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番外編
進路②
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2月の半ばだった。
いつも通りに境内を掃除していた俺の目に映ったのは、モコモコに着膨れした嬢ちゃんの姿だった。
思わず手が止まり、そして今日が平日だったことを思い出す。
「学校は?」
我ながら嫌な聞き方だった。
多分、嬢ちゃんがこれ以上ないほどの笑顔だったから、意地が悪くなったんだ。
「今日はいいの」
嬢ちゃんがゆっくりとこちらに歩いてくる。
ニコニコとまるで警戒心のない笑顔で俺の前まで来ると、スマホの画面をズイと突きつけてきた。
「受かったよ、日本文化学科」
画面に映った写真には、合格発表の掲示板の前で笑う嬢ちゃんがいた。
張り出された番号と手元にある番号が一致してるってことは、言葉通り受かったんだろう。
受験のために来れなかったのかと、安堵の気持ちが出てきて、それを全力で押さえつけた。
「大学に進学すんだな」
「うん」
「日本文化学科って何するとこ?」
ただの世間話として、務めて平然と聞いたつもりだった。
まさか墓穴を掘ることになるとは思っていなかった。
「日本の歴史とか、郷土史勉強するとこ」
「郷土史」という単語に、思わずまじまじと嬢ちゃんの顔を見る。
嬢ちゃんはいらずらが成功した子どものように笑っていて、とてもじゃないが「純粋に郷土史に興味が湧いたから」という理由でないことは分かった。
この嬢ちゃんは、こうやって直接じゃなく間接的に、しかし熱烈に俺にアピールしてきやがるんだ。
厄介で、可愛くて、憎たらしくて、「覚えてろよ」と心の中で毒づいた。
もし、本当に20歳になって、それでもまだ俺が好きだなんてぬかしやがったら、その時はそれこそ後悔させないくらいめちゃくちゃに愛してやるからな。
それまでせいぜい無害なおじさんに油断してればいいと、そう思う。
いつも通りに境内を掃除していた俺の目に映ったのは、モコモコに着膨れした嬢ちゃんの姿だった。
思わず手が止まり、そして今日が平日だったことを思い出す。
「学校は?」
我ながら嫌な聞き方だった。
多分、嬢ちゃんがこれ以上ないほどの笑顔だったから、意地が悪くなったんだ。
「今日はいいの」
嬢ちゃんがゆっくりとこちらに歩いてくる。
ニコニコとまるで警戒心のない笑顔で俺の前まで来ると、スマホの画面をズイと突きつけてきた。
「受かったよ、日本文化学科」
画面に映った写真には、合格発表の掲示板の前で笑う嬢ちゃんがいた。
張り出された番号と手元にある番号が一致してるってことは、言葉通り受かったんだろう。
受験のために来れなかったのかと、安堵の気持ちが出てきて、それを全力で押さえつけた。
「大学に進学すんだな」
「うん」
「日本文化学科って何するとこ?」
ただの世間話として、務めて平然と聞いたつもりだった。
まさか墓穴を掘ることになるとは思っていなかった。
「日本の歴史とか、郷土史勉強するとこ」
「郷土史」という単語に、思わずまじまじと嬢ちゃんの顔を見る。
嬢ちゃんはいらずらが成功した子どものように笑っていて、とてもじゃないが「純粋に郷土史に興味が湧いたから」という理由でないことは分かった。
この嬢ちゃんは、こうやって直接じゃなく間接的に、しかし熱烈に俺にアピールしてきやがるんだ。
厄介で、可愛くて、憎たらしくて、「覚えてろよ」と心の中で毒づいた。
もし、本当に20歳になって、それでもまだ俺が好きだなんてぬかしやがったら、その時はそれこそ後悔させないくらいめちゃくちゃに愛してやるからな。
それまでせいぜい無害なおじさんに油断してればいいと、そう思う。
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