ではない。
何もしていないのに『泥棒猫』と言われたことも、数えきれないほどある。
アイラはもう帰ろうと思い廊下に出ると、そこには鬼の形相をしたテレージアが仁王立ちで通せんぼをしていた。
「あなた、何様なの? 他の男にも色目を使っているのに、ファビアン様とも踊るだなんて」
アイラは色目など使ったことはない。むしろ、毎回迷惑しているのだ。
「きっとファビアン様のお戯れですわ」
「当たり前よ! あんたみたいな低い身分の女が、アンブロス公爵家の御令息と結婚なんてできるはずないでしょう」
テレージアはジェンキンズ公爵家の御令嬢で、ファビアンにご執心だ。だが、残念ながらファビアンには見向きもされていない。
「もちろんですわ。公爵令嬢であるテレージア様の方が、ファビアン様にお似合いです」
テレージアはそれなりに美人だが、お金をかけた豪華な衣装とゴテゴテした派手なメイクが似合っていない。そして何よりこの苛烈な性格が、顔にも表れておりとてもキツイ顔だった。
「ちょっと顔がいいからって、私を馬鹿にして!」
嫉妬に狂ったテレージアは、アイラに向かって持っていた扇を勢いよく投げつけた。アイラは下を向いて、グッと力を入れて痛みに備えた。
「おっと、危ねぇな。お嬢さん、その辺にしときな」
聞き覚えのない低い声に驚き目を開けると、アイラの目の前には大きな手があった。その手はしっかりと投げつけられた扇を掴んでいた。
「返すぞ、ほらよ」
王家騎士の制服を着た大男は、テレージアに扇を投げて返した。
「きゃあ! な、なんなのあなた。失礼よ」
「なんなのって、警備の騎士だ。それに扇を投げつけるお嬢さんの方がよっぽど失礼だろ?」
大男は、遠慮なくはっきりものを言った。
「ふ、ふん。もういいわよ。騎士ごときが私に話しかけないで!」
テレージアは顔を真っ赤にして、プイっと顔を背けて姿を消した。
「あれジェンキンズ公爵家の娘だろ? 変なのに絡まれて災難だったな」
「助けていただき、感謝致します。私はロッシュ子爵家の娘、アイラと申します。このお礼は後日必ずさせていただきますわ」
アイラは頭を下げ、丁寧にお礼を言った。アイラはまさか見知らぬ騎士に助けてもらえるなんて思っていなかったので、ドキドキと胸が高鳴っていた。
「あんたあのアイラ・ロッシュか」
自己紹介をすると、オスカーは驚いてアイラの顔を覗き込んだ。
「あの……とは?」
「あ、いや。何でもない。俺は王家直属の騎士で隊長をしているオスカー・ルーマンだ。よろしくな」
オスカーはそのままアイラを馬車まで送り届けた。
「今夜はありがとうございました」
アイラが馬車に乗り込み、もう一度お礼を言うとオスカーは急に真面目な顔になった。
「アイラ嬢」
「はい」
「君はとてもいい顔だな。俺が出逢った中で一番だ」
そう言われたアイラは、心の中で「この男もか」とがっかりした。助けてもらった時は、正直少しだけ胸がときめいた。だが、オスカーも結局は「顔」で人を選ぶ人間なのだ。アイラに芽生えかけていた恋心は急速にしぼんでいった。
「……失礼します」
アイラは無表情のまま頭を下げた。アイラとは対照的にオスカーは「またな」とニカっと笑って、馬車が見えなくなるまでぶんぶんと大きく手を振っていた。
この時のアイラは想像もしていなかった。まさかこの日を境に、オスカーから数えられなくなるほどの求婚を受けることになろうとは。
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しかしリーゼはすでに公爵令息のロベルトと結婚が決まっているため、実際にフリーなのはアイラだけだった。そのため、アイラが舞踏会に行けば下心たっぷりの貴族令息たちに常に狙われていた。
「可愛いアイラ嬢、私と踊っていただけませんか」
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どんなに面倒でも下級貴族であるアイラは、自分より家格が上の御令息からの誘いをはっきりとは断ることができない。いつも曖昧に微笑み、この場をやり過ごすしかないのだ。
「アイラ嬢、私にあなたと踊る幸せをいただけませんか?」
その声の主に気が付いて、アイラの傍に群がっていた男たちは一斉に場所を空けた。
「……ファビアン様」
「光栄だな。私を知っていてくれるなんて」
「まあ、ファビアン様を知らない令嬢なんていませんわ。私なんかでよろしければ、よろしくお願い致します」
アイラは差し出された手を素直に取った。これは、アイラがファビアンのことが好きだからではない。彼が有力なアンブロス公爵家の令息だと知っているので、抵抗しても無駄だと諦めたのだ。
「では、行こうか」
「はい」
ファビアンにエスコートをされ、アイラはダンスフロアの中心まで移動をした。アイラは彼のファンの御令嬢方からギロリと睨みつけられて、とても居心地が悪かった。
なぜなら、このファビアンという男はとても見目麗しくで、御令嬢みんなが憧れている人物だったからだ。そしてファビアンは『自分からは声をかけない』と有名だった。なのに、そんな彼がアイラに声をかけたので余計に目立ってしまっていた。
「子爵家の娘ごときがファビアン様と踊るなんて、図々しいわ」
「そうね。でも、悔しいけれど見た目はお似合いよ。ファビアン様のご尊顔に負けていないもの」
「ああ、アイラ嬢と踊れるファビアン様が羨ましい」
女はファビアンと踊れるアイラを妬み、男はアイラと踊れるファビアンに嫉妬した。
そんな嫉妬と羨望が渦巻いた会場で、二人は見事なダンスを披露していた。
「アイラ嬢、とてもダンスがお上手ですね」
「ありがとうございます。でも、全てファビアン様のリードのおかげですわ」
「はは。じゃあ幼い頃にダンスの練習をサボらなかった自分を、褒めてあげなくてはいけないな」
優雅なステップを踏みながら爽やかに微笑んだファビアンは、まるで物語から飛び出してきた完璧な王子様のようだった。
曲が終わったため、アイラはゆっくりと体を離した。実際の時間より恐ろしく長く感じたため、アイラは内心疲れてしまっていた。
「ありがとうございました。ファビアン様と踊れて、一生の記念になりましたわ」
うふふ、と笑いながら遠回しに『もう踊りたくない』と伝えた。どう考えても、子爵令嬢のアイラと公爵令息のファビアンでは家柄が釣り合わないからだ。側室としてならいいかもしれないが、アイラは二番目の女になるつもりはなかった。
そして、単純にアイラはファビアンに興味がない。好きでもない男性のせいで、周りから嫌われるのは嫌だったのだ。
「アイラ嬢、もう一曲どうかな」
「まぁ、御冗談を。それに私、この後友人と約束をしておりますので失礼いたします」
真剣な表情のファビアンの顔に気が付いたアイラは、すぐにまずいと思い扇で口元を隠してふふふと微笑み頭を下げた。
「……そうか。残念だが、仕方がないね。また誘うよ」
「機会がございましたら」
そんな機会は二度とありませんように、とアイラは心の中で祈った。逃げるようにその場を去るアイラに向けて、たくさんの貴族たちの中から「チッ」という憎しみがこもった舌打ちが聞こえてきた。
「はあ、これでまた御令嬢方から嫌われたわね」
外見が整っているアイラは、昔から家格が上の御令嬢から目の敵にされていた。虐められたことも一度や二度ではない。
何もしていないのに『泥棒猫』と言われたことも、数えきれないほどある。
アイラはもう帰ろうと思い廊下に出ると、そこには鬼の形相をしたテレージアが仁王立ちで通せんぼをしていた。
「あなた、何様なの? 他の男にも色目を使っているのに、ファビアン様とも踊るだなんて」
アイラは色目など使ったことはない。むしろ、毎回迷惑しているのだ。
「きっとファビアン様のお戯れですわ」
「当たり前よ! あんたみたいな低い身分の女が、アンブロス公爵家の御令息と結婚なんてできるはずないでしょう」
テレージアはジェンキンズ公爵家の御令嬢で、ファビアンにご執心だ。だが、残念ながらファビアンには見向きもされていない。
「もちろんですわ。公爵令嬢であるテレージア様の方が、ファビアン様にお似合いです」
テレージアはそれなりに美人だが、お金をかけた豪華な衣装とゴテゴテした派手なメイクが似合っていない。そして何よりこの苛烈な性格が、顔にも表れておりとてもキツイ顔だった。
「ちょっと顔がいいからって、私を馬鹿にして!」
嫉妬に狂ったテレージアは、アイラに向かって持っていた扇を勢いよく投げつけた。アイラは下を向いて、グッと力を入れて痛みに備えた。
「おっと、危ねぇな。お嬢さん、その辺にしときな」
聞き覚えのない低い声に驚き目を開けると、アイラの目の前には大きな手があった。その手はしっかりと投げつけられた扇を掴んでいた。
「返すぞ、ほらよ」
王家騎士の制服を着た大男は、テレージアに扇を投げて返した。
「きゃあ! な、なんなのあなた。失礼よ」
「なんなのって、警備の騎士だ。それに扇を投げつけるお嬢さんの方がよっぽど失礼だろ?」
大男は、遠慮なくはっきりものを言った。
「ふ、ふん。もういいわよ。騎士ごときが私に話しかけないで!」
テレージアは顔を真っ赤にして、プイっと顔を背けて姿を消した。
「あれジェンキンズ公爵家の娘だろ? 変なのに絡まれて災難だったな」
「助けていただき、感謝致します。私はロッシュ子爵家の娘、アイラと申します。このお礼は後日必ずさせていただきますわ」
アイラは頭を下げ、丁寧にお礼を言った。アイラはまさか見知らぬ騎士に助けてもらえるなんて思っていなかったので、ドキドキと胸が高鳴っていた。
「あんたあのアイラ・ロッシュか」
自己紹介をすると、オスカーは驚いてアイラの顔を覗き込んだ。
「あの……とは?」
「あ、いや。何でもない。俺は王家直属の騎士で隊長をしているオスカー・ルーマンだ。よろしくな」
オスカーはそのままアイラを馬車まで送り届けた。
「今夜はありがとうございました」
アイラが馬車に乗り込み、もう一度お礼を言うとオスカーは急に真面目な顔になった。
「アイラ嬢」
「はい」
「君はとてもいい顔だな。俺が出逢った中で一番だ」
そう言われたアイラは、心の中で「この男もか」とがっかりした。助けてもらった時は、正直少しだけ胸がときめいた。だが、オスカーも結局は「顔」で人を選ぶ人間なのだ。アイラに芽生えかけていた恋心は急速にしぼんでいった。
「……失礼します」
アイラは無表情のまま頭を下げた。アイラとは対照的にオスカーは「またな」とニカっと笑って、馬車が見えなくなるまでぶんぶんと大きく手を振っていた。
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