3 / 4
3. 素直になれない恋
しおりを挟む待って……。
行かないで……。
私の傍からいなくならないで
その瞬間私は夢の中から強制退場させられた。
こんな夢を何度も見ているけど、私に恋人はいない。
離れて行ってしまうのは毎回幼馴染だった。
こんな夢を見といてなんだが、別に幼馴染を好きとそういうのでは無い。
私には好きな人がいる。
一つ上の先輩で、中学から好きで高校も追いかけて入学した。
中学で進路希望を出したとき、担任には今のままだといけないそう言われた。
悔しくてでもやっぱり先輩と同じところに行きたくて1年間必死に勉強をした。
いつも勉強を付き合ってくれたのは幼馴染だ。
私より勉強がも運動も出来る。私が言うのもなんだが、顔もいいし性格もいい。
当たり前かもしれないがやはりモテる。
告白されたというのも私が知るだけでも両手でも足りないくらいだ。
誰かと付き合ったとかそういう話は聞かないが、たぶん彼女はいたと思う。
近くにいたけど、あまり幼馴染のことをよく知らない。というより、興味がない。
ここ1年ぐらいは私に付き合ってくれていたせいもあって、あまり浮いた話は聞いていない。
だけど、勉強に付き合ってくれたことには感謝している。
まあ、高校でまた告白の嵐だろう。
大変だななんて思いつつ、私の知るところではないので何でもいい。
そんなこんなで、私は何とか先輩と同じ高校に入学できた。
私は入学してから、一番に先輩に会いに行った。
「入学おめでとう。学校生活楽しんでね」
なんとも味気ない言葉をもらった。
たまに連絡も取っていたし、合格したことも伝えてあったから、そんなものかと自分を納得させた。
ときたま先輩のところへ行っては話しかけに行っていた。
先輩はなんだかんだ優しく接してくれて、変わらない先輩にドキドキしていた。
廊下ですれ違ったとき、先輩から話しかけられればその日はどんなことがあってもいい1日になる。
高校に入れば、いなくなると思っていた幼馴染はなぜか未だにそばにいる。
家が隣なのもあって毎朝一緒に登校しているし、帰りも一緒に帰ることが多かった。
居心地も良かったし、なぜか冷やかされることもなかった。
私が先輩の事を好きなのも知っているため、幼なじみから何か言われることもない。一緒に居ることが心地よかった。
小さい頃から一緒にいるのが当たり前だったから居心地がいいのだろ。
とある日曜日私は街でブラブラ買い物をしていた
服を見て雑貨を見て本屋をに行って。
いつもだったら絶対入らないであろう、花屋にも入った。
そこのお店はドアを開けるとチリンチリンとベルがなった。
その音に反応して店員さんの声が聞こえてくる。
「いらっしゃいませ。なに見たいものがあったら言ってくださいね」
店内にはバケツに入った花と、隅には雑貨が置いてあった。その中にドライフラワーが使われている、かわいらしいヘアピンがあった。
一目ぼれした私はそのヘアピンを買った。
「すみません、これください」
「かしこまりました。プレゼントでしたら包装できますがどういたしますか?」
「自分用なのでそのままで大丈夫です」
お金を支払いお店をあとにした。
次の日月曜日ヘアピンを着けて家を出た。
家を出ると幼馴染が少しけだるそうに門の横にもたれかかっていた。
「おはよー」
「ん。おはよ」
私が門を閉めると幼馴染は歩き出す。
「ヘアピンとか珍しいじゃん」
「そう! なんとなく入った花屋さんで売ってたの可愛いでしょ」
私は興奮交じりに自慢した。
「はいはい。可愛い可愛い」
適当にあしらわれているが、いつものことなので別に気にもしない。
幼馴染は微妙だと、微妙と言うので合格点にはいっているのだろう。
早く先輩に見せたいな。
「ってことで今日は放課後に先輩のところに、見せに突撃するんで!」
「へいよ。好きにしな」
放課後の掃除が終わると私はダッシュで先輩のもとへ向かった。
先輩に可愛い。そういわれるために、ダッシュした。
先輩の教室の階に行くと、教室の前に先輩の姿が見えた。
私が先輩と呼ぶ直前、中から女生徒が出てきて先輩と腕を組みこちらの方に向かってくる。
その様子を見て私が動けずにいると、近くに来た先輩が私の存在に気が付いた。
「おー。今日はどうしたの?」
先輩は優しく声をかけてくれる。しかし私はとっさに答えられずにいた。
腕を組んでいる女生徒がこのこ誰? ってというような顔をして首をかしげていた。それに気が付いた先輩は、中学の時の後輩だよと紹介してくれたが、私はいたたまれず、濁してその場から逃げるように走り去った。
気が付くとそのまま走って学校の近くにある公園まで走っていた。
公園で体力の限界を迎えると、近くのベンチに座って零れ落ちてきそうな涙を何とか我慢していた。
しばらく地面を見つめていた私の視界の中に、足が入ってきた。
「探したんだけど」
幼馴染の少し怒ったような声が聞こえた。
「先輩のところ行くって嬉しそうに教室出て行ったのに、凄い勢いで帰ってくのなんなの? 見つけたと思ったらなんかずっと下向いてるし」
「あのね、先輩に彼女いたの」
「あーね……」
「それで走って逃げてきちゃった」
顔を上げると困った顔した幼馴染がいた。顔を見た瞬間私の視界が一気にぼやけた。
なにやら居心地悪そうにしているけど、隣りに座ってくる。
「ごめん。俺、先輩に彼女いるって知ってた」
「なんで?」
「言ったら絶対悲しむのわかってたから言えなかった」
「そっか……」
「ごめん」
謝られるようなことはされてないけど……。
されてはないけど口を開くと責めてしまいそうそうだ。
だから私は口を閉ざした。
「ここで言うのはフェアじゃないけどさ、俺と付き合ってよ」
「え?」
予想もしなかった言葉に、私は私思わず顔をあげた。
「なにもなくて一緒に勉強したり、一緒に登下校してると思ってたの?」
「ごめん。考えたこと無かった。一緒にいるのが普通だと思ってたから……」
私は彼の目を見て答えた。
「先輩の事が好きなの」
「知ってる。だけど考えて欲しい。俺は悲しませるようなことしないし。これからも一緒にいたいと思ってる」
そこからの記憶はあんまりない。
帰ろって言われたから一緒に帰った。
特に会話もなくただ一緒に歩いた。
次の日気まずくて、先に行くと連絡をして1人で登校した。
朝、幼馴染が教室に来ると話しかけようとして来た。
私は目を逸らして立ち上がり女友達のところへ逃げた、
そうやって今日一日中、幼馴染から逃げていた。
帰りも逃げるように帰ろうとしていのに、業を煮やした幼なじみに手を掴まれた。
「何?」
私は睨みつけるように言い放った。
「わかってんだろ」
「知らない。離して」
掴まれた手はさらに強くなった。
「だから痛いって!」
「あっ、ごめん」
無意識力が入っていたようで、パッと離してくれた。
「ちゃんと話したい」
「わかった。人が居ない場所行こう」
私達はそういうと昨日の公園のベンチへやってきた。
「こうやって避けないで欲しい。気まずくしたのもごめん。でもやっぱり笑ってて欲しいしんだ。これも困らせてるのはわかってるけど、ずっと好きだった」
まっすぐな告白に私は息をのんだ。
「先輩の話をしてる時、嬉しそうな顔してるに悔しかった。高校だって成績足りなかったのに頑張ってるのも知ってたから何も言えなかった。気持ち殺して応援するのが正しんだって思ってた。だけど、昨日先輩に彼女いるって知って泣いてるの見たら、俺が笑顔にしたいって欲がでた」
そんな気持ち知らないで、幼馴染だからって先輩の話をしていた私を殴ってやりたい。
傷ついているのは、私より幼馴染だ。
ずっと傷つけてきたんだ。
その事実に私は涙があふれてきた。
そのベンチの横にはノアザミの花が咲いていた。
ノアザミには鋭いとげがある。私は何度も幼馴染にとげで傷つけていたのかもしれない。
ノアザミの花言葉に素直になれない恋というのがある。
私は告白を聞いて嬉しかったし。この人の隣にいたいと思った。
素直に伝えればよかったのに言葉は出てこず、出てくるのは涙だけだった。
幼馴染は今日も門の外でけだるそうに立っている。
門を閉めると、何も言わず手を繋いで歩き始めた。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。


〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる