男三十てっペの受難 〜竹とんぼと打ち上げ花火〜

第９４話 〜侑斗の望み〜

　てっぺいちゃんはおとうちゃんにちょっとにとる。

　ボクちいちゃいころはココよりももっとトカイにすんどってん、けどおとうちゃんがおらんくなってじいじとばあばのいえにへんなトシヨリがきておかあちゃんとボクをココにつれてきてん。ボクじいじもばあばもだいすきやったからめっちゃさびしかってんけど、おかあちゃんはあのトシヨリにこきつかわれてもっとしんどいおもいしてんねん。
　おかあちゃんがおしごとのときはヨウチエンにおるんやけど、あそこのセンセイとかいうれんちゅういっつもおかあちゃんのわるくちいうねん。ヤリマンとかアバズレとかいうてけぎらいしてな、どいつもこいつもおかあちゃんがびじんやからひがんでるだけのくせに。せやからボクヨウチエンきらいやねん。

　ショウワルなおばちゃんらのはなしはもうええね。ボクがはじめててっぺいちゃんをみたんはおかあちゃんについていったヤクバいうところ。ジュウショヘンコウっていうやつをしにいったときに、そこのひとらのなかであたまひとつぬけでてるくらいにおっきいひとやったからようおぼえてる。おかあちゃんはそのひとをずっとめぇでおいかけとって、なんかドラマとかでみるこいするひとみたいなかおになっててん。
　‎そしたらこないだボクがいっつもあそんどるこうえんにてっぺいちゃんがきてん。おべんとうもっとってひとりでそれたべててんけど、ボクもひとりでおったから『おともだち』がほしかったんかな？

　「一人なん？嫌やなかったらおっちゃんと一緒にお昼食べへん？」

　ボクはてっぺいちゃんにこえをかけられていっしょにおひるをたべることにした。よんさいのボクがココにひとりでおるんがへんにうつっとったんかな？おかあちゃんはなにしてんのとかおもっとるんかな？このひともほかのおとなみたいにおかあちゃんをわるくおもうひとなんかな？
　‎けどてっぺいちゃんはたけとんぼすきなんか？とかおにぎりのぐざいなにがすきなん？とかいうことしかきいてけぇへんかった。ボクはちょっとあんしんしてたけとんぼはじいじがつくってくれたけどさっきジャングルジムにぶつかってこわれてしもてん、おにぎりのぐざいはツナマヨってこたえてん。きょうはノザワナやったけどボクおやさいすきやねん、だっておかあちゃんのてりょうりめっちゃおいしいねんもん。こんどおかあちゃんのてりょうりたべてほしいなぁ、ほんならぜったいおかあちゃんのことすきになってくれるとおもうねん。

　それからてっぺいちゃんはボクがココにおるすいようびとどようびにこうえんにきてくれるようになってん。おひるたべておかあちゃんをまちながらあそんでくれんねん、すいようびはおかあちゃんがきたらヤクバにもどってまうけど、どようびはときどきゆうがたまであそんでくれんねん。
　‎そんときのおかあちゃんめっちゃうれしそうやねん、おとうちゃんともなかよしやったけどてっぺいちゃんとのほうがたのしそうにしてるねん。ボクからみてもふたりはおにあいやとおもう、てっぺいちゃんもおかあちゃんのこときろうてないから『おともだち』いじょうになってくれたらええのになぁ。そしたらてっぺいちゃんがおとうちゃんになるかもしれんやん、ぼくもてっぺいちゃんだいすきやからおとうちゃんになってほしいなぁ。