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17 復讐
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「すみません。ハビは忙しいのに、私だけゆっくりするなんて」
「そんなこと気にしないで、楽しんで来て欲しい。王家に嫁いだことで、君の家族とは公の場ではどうしても他人行儀にしなければいけないから……プライベートくらいは甘えておいで」
ハビエルは、マルティナの髪を優しく撫でた。
他人行儀にならねばいけない理由は、マルティナが王太子妃になったことで両親や兄姉よりも家格が上になってしまったからだ。
「本当に良いのでしょうか。王太子妃が、自分の家族と度々会うのは良くないのでは?」
「何を言う。そんなのは昔々の王族の話だよ。最近は色々な決まりも緩やかになっている。私の母上も、よく生家に帰っていたよ。あまり公にはしていないけどね」
「そうですか。では、楽しんでまいります。ありがとうございます」
「いってっしゃい」
今日はペドロサ公爵が『ディアナが子どもを連れて遊びに来るから、久々に家族で集まらないか』とマルティナを生家に自然に誘ってくれたのだ。これで計画通り。
「クラレンス、すまないが一時間後に裏口にバルバストル伯爵とアリソン嬢の迎えを頼む。その時、一時的に警備も下がらせる」
「わかった。しかし、あいつはすぐに話に飛びついてきたな」
「ああ。警戒心が無さすぎて、手応えがない。やはりあの男は三流だな」
事前にハビエルは、秘密裏にバルバストル伯爵に『あなたと王宮でゆっくり食事がしたい』と誘っていた。
嬉しそうな顔をしたバルバストル伯爵に、駄目押しで『美しいアリソン嬢も一緒に』と耳打ちをして『もちろんマルティナのいない日に』と念を押した。
実際は、マルティナに危害を与えさせないためだが……この言い方をすればバルバストルが勝手に『自分たちは選ばれたのだ』と勘違いをすると確信していた。
♢♢♢
「お連れしました」
クラレンスが、バルバストル伯爵とアリソンを連れて客間に入って来た。ハビエルの側近自らの出迎えに、二人はご機嫌だった。
「わざわざ来てもらってすまないな」
「いえいえ、お誘いいただき光栄にございます」
「ハビエル殿下、ご機嫌麗しゅうございますわ」
一緒に現れたアリソンは、普段舞踏会で見かける時よりかなり着飾っておりそれだけ気合いが入っていることがわかる。
ここに来る前にバルバストル伯爵は、娘のアリソンに『殿下の妻になるチャンスだ』などと何度も言い聞かせていた。
アリソンは自分が美人なので、きっとハビエルが気に入ってくれたのだろうと自信を持っていた。
「……下品な」
ハビエルはアリソンを見て、つい小さな声が漏れてしまった。
「殿下、何か仰いましたか?」
「いや。なんでもない。さあ、席に着いてくれ」
ハビエルはニッコリと笑顔を作り、さっきの言葉を誤魔化した。
造形としては綺麗なのかもしれないが、アリソンは胸の大きく開いたセクシーなドレスを着て、ゴテゴテと宝石をたくさんつけ……睫毛もバサバサとすごいボリュームになっている。
そして、香水がきつい。これから食事をするというのに、こんなに甘い香りをつけてはいい迷惑だ。
ハビエルは『マルティナならこんな恥知らずなことはしない』と、どうしても愛おしい妻と比較してしまう。
「さあ、いただきましょう。今日はとっておきの料理を用意したのですよ」
初めに、鮮やかな野菜とエビを使った前菜のテリーヌが運ばれてきた。
「とても美味しいですわね」
「あぁ、さすが王宮のシェフはすごいですな」
それから、雑談を交えながらの和やかに食事が始まった。
「食事が終わったら、娘を庭園に連れて行ってやってくれませんか? この子は、綺麗な花が大好きなんですよ」
「はは……そうなのですね」
「私は用事があるので、是非二人っきりで」
「まぁ、お父様ったら。殿下はお忙しいのに、そんなことを言ってはご迷惑ですわ」
含みのある言い方をしたバルバストル伯爵と、もじもじと照れているアリソンに吐き気がしたが、ハビエルはなんとか我慢した。
結婚している男と未婚の令嬢を二人きりにするなど、本来ならあり得ない。そもそもハビエルは『側室を持たない』と宣言しているのに、こんなにあからさまに擦り寄ってくる神経が信じられない。
いや……ハビエルが側室を持たない主義なら、マルティナに手をかけて正室を消そうとするような下衆な奴等だ。どうせ自分たちの都合しか考えていない。
その時、二品目のスープがテーブルに運ばれてきた。
「このスープは、今日のために作ってもらった特別なものなのですよ」
「そうなのですか?」
「ええ。一口飲めば天に召されるほど美味しいと評判なのです」
「それは楽しみですわ」
ハビエルは美しい顔で、口角だけ上げて微笑んでいた。
「この特別な調味料をたっぷり使っているのです」
テーブルの上にわざとコトリと音を立てて、バルバストル伯爵によく見える位置に小瓶を置いた。
「そのようなものがあるのですね。いただくのが楽しみですわ」
呑気にそんなことを言ってスープを飲もうとしているアリソンは、どうやら何も知らないらしい。一方、バルバストル伯爵はその見覚えがある瓶に気が付き真っ青になってガタガタと震えだした。
「さあ、召し上がれ」
「はい」
そう返事をして、スプーンを持ち上げたアリソンの手をバルバストル伯爵は強く跳ねのけた。
「飲むなっ!」
「お、お父様……?」
カランと床にスプーンが落ちて、テーブルからはポタポタとスープが零れている。いきなり豹変した父親に、アリソンは目を見開いて驚いていた。
「すぐに新しいものを用意しましょう」
「い、いえ。わ……私、急用を思い出しまして。申し訳ありませんが、娘とここで失礼いたします」
冷や汗をかいているバルバストル伯爵は、慌てて席を立った。ハビエルは、ゆっくりと近付いて伯爵の肩を強めに押さえつけて再度座らせた。
「スープを飲む時間くらいはあろう?」
「いえ、その……」
「私が用意した特別なものを食せないと申すのか?」
バルバストル伯爵は、隙を見て皿を床に落とした。
「あぁ……なんと勿体ない」
「も、申し訳ございません。このお詫びは必ず後日させていただきます」
震えながらも、目の前からスープが無くなったことでどこかホッとしている様子だった。
「クラレンス、持ってきてくれ」
「はい」
クラレンスは、新しいスープの皿を持ってきてバルバストル伯爵の目の前に置いた。
「ひいぃっ……!」
「私が食べさせてやろう」
スプーンにスープを掬い、口元に持っていくがバルバストル伯爵は口をぎゅっと引き結んでいた。
「さあ、口を開けよ」
ハビエルは無表情のまま、顎を片手で押さえ指で無理矢理口をこじ開けスプーンを差し込んだ。
「やるからには、やられる覚悟を持たねばな。そうは思わんか?」
ギロリと鋭い瞳で睨みつけたハビエルを見て、バルバストル伯爵は恐ろしくて力が抜けてしまった。
「ぐっ……ううっ……!」
そのまま意識を失った伯爵を、ハビエルはめんどくさそうに床に落とした。
ドサリと倒れた父親を見て、さっきまでオロオロしていたアリソンが泣き叫んでいる。
「……煩い。さっさと連れて行け」
「はい」
ハビエルは汚れた手を、ハンカチで拭ってゴミ箱に捨てた。
「命を奪わないだけ感謝して欲しいものだな」
あのスープに毒は入っていない。全く同じ物を取り寄せ、脅しただけ。意識を失ったのは、強力な睡眠薬のせいだ。
本音を言うと、ハビエルはマルティナを暗殺しようとした人間など生きている価値はないと思っている。
だがハビエルが処刑したとわかれば、優しいマルティナは心を痛めるだろう。だから、殺しはしない。
ハビエルはすぐに自室に戻り、シャワーを浴びた。アリアナの香水の匂いを消したかったし、バルバストル伯爵の口をこじ開けた時の感触も気持ち悪かった。
新しい服に身を包み込み、しばらくするとマルティナが戻って来た。
「ハビ、ただいま帰りました」
久々に家族に会えたことが嬉しいのか笑顔で部屋に入ってきたマルティナを見て、ハビエルは心が落ち着いた。
「おかえり」
甘えるように頬を寄せると、いい匂いがふわりと薫ってきた。ハビエルはその幸せを噛み締めて、ぎゅっと強く抱き寄せた。
「……おかえり」
「ん? はい、ただいまです」
「うん、おかえり」
「ふふ……何度仰るのですか」
何度も『おかえり』というハビエルに、マルティナはくすくすと笑い出した。
「……無事でよかった」
自分の出した声が掠れて弱々しかったことに、ハビエルは『格好悪い』と思ったが、それも仕方がないと開き直った。
だって、それだけマルティナのことを愛しているのだから。
「無事って、ペドロサ家に戻っていただけですよ?」
「……そうだね」
「どうしました? 元気がないように見えます。何かあったのですか?」
「いや、何もない。疲れたのかもしれないな。ティーナからキスしてくれたら治ると思う」
冗談っぽく頬を指差してツンツンと突いた。普段マルティナからキスをしてくれることは少ない。
だから、きっと真っ赤になって恥ずかしがるだろうと思っていたのに、マルティナは少しだけ背伸びをして唇にキスをした。
ちゅっ
「ティ、ティーナ……!?」
「治りました?」
「……治った」
真っ赤になったのは、まさかのハビエルの方だった。
その日を境に、マルティナの元には不審な手紙は届かなくなった。不思議に思いながらも『やはり悪戯だったのだ』とそのうちマルティナは、手紙の存在すら忘れるようになった。
「そんなこと気にしないで、楽しんで来て欲しい。王家に嫁いだことで、君の家族とは公の場ではどうしても他人行儀にしなければいけないから……プライベートくらいは甘えておいで」
ハビエルは、マルティナの髪を優しく撫でた。
他人行儀にならねばいけない理由は、マルティナが王太子妃になったことで両親や兄姉よりも家格が上になってしまったからだ。
「本当に良いのでしょうか。王太子妃が、自分の家族と度々会うのは良くないのでは?」
「何を言う。そんなのは昔々の王族の話だよ。最近は色々な決まりも緩やかになっている。私の母上も、よく生家に帰っていたよ。あまり公にはしていないけどね」
「そうですか。では、楽しんでまいります。ありがとうございます」
「いってっしゃい」
今日はペドロサ公爵が『ディアナが子どもを連れて遊びに来るから、久々に家族で集まらないか』とマルティナを生家に自然に誘ってくれたのだ。これで計画通り。
「クラレンス、すまないが一時間後に裏口にバルバストル伯爵とアリソン嬢の迎えを頼む。その時、一時的に警備も下がらせる」
「わかった。しかし、あいつはすぐに話に飛びついてきたな」
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事前にハビエルは、秘密裏にバルバストル伯爵に『あなたと王宮でゆっくり食事がしたい』と誘っていた。
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「……下品な」
ハビエルはアリソンを見て、つい小さな声が漏れてしまった。
「殿下、何か仰いましたか?」
「いや。なんでもない。さあ、席に着いてくれ」
ハビエルはニッコリと笑顔を作り、さっきの言葉を誤魔化した。
造形としては綺麗なのかもしれないが、アリソンは胸の大きく開いたセクシーなドレスを着て、ゴテゴテと宝石をたくさんつけ……睫毛もバサバサとすごいボリュームになっている。
そして、香水がきつい。これから食事をするというのに、こんなに甘い香りをつけてはいい迷惑だ。
ハビエルは『マルティナならこんな恥知らずなことはしない』と、どうしても愛おしい妻と比較してしまう。
「さあ、いただきましょう。今日はとっておきの料理を用意したのですよ」
初めに、鮮やかな野菜とエビを使った前菜のテリーヌが運ばれてきた。
「とても美味しいですわね」
「あぁ、さすが王宮のシェフはすごいですな」
それから、雑談を交えながらの和やかに食事が始まった。
「食事が終わったら、娘を庭園に連れて行ってやってくれませんか? この子は、綺麗な花が大好きなんですよ」
「はは……そうなのですね」
「私は用事があるので、是非二人っきりで」
「まぁ、お父様ったら。殿下はお忙しいのに、そんなことを言ってはご迷惑ですわ」
含みのある言い方をしたバルバストル伯爵と、もじもじと照れているアリソンに吐き気がしたが、ハビエルはなんとか我慢した。
結婚している男と未婚の令嬢を二人きりにするなど、本来ならあり得ない。そもそもハビエルは『側室を持たない』と宣言しているのに、こんなにあからさまに擦り寄ってくる神経が信じられない。
いや……ハビエルが側室を持たない主義なら、マルティナに手をかけて正室を消そうとするような下衆な奴等だ。どうせ自分たちの都合しか考えていない。
その時、二品目のスープがテーブルに運ばれてきた。
「このスープは、今日のために作ってもらった特別なものなのですよ」
「そうなのですか?」
「ええ。一口飲めば天に召されるほど美味しいと評判なのです」
「それは楽しみですわ」
ハビエルは美しい顔で、口角だけ上げて微笑んでいた。
「この特別な調味料をたっぷり使っているのです」
テーブルの上にわざとコトリと音を立てて、バルバストル伯爵によく見える位置に小瓶を置いた。
「そのようなものがあるのですね。いただくのが楽しみですわ」
呑気にそんなことを言ってスープを飲もうとしているアリソンは、どうやら何も知らないらしい。一方、バルバストル伯爵はその見覚えがある瓶に気が付き真っ青になってガタガタと震えだした。
「さあ、召し上がれ」
「はい」
そう返事をして、スプーンを持ち上げたアリソンの手をバルバストル伯爵は強く跳ねのけた。
「飲むなっ!」
「お、お父様……?」
カランと床にスプーンが落ちて、テーブルからはポタポタとスープが零れている。いきなり豹変した父親に、アリソンは目を見開いて驚いていた。
「すぐに新しいものを用意しましょう」
「い、いえ。わ……私、急用を思い出しまして。申し訳ありませんが、娘とここで失礼いたします」
冷や汗をかいているバルバストル伯爵は、慌てて席を立った。ハビエルは、ゆっくりと近付いて伯爵の肩を強めに押さえつけて再度座らせた。
「スープを飲む時間くらいはあろう?」
「いえ、その……」
「私が用意した特別なものを食せないと申すのか?」
バルバストル伯爵は、隙を見て皿を床に落とした。
「あぁ……なんと勿体ない」
「も、申し訳ございません。このお詫びは必ず後日させていただきます」
震えながらも、目の前からスープが無くなったことでどこかホッとしている様子だった。
「クラレンス、持ってきてくれ」
「はい」
クラレンスは、新しいスープの皿を持ってきてバルバストル伯爵の目の前に置いた。
「ひいぃっ……!」
「私が食べさせてやろう」
スプーンにスープを掬い、口元に持っていくがバルバストル伯爵は口をぎゅっと引き結んでいた。
「さあ、口を開けよ」
ハビエルは無表情のまま、顎を片手で押さえ指で無理矢理口をこじ開けスプーンを差し込んだ。
「やるからには、やられる覚悟を持たねばな。そうは思わんか?」
ギロリと鋭い瞳で睨みつけたハビエルを見て、バルバストル伯爵は恐ろしくて力が抜けてしまった。
「ぐっ……ううっ……!」
そのまま意識を失った伯爵を、ハビエルはめんどくさそうに床に落とした。
ドサリと倒れた父親を見て、さっきまでオロオロしていたアリソンが泣き叫んでいる。
「……煩い。さっさと連れて行け」
「はい」
ハビエルは汚れた手を、ハンカチで拭ってゴミ箱に捨てた。
「命を奪わないだけ感謝して欲しいものだな」
あのスープに毒は入っていない。全く同じ物を取り寄せ、脅しただけ。意識を失ったのは、強力な睡眠薬のせいだ。
本音を言うと、ハビエルはマルティナを暗殺しようとした人間など生きている価値はないと思っている。
だがハビエルが処刑したとわかれば、優しいマルティナは心を痛めるだろう。だから、殺しはしない。
ハビエルはすぐに自室に戻り、シャワーを浴びた。アリアナの香水の匂いを消したかったし、バルバストル伯爵の口をこじ開けた時の感触も気持ち悪かった。
新しい服に身を包み込み、しばらくするとマルティナが戻って来た。
「ハビ、ただいま帰りました」
久々に家族に会えたことが嬉しいのか笑顔で部屋に入ってきたマルティナを見て、ハビエルは心が落ち着いた。
「おかえり」
甘えるように頬を寄せると、いい匂いがふわりと薫ってきた。ハビエルはその幸せを噛み締めて、ぎゅっと強く抱き寄せた。
「……おかえり」
「ん? はい、ただいまです」
「うん、おかえり」
「ふふ……何度仰るのですか」
何度も『おかえり』というハビエルに、マルティナはくすくすと笑い出した。
「……無事でよかった」
自分の出した声が掠れて弱々しかったことに、ハビエルは『格好悪い』と思ったが、それも仕方がないと開き直った。
だって、それだけマルティナのことを愛しているのだから。
「無事って、ペドロサ家に戻っていただけですよ?」
「……そうだね」
「どうしました? 元気がないように見えます。何かあったのですか?」
「いや、何もない。疲れたのかもしれないな。ティーナからキスしてくれたら治ると思う」
冗談っぽく頬を指差してツンツンと突いた。普段マルティナからキスをしてくれることは少ない。
だから、きっと真っ赤になって恥ずかしがるだろうと思っていたのに、マルティナは少しだけ背伸びをして唇にキスをした。
ちゅっ
「ティ、ティーナ……!?」
「治りました?」
「……治った」
真っ赤になったのは、まさかのハビエルの方だった。
その日を境に、マルティナの元には不審な手紙は届かなくなった。不思議に思いながらも『やはり悪戯だったのだ』とそのうちマルティナは、手紙の存在すら忘れるようになった。
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