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12 結婚式
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ハビエルとマルティナの結婚式は、国中を巻き込んで盛大に行われた。
婚約が決まった時から特注で作らせていたハビエルこだわりのウェディングドレスは、マルティナの凛とした美しさを惹きたたせ、よく似合っていた。
「ティーナ、君はまるで……女神のようだ。とても綺麗だよ」
ハビエルはマルティナのドレス姿に見惚れ、ポーッとしていた。
「ハビこそ、すごく格好いいです」
正装をしているハビエルも、いつもにも増して美しさに磨きがかかっていた。こんなに白いタキシードが似合う人はどこを探しても他にいないだろうと、マルティナは心の中で思った。
「ありがとう。ティーナ、私はこの日を待ちわびていた」
「はい、私もです」
「一生、愛してるよ。神に誓う前に、君に誓う」
「はい。私も一生愛しています」
二人で微笑みあってキスをした。ハビエルが思いの外激しく口を吸ったので、口紅が取れてしまい……慌てて化粧直しをしてもらうはめになった。マルティナは恥ずかしかったが、ハビエルは素知らぬ顔で堂々としていた。
「さあ、行こうか」
「はい」
二人は国で一番大きな教会で、たくさんの人々に見守られながら滞りなく結婚式を終えた。
「ご結婚おめでとうございます」
「ハビエル殿下、マルティナ様万歳!」
「なんて素晴らしい日だ」
魔力の強いハビエルと、レアな魔法を使えるマルティナはお似合いの夫婦だと祝福された。
マルティナは結婚を機に『変化魔法を使える』ということを世間に公表したからだ。あの騒動で、マルティナの能力が国王陛下にバレてしまったので隠すのをやめたのだった。
それにハビエルがビビアナと浮気しているのではという良くない噂もちらほら出ていた。
どうやら二人の密会を、他の生徒に見られていたらしい。
なので立場上なかなか二人で逢えないので『ハビエルは魔法で別人に変わったマルティナとお忍びでデートをしていた』という設定にしたのだ。
半信半疑だった周囲も目の前でビビアナに変化したマルティナを見たら、ハビエルの浮気疑惑はすぐに消えた。
そして王家とペドロサ公爵家と話し合った結果、マルティナの変化魔法は隠すのではなく公表して国の宝として王家が守ることに決まったのだ。
「良かった。前々から君への低い評価は我慢ならなかったんだ」
手のひらを返したようにマルティナがハビエルの妻に相応しくないという声は、自然と無くなっていった。
「……計画通り」
ハビエルは小声でポツリと呟き、ニヤリと笑った。
「え? 何か言われましたか?」
「いや、何でもないよ。たまたまあの時父上に変化魔法のことがバレたから丁度良かったなと思って」
「結果的にはそうですね」
爽やかに微笑むハビエルは、マルティナの頬にキスをした。
どうやらハビエルがあえてハニートラップに引っかかったのは、全てマルティナとの幸せな結婚のためだったらしい。
ハビエルは王族らしく穏やかに微笑みながら、来賓の対応をし続けてた。隣にいるマルティナも同様である。
「……早く二人きりになりたい」
他の人に気付かれないよう表情は変えずに、ハビエルはマルティナにこそっとそう告げた。
「同感です」
「もう同じような挨拶はいいだろう。いい加減にして欲しい」
「……だめですよ。一緒に耐えましょう」
「終わりが見えないぞ」
非の打ち所がない完璧な王子だなんて言われているハビエルは、マルティナの前ではその完璧さを崩していた。
まさかこの王子が、心の中でこんなことを思っているなんて誰も思わないだろう。
「私が隣にいますから」
「ありがとう。ティーナがいてくれれば、私も頑張れそうだ」
マルティナの手を握り、ハビエルは嬉しそうに目を細めた。それは明らかに皆に見せる作られた笑顔とは別の……心から幸せそうな顔だった。
「楽しみは後に取っておこう」
ハビエルは長い指ですりすりとマルティナの手を撫でながら、耳元で色っぽく囁いた。マルティナは、真っ赤に頬を染め恥ずかしそうに目を伏せた。
「……やる気が出てきた。さっさと終わらせよう」
それからのハビエルは、凄かった。にこやかに、しかし無駄なく会話を交わして最短で挨拶を終えた。
二人は結婚式と披露宴、祝賀パレードまで終えてやっと王宮に戻って来た。各自の部屋はあるが、今夜からは同じ寝室で眠ることになる。
ドレスを脱ぎ、お風呂に入って身支度を整えたマルティナはドキドキして寝室に入った。
「失礼致します」
そっとドアを開けると、素肌にガウンを羽織っているハビエルがベッドに座っていた。
「ティーナ」
ハビエルはマルティナの姿を見て、嬉しそうに微笑んだ。まだ少し濡れている髪がセクシーで、いつもの何倍もハビエルの色気が増していた。
「何か飲むかい?」
「い、いえ。大丈夫です」
緊張しているマルティナは、ハビエルを直視できずに視線を彷徨わせていた。
「ティーナ、こっちにおいで」
ハビエルは手招きして、ベッドに呼び寄せた。マルティナがゆっくりと近付くと、手を引かれあっという間にハビエルの胸の中にすっぽりと包まれた。
「ああ、やっと二人で過ごせる」
「……はい」
「ティーナと結婚できて幸せだ」
「私も幸せです」
ぎゅっと抱き締められて、マルティナもハビエルの背中に腕を回した。
「大好きだよ、ティーナ」
その言葉をきっかけに、ちゅっちゅと頬や首にキスをされながらゆっくりとベッドに押し倒された。器用なハビエルは、キスをしながらマルティナのガウンを脱がしていった。
「この夜着似合ってるね」
「ううっ……恥ずかしいです」
マルティナは全身真っ赤に染めて、手で身体を隠した。
今夜のマルティナの夜着は、普段自分が身に付けている何倍も大人びた物だ。大事な部分だけはかろうじて隠れているが、他はレースの隙間から全て見えてしまっている。
実は初夜に何を着ていいか悩んで、マルティナはすでに嫁いでいる姉のディアナに相談した。経験者に聞くのが一番だと思ったからだ。
ディアナから『人妻になるんだからこれくらい張り切らないと』と言われ、お祝いだとこのセクシーな夜着をプレゼントされたのだ。
だから勇気を出して着てみたのだが、やはりこれはマルティナには恥ずかしすぎた。
「どうして? すごく素敵なのに。私のためにこれを身に付けてくれたと思うと、嬉しいよ」
爽やかに微笑みながら、身体を隠しているマルティナの手をそっとどけた。
「綺麗だよ」
「あ、ありがとうございます」
マルティナは、恥ずかしくてハビエルから視線を逸らした。ハビエルはくすりと笑い、唇に触れるだけのキスをした。
「こんなに頬を染めて。可愛いね」
「……っ!」
「初めてじゃないのに、まだ恥ずかしいのかい?」
この美しい顔に覗き込まれて、照れないなんて無理な話だ。
「でも、結婚して初めてだもんね。朝までゆっくり私の愛を伝えさせて欲しい」
「あ、朝まで……!?」
「今までは、家に帰さないといけないと思って色々我慢していたから、やっと全力で愛せるのが嬉しいんだ」
マルティナはそのとんでもない発言を聞いて、驚いて目をパチパチとさせた。婚約中も気を失いそうなほど激しく求められたはずなのに、目の前のハビエルは『我慢していた』と言ったからだ。
「え? あ、あの……我慢されていたのですか? 今までも……その……十分すごかった気がするのですが」
「本気の私はもっとすごいから、覚悟して」
フッと色っぽく口角を上げたハビエルに、マルティナはドキドキして心臓が止まりそうだった。自分はどうなってしまうのかと、期待と不安が入り混じった複雑な感情だった。
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「はい、私もです」
「一生、愛してるよ。神に誓う前に、君に誓う」
「はい。私も一生愛しています」
二人で微笑みあってキスをした。ハビエルが思いの外激しく口を吸ったので、口紅が取れてしまい……慌てて化粧直しをしてもらうはめになった。マルティナは恥ずかしかったが、ハビエルは素知らぬ顔で堂々としていた。
「さあ、行こうか」
「はい」
二人は国で一番大きな教会で、たくさんの人々に見守られながら滞りなく結婚式を終えた。
「ご結婚おめでとうございます」
「ハビエル殿下、マルティナ様万歳!」
「なんて素晴らしい日だ」
魔力の強いハビエルと、レアな魔法を使えるマルティナはお似合いの夫婦だと祝福された。
マルティナは結婚を機に『変化魔法を使える』ということを世間に公表したからだ。あの騒動で、マルティナの能力が国王陛下にバレてしまったので隠すのをやめたのだった。
それにハビエルがビビアナと浮気しているのではという良くない噂もちらほら出ていた。
どうやら二人の密会を、他の生徒に見られていたらしい。
なので立場上なかなか二人で逢えないので『ハビエルは魔法で別人に変わったマルティナとお忍びでデートをしていた』という設定にしたのだ。
半信半疑だった周囲も目の前でビビアナに変化したマルティナを見たら、ハビエルの浮気疑惑はすぐに消えた。
そして王家とペドロサ公爵家と話し合った結果、マルティナの変化魔法は隠すのではなく公表して国の宝として王家が守ることに決まったのだ。
「良かった。前々から君への低い評価は我慢ならなかったんだ」
手のひらを返したようにマルティナがハビエルの妻に相応しくないという声は、自然と無くなっていった。
「……計画通り」
ハビエルは小声でポツリと呟き、ニヤリと笑った。
「え? 何か言われましたか?」
「いや、何でもないよ。たまたまあの時父上に変化魔法のことがバレたから丁度良かったなと思って」
「結果的にはそうですね」
爽やかに微笑むハビエルは、マルティナの頬にキスをした。
どうやらハビエルがあえてハニートラップに引っかかったのは、全てマルティナとの幸せな結婚のためだったらしい。
ハビエルは王族らしく穏やかに微笑みながら、来賓の対応をし続けてた。隣にいるマルティナも同様である。
「……早く二人きりになりたい」
他の人に気付かれないよう表情は変えずに、ハビエルはマルティナにこそっとそう告げた。
「同感です」
「もう同じような挨拶はいいだろう。いい加減にして欲しい」
「……だめですよ。一緒に耐えましょう」
「終わりが見えないぞ」
非の打ち所がない完璧な王子だなんて言われているハビエルは、マルティナの前ではその完璧さを崩していた。
まさかこの王子が、心の中でこんなことを思っているなんて誰も思わないだろう。
「私が隣にいますから」
「ありがとう。ティーナがいてくれれば、私も頑張れそうだ」
マルティナの手を握り、ハビエルは嬉しそうに目を細めた。それは明らかに皆に見せる作られた笑顔とは別の……心から幸せそうな顔だった。
「楽しみは後に取っておこう」
ハビエルは長い指ですりすりとマルティナの手を撫でながら、耳元で色っぽく囁いた。マルティナは、真っ赤に頬を染め恥ずかしそうに目を伏せた。
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それからのハビエルは、凄かった。にこやかに、しかし無駄なく会話を交わして最短で挨拶を終えた。
二人は結婚式と披露宴、祝賀パレードまで終えてやっと王宮に戻って来た。各自の部屋はあるが、今夜からは同じ寝室で眠ることになる。
ドレスを脱ぎ、お風呂に入って身支度を整えたマルティナはドキドキして寝室に入った。
「失礼致します」
そっとドアを開けると、素肌にガウンを羽織っているハビエルがベッドに座っていた。
「ティーナ」
ハビエルはマルティナの姿を見て、嬉しそうに微笑んだ。まだ少し濡れている髪がセクシーで、いつもの何倍もハビエルの色気が増していた。
「何か飲むかい?」
「い、いえ。大丈夫です」
緊張しているマルティナは、ハビエルを直視できずに視線を彷徨わせていた。
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ハビエルは手招きして、ベッドに呼び寄せた。マルティナがゆっくりと近付くと、手を引かれあっという間にハビエルの胸の中にすっぽりと包まれた。
「ああ、やっと二人で過ごせる」
「……はい」
「ティーナと結婚できて幸せだ」
「私も幸せです」
ぎゅっと抱き締められて、マルティナもハビエルの背中に腕を回した。
「大好きだよ、ティーナ」
その言葉をきっかけに、ちゅっちゅと頬や首にキスをされながらゆっくりとベッドに押し倒された。器用なハビエルは、キスをしながらマルティナのガウンを脱がしていった。
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