15 / 23
15 恐ろしい男
しおりを挟む
翌日ご機嫌で鼻歌を歌いながら書類を片付けているハビエルに、親友のクラレンスは苦言を呈した。
もちろん人が居る場所では王太子であるハビエルを立てるが、二人きりの時はクラレンスはただの親友として接することを許されている。
「……肌が艶々じゃねぇか」
「まあね」
昨夜マルティナとたくさん愛し合ったハビエルは、心身共に満たされていた。多少の寝不足なんて気にならないくらい、すこぶる調子が良い。
「お前な! 昨日の会議、さすがに早く切り上げすぎだろう」
「……必要なことはきちんと話し合った」
「あの後の処理、全部こっちに押し付けやがって!」
昨日ハビエルは最低限の仕事を、最短で済ませた。しかし、後の面倒臭い処理はクラレンスに押し付け……いや、お願いしてマルティナの元に向かったのだ。
「急いでいた理由が『王太子妃を迎えに行く』なんて……はぁ……呆れるぜ」
側近のクラレンスは、頭を抱えながらハビエルに説教をしていた。
「最も大事な用じゃないか」
「会議の後に会えばいいだろうが!」
「……それでは遅い。あのユベール伯爵家で開催されている茶会だったんだぞ! くそ、早く知っていれば行かせなかったのに」
「はぁ? それの何が問題なんだよ。ユベール伯爵家は品行方正で、王家の信頼も厚い貴族じゃねぇか。王太子妃がコリンヌ嬢と仲良くするのは良いことだろう?」
クラレンスは意味がわからなくて、首を傾げた。ユベール伯爵家の人間がマルティナに何かをするとは思えなかった。
「コリンヌ嬢は問題ではない」
「じゃあ、なんだよ」
「……問題は弟のアルバンだ。彼はこの前、初めて伯爵に連れられて舞踏会に来ていたんだ」
♢♢♢
アルバンはまだ十五歳だが、背が高くワイルドな雰囲気を持った凛々しい男だった。見た目だけではなく、学校の成績もなかなか良いらしい。
社交界に新しい優良物件が現れたことで、舞踏会に参加していた未婚の御令嬢方は一気に色めき立った。
「まあ、ユベール伯爵家の御子息なのね」
「まだお若いのに、素敵だわ」
「男らしい見た目なのに、まだ舞踏会に慣れていない様子が可愛いわね」
父親と姉のコリンヌが近くを離れた隙に、あっという間に御令嬢たちに囲まれてアルバンはあからさまに困っていた。
『社交界の洗礼を受けているな』
ハビエルは遠くからアルバンの様子をみて、そう思っていた。これは、もてる男の宿命だ。御令嬢に囲まれても、紳士的に上手く切り抜ける技を自分で身につけるしかない。
「まあ、コリンヌ様の弟君が困っていらっしゃいますわ。ハビ、少しご挨拶をして参りますわね」
「……え? いや、ティーナがわざわざ行かなくてもいいんじゃないか」
「コリンヌ様にはいつも仲良くしていただいてますの。それに、初めてでお可哀想だわ」
そう言って、マルティナはするすると人をすり抜けてアルバンのいる方に歩いて行った。もちろんハビエルも追いかけようとしたが、途中で様々な人に足止めをされてなかなか進めなかった。
「皆様、ご機嫌よう」
マルティナがそう声をかけると、アルバンに群がっていた御令嬢方が驚いて道をあけ頭を下げた。
「王太子妃殿下!」
「皆様、頭をあげてくださいませ。あの、アルバン様と少しお話ししてもよろしいかしら」
「もちろんでございます」
その一言で皆はその場を離れていった。
「お、お久しぶりでございます」
アルバンは、まさか自分に話しかけられるとは思わずに慌てて頭を下げた。
「久しぶりですね。以前お会いしたときより、すごく逞しくなられたわ。いつもお姉様とは仲良くしていただいていますの」
「は、はい。姉上からよくお話は聞いております」
「そうですか。これからもよろしく頼みますわ」
「は、はい。あの……助けていただいてありがとうございました」
周りに聞こえないように、マルティナに近付いて小声でお礼を伝えた。
「いいえ、私は何もしておりませんわ。社交界は大変なことも多いですが、是非舞踏会をお楽しみになってくださいませ。では」
優しくニコリと微笑んだマルティナに、アルバンはポッと頬を染めた。
ハビエルは、アルバンがマルティナに見惚れていたこと、そしてやけに距離が近かったことを見逃していなかった。
「……アルバン・ユベールか」
その時からハビエルは、マルティナに近付く要注意リストにアルバンの名前を入れた。
御令嬢方に人気のある優秀な男は、基本的にマルティナの視界に入れたくはない。
ハビエルは自分が他の男に負けるとは微塵も思ってはいないし、マルティナが浮気するとも微塵も思っていない。
そもそもこの国の王太子妃であるマルティナに、手を出す馬鹿な奴がいるはずがない。
だが、小さな芽を摘んでおくことは大事だ。嫉妬深いハビエルは、本当は自分以外の男がマルティナに片想いしていることすら嫌だったからだ。
♢♢♢
「お前……まさか家にアルバンがいるから心配で、ユベール伯爵家まで行ったのか!?」
「そうだ」
「若い時に、年上の女性に憧れることくらいあるだろ? 別にいいじゃねぇか。それくらいの淡い恋心許してやれよ」
クラレンスが呑気にそんなことを言うので、ハビエルは机を叩いて反論した。
「いいわけないだろう!」
「なんでだよ。片想いしてても、お前や王太子妃には迷惑かけてねぇだろ」
「十五歳の男なんて自分の好きな女性で何を想像してるか……考えるのも恐ろしい! 絶対、絶対に許すことなんてできない」
大きな声で真剣に怒り出したハビエルに、クラレンスは苦笑いをした。
「あー……ああ、まあな」
「だろ?」
「経験者が言うんだから間違いない」
クラレンスは揶揄うようにニヤニヤと笑い、ハビエルを横目で見た。
片想い中に、ハビエルは何度マルティナを頭の中で抱いたかわからない。絶対にマルティナには知られてはいけないような、あり得ない妄想までしてしまっている。
聖人君子のような顔をしていても、マルティナのことに関してはハビエルは普通の男だ。
「だから、迎えに行った時にアルバンの前で存分に仲の良さをアピールしておいた」
「あちゃー……可哀想」
「初心な彼は顔を染めて、恥ずかしそうに俯いていたよ」
もちろんハビエルがそれだけで終わるはずはなく、父親であるユベール伯爵に見合い話を数件紹介した。優秀なアルバンに相応しい、一流の御令嬢たちばかりだ。
「美人で性格も良い女性ばかりだ。きっと一人くらい気にいるだろう。アルバンは将来有望だから、敵対したくないからね」
全然笑っていないのに、ニッと口角だけ上げるハビエルを見てクラレンスはゾクリと背筋が凍った。
ハビエルは抜かりない策略家だ。柔和な雰囲気を纏ってはいるが、本当のハビエルは優しいだけの男ではない。
「きっとすぐにいい縁が結ばれるさ」
「……お前、恐いわ」
「心外だな。私はキューピッド役を買って出ただけさ」
爽やかに笑っているハビエルは、きっとマルティナへの興味を逸らすためだけにこの見合い話を進めたのだろう。
だが、結果として政略結婚ではあるが両家にとっては良い話になるのだから……完璧な采配だった。しかも、マルティナには一切この裏工作は気付かれない。
「初恋は実らないってか? 甘酸っぱいな」
「私は実ったけどな」
ふふんと得意げな顔をするハビエルは、王太子の仮面を外しいて年相応の男に見えた。
「まあ、お前が幸せならそれでいいわ」
「私はティーナがいれば幸せだ」
「はい、はい」
クラレンスは、王太子としての重圧を跳ね除けて立派に公務をしている親友が、少しでも楽になるように自分も頑張ろうと心に決めた。
そして、絶対にこの恐ろしい男の敵には回らないようにしようと思った。
もちろん人が居る場所では王太子であるハビエルを立てるが、二人きりの時はクラレンスはただの親友として接することを許されている。
「……肌が艶々じゃねぇか」
「まあね」
昨夜マルティナとたくさん愛し合ったハビエルは、心身共に満たされていた。多少の寝不足なんて気にならないくらい、すこぶる調子が良い。
「お前な! 昨日の会議、さすがに早く切り上げすぎだろう」
「……必要なことはきちんと話し合った」
「あの後の処理、全部こっちに押し付けやがって!」
昨日ハビエルは最低限の仕事を、最短で済ませた。しかし、後の面倒臭い処理はクラレンスに押し付け……いや、お願いしてマルティナの元に向かったのだ。
「急いでいた理由が『王太子妃を迎えに行く』なんて……はぁ……呆れるぜ」
側近のクラレンスは、頭を抱えながらハビエルに説教をしていた。
「最も大事な用じゃないか」
「会議の後に会えばいいだろうが!」
「……それでは遅い。あのユベール伯爵家で開催されている茶会だったんだぞ! くそ、早く知っていれば行かせなかったのに」
「はぁ? それの何が問題なんだよ。ユベール伯爵家は品行方正で、王家の信頼も厚い貴族じゃねぇか。王太子妃がコリンヌ嬢と仲良くするのは良いことだろう?」
クラレンスは意味がわからなくて、首を傾げた。ユベール伯爵家の人間がマルティナに何かをするとは思えなかった。
「コリンヌ嬢は問題ではない」
「じゃあ、なんだよ」
「……問題は弟のアルバンだ。彼はこの前、初めて伯爵に連れられて舞踏会に来ていたんだ」
♢♢♢
アルバンはまだ十五歳だが、背が高くワイルドな雰囲気を持った凛々しい男だった。見た目だけではなく、学校の成績もなかなか良いらしい。
社交界に新しい優良物件が現れたことで、舞踏会に参加していた未婚の御令嬢方は一気に色めき立った。
「まあ、ユベール伯爵家の御子息なのね」
「まだお若いのに、素敵だわ」
「男らしい見た目なのに、まだ舞踏会に慣れていない様子が可愛いわね」
父親と姉のコリンヌが近くを離れた隙に、あっという間に御令嬢たちに囲まれてアルバンはあからさまに困っていた。
『社交界の洗礼を受けているな』
ハビエルは遠くからアルバンの様子をみて、そう思っていた。これは、もてる男の宿命だ。御令嬢に囲まれても、紳士的に上手く切り抜ける技を自分で身につけるしかない。
「まあ、コリンヌ様の弟君が困っていらっしゃいますわ。ハビ、少しご挨拶をして参りますわね」
「……え? いや、ティーナがわざわざ行かなくてもいいんじゃないか」
「コリンヌ様にはいつも仲良くしていただいてますの。それに、初めてでお可哀想だわ」
そう言って、マルティナはするすると人をすり抜けてアルバンのいる方に歩いて行った。もちろんハビエルも追いかけようとしたが、途中で様々な人に足止めをされてなかなか進めなかった。
「皆様、ご機嫌よう」
マルティナがそう声をかけると、アルバンに群がっていた御令嬢方が驚いて道をあけ頭を下げた。
「王太子妃殿下!」
「皆様、頭をあげてくださいませ。あの、アルバン様と少しお話ししてもよろしいかしら」
「もちろんでございます」
その一言で皆はその場を離れていった。
「お、お久しぶりでございます」
アルバンは、まさか自分に話しかけられるとは思わずに慌てて頭を下げた。
「久しぶりですね。以前お会いしたときより、すごく逞しくなられたわ。いつもお姉様とは仲良くしていただいていますの」
「は、はい。姉上からよくお話は聞いております」
「そうですか。これからもよろしく頼みますわ」
「は、はい。あの……助けていただいてありがとうございました」
周りに聞こえないように、マルティナに近付いて小声でお礼を伝えた。
「いいえ、私は何もしておりませんわ。社交界は大変なことも多いですが、是非舞踏会をお楽しみになってくださいませ。では」
優しくニコリと微笑んだマルティナに、アルバンはポッと頬を染めた。
ハビエルは、アルバンがマルティナに見惚れていたこと、そしてやけに距離が近かったことを見逃していなかった。
「……アルバン・ユベールか」
その時からハビエルは、マルティナに近付く要注意リストにアルバンの名前を入れた。
御令嬢方に人気のある優秀な男は、基本的にマルティナの視界に入れたくはない。
ハビエルは自分が他の男に負けるとは微塵も思ってはいないし、マルティナが浮気するとも微塵も思っていない。
そもそもこの国の王太子妃であるマルティナに、手を出す馬鹿な奴がいるはずがない。
だが、小さな芽を摘んでおくことは大事だ。嫉妬深いハビエルは、本当は自分以外の男がマルティナに片想いしていることすら嫌だったからだ。
♢♢♢
「お前……まさか家にアルバンがいるから心配で、ユベール伯爵家まで行ったのか!?」
「そうだ」
「若い時に、年上の女性に憧れることくらいあるだろ? 別にいいじゃねぇか。それくらいの淡い恋心許してやれよ」
クラレンスが呑気にそんなことを言うので、ハビエルは机を叩いて反論した。
「いいわけないだろう!」
「なんでだよ。片想いしてても、お前や王太子妃には迷惑かけてねぇだろ」
「十五歳の男なんて自分の好きな女性で何を想像してるか……考えるのも恐ろしい! 絶対、絶対に許すことなんてできない」
大きな声で真剣に怒り出したハビエルに、クラレンスは苦笑いをした。
「あー……ああ、まあな」
「だろ?」
「経験者が言うんだから間違いない」
クラレンスは揶揄うようにニヤニヤと笑い、ハビエルを横目で見た。
片想い中に、ハビエルは何度マルティナを頭の中で抱いたかわからない。絶対にマルティナには知られてはいけないような、あり得ない妄想までしてしまっている。
聖人君子のような顔をしていても、マルティナのことに関してはハビエルは普通の男だ。
「だから、迎えに行った時にアルバンの前で存分に仲の良さをアピールしておいた」
「あちゃー……可哀想」
「初心な彼は顔を染めて、恥ずかしそうに俯いていたよ」
もちろんハビエルがそれだけで終わるはずはなく、父親であるユベール伯爵に見合い話を数件紹介した。優秀なアルバンに相応しい、一流の御令嬢たちばかりだ。
「美人で性格も良い女性ばかりだ。きっと一人くらい気にいるだろう。アルバンは将来有望だから、敵対したくないからね」
全然笑っていないのに、ニッと口角だけ上げるハビエルを見てクラレンスはゾクリと背筋が凍った。
ハビエルは抜かりない策略家だ。柔和な雰囲気を纏ってはいるが、本当のハビエルは優しいだけの男ではない。
「きっとすぐにいい縁が結ばれるさ」
「……お前、恐いわ」
「心外だな。私はキューピッド役を買って出ただけさ」
爽やかに笑っているハビエルは、きっとマルティナへの興味を逸らすためだけにこの見合い話を進めたのだろう。
だが、結果として政略結婚ではあるが両家にとっては良い話になるのだから……完璧な采配だった。しかも、マルティナには一切この裏工作は気付かれない。
「初恋は実らないってか? 甘酸っぱいな」
「私は実ったけどな」
ふふんと得意げな顔をするハビエルは、王太子の仮面を外しいて年相応の男に見えた。
「まあ、お前が幸せならそれでいいわ」
「私はティーナがいれば幸せだ」
「はい、はい」
クラレンスは、王太子としての重圧を跳ね除けて立派に公務をしている親友が、少しでも楽になるように自分も頑張ろうと心に決めた。
そして、絶対にこの恐ろしい男の敵には回らないようにしようと思った。
91
お気に入りに追加
1,453
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
【掌編集】今までお世話になりました旦那様もお元気で〜妻の残していった離婚受理証明書を握りしめイケメン公爵は涙と鼻水を垂らす
まほりろ
恋愛
新婚初夜に「君を愛してないし、これからも愛するつもりはない」と言ってしまった公爵。
彼は今まで、天才、美男子、完璧な貴公子、ポーカーフェイスが似合う氷の公爵などと言われもてはやされてきた。
しかし新婚初夜に暴言を吐いた女性が、初恋の人で、命の恩人で、伝説の聖女で、妖精の愛し子であったことを知り意気消沈している。
彼の手には元妻が置いていった「離婚受理証明書」が握られていた……。
他掌編七作品収録。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します
「Copyright(C)2023-まほりろ/若松咲良」
某小説サイトに投稿した掌編八作品をこちらに転載しました。
【収録作品】
①「今までお世話になりました旦那様もお元気で〜ポーカーフェイスの似合う天才貴公子と称された公爵は、妻の残していった離婚受理証明書を握りしめ涙と鼻水を垂らす」
②「何をされてもやり返せない臆病な公爵令嬢は、王太子に竜の生贄にされ壊れる。能ある鷹と天才美少女は爪を隠す」
③「運命的な出会いからの即日プロポーズ。婚約破棄された天才錬金術師は新しい恋に生きる!」
④「4月1日10時30分喫茶店ルナ、婚約者は遅れてやってきた〜新聞は星座占いを見る為だけにある訳ではない」
⑤「『お姉様はズルい!』が口癖の双子の弟が現世の婚約者! 前世では弟を立てる事を親に強要され馬鹿の振りをしていましたが、現世では奴とは他人なので天才として実力を充分に発揮したいと思います!」
⑥「婚約破棄をしたいと彼は言った。契約書とおふだにご用心」
⑦「伯爵家に半世紀仕えた老メイドは伯爵親子の罠にハマり無一文で追放される。老メイドを助けたのはポーカーフェイスの美女でした」
⑧「お客様の中に褒め褒めの感想を書ける方はいらっしゃいませんか? 天才美文感想書きVS普通の少女がえんぴつで書いた感想!」
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
勘違い妻は騎士隊長に愛される。
更紗
恋愛
政略結婚後、退屈な毎日を送っていたレオノーラの前に現れた、旦那様の元カノ。
ああ なるほど、身分違いの恋で引き裂かれたから別れてくれと。よっしゃそんなら離婚して人生軌道修正いたしましょう!とばかりに勢い込んで旦那様に離縁を勧めてみたところ――
あれ?何か怒ってる?
私が一体何をした…っ!?なお話。
有り難い事に書籍化の運びとなりました。これもひとえに読んで下さった方々のお蔭です。本当に有難うございます。
※本編完結後、脇役キャラの外伝を連載しています。本編自体は終わっているので、その都度完結表示になっております。ご了承下さい。

最愛の婚約者に婚約破棄されたある侯爵令嬢はその想いを大切にするために自主的に修道院へ入ります。
ひよこ麺
恋愛
ある国で、あるひとりの侯爵令嬢ヨハンナが婚約破棄された。
ヨハンナは他の誰よりも婚約者のパーシヴァルを愛していた。だから彼女はその想いを抱えたまま修道院へ入ってしまうが、元婚約者を誑かした女は悲惨な末路を辿り、元婚約者も……
※この作品には残酷な表現とホラーっぽい遠回しなヤンデレが多分に含まれます。苦手な方はご注意ください。
また、一応転生者も出ます。
実家から絶縁されたので好きに生きたいと思います
榎夜
ファンタジー
婚約者が妹に奪われた挙句、家から絶縁されました。
なので、これからは自分自身の為に生きてもいいですよね?
【ご報告】
書籍化のお話を頂きまして、31日で非公開とさせていただきますm(_ _)m
発売日等は現在調整中です。
筋書きどおりに婚約破棄したのですが、想定外の事態に巻き込まれています。
一花カナウ
恋愛
第二王子のヨハネスと婚約が決まったとき、私はこの世界が前世で愛読していた物語の世界であることに気づく。
そして、この婚約がのちに解消されることも思い出していた。
ヨハネスは優しくていい人であるが、私にはもったいない人物。
慕ってはいても恋には至らなかった。
やがて、婚約破棄のシーンが訪れる。
私はヨハネスと別れを告げて、新たな人生を歩みだす
――はずだったのに、ちょっと待って、ここはどこですかっ⁉︎
しかも、ベッドに鎖で繋がれているんですけどっ⁉︎
困惑する私の前に現れたのは、意外な人物で……
えっと、あなたは助けにきたわけじゃなくて、犯人ってことですよね?
※ムーンライトノベルズで公開中の同名の作品に加筆修正(微調整?)したものをこちらで掲載しています。
※pixivにも掲載。
8/29 15時台HOTランキング 5位、恋愛カテゴリー3位ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノノΞ❤︎{活力注入♪)
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる