短編

不知火

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君を見ている

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 私はカフェの店員をしている。毎朝8時頃に来る男の人が来るのを待っている。彼は、いつもコーヒーを1杯頼んで窓側の席に座り外を見ている。そんな彼の姿を見るのが私の日課だ。彼が来る前にコーヒーを準備したり、彼の席に行って注文を聞く準備をしたりしている。きっと彼は私のことなんか興味はないけれど、私はこういう日常に幸せを感じている。そういえば彼はいつも外を見てるけど何を見ているのか私には分からない。
 僕は、毎朝8時頃に家の近くのカフェへ来ている。そしていつものコーヒーを頼んで外をみるのが日課だ。このカフェの外には花屋がある。そこで働いている女の子の店員さんを見るために、このカフェに来ているんだ。彼女はお客さんに笑顔でもてなす姿が魅力的なんだ。きっと彼女は花がとても好きで、花を買ってくれるお客さんのことも好きだから、あのような笑顔をふりまけられると思う。僕は彼女に話しかける勇気もなく、毎朝カフェで彼女の笑顔を見ている。
 私は花屋の店員をしている。毎日綺麗な花に囲まれてとても幸せな気分でいる。毎朝8時頃来る常連さんを楽しみに待っている。その常連さんは背が高い人でいつもアネモネを買ってくれる。優しい声と顔で話しかけられると思わず笑顔になってしまう。ついついアネモネだけを大量に仕入れてしまうほど常連さんの事が好きだ。しかし常連さんの指には指輪が付いている。それを見るたびに切ない気持ちになるけど笑顔を崩すわけにはいかない。奥さんは幸せ者なんだなと思う。
 私は毎朝8時頃アネモネという花を買いに来ている。妻がとても好きな花だった。妻はアネモネが好きすぎて毎日この花屋で買っていた。しかし妻は昨年亡くなった。私は毎日、妻の墓にアネモネを添えるためにこの花屋に来ている。花屋の店員はとても親切でいい娘だ。花を買った後は、いつも向かい側にあるカフェで働いている店員を見てしまう。女の店員さんはとても妻に似ているのであった。違うと分かっていても、つい見てしまう。妻もあんな風に幸せそうに働いていたと思う。彼女は8時頃くる男性が来ると、とても幸せそうな顔になる。彼女はきっと彼の事が好きなんだろうか。ぜひ幸せになって欲しいものだ。そう思い私は妻のもとへ足を進めた。
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