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第39話 〜プロポーズ作戦の行方は?〜

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 えっ……?サキちゃんはバラの花束に目を丸くしてる。これはさすがに芝居やなさそうや、だって普段通りの接客でバラの花束なんか貰わんもんな普通。

 「私は貴女のような美しい方を初めて見ました」

 んな大袈裟な。あんた都会暮らし長いねんからそうでもないやろ?

 「貴女のような方と共に人生を歩めれば私の人生はきっとこのバラのようになると思うます」

 「いえそんな恐れ多いお言葉……」

 恐れ多いどころか絶対あり得ん、まず家事力が壊滅的や。そして粗暴過ぎる、未だに男をグーパンする女絶対嫌や。

 「いきなりこんな事申し上げてすみません」

 うん、それはシェフに言おか。

 「いえでもわたし……」

 好きな人います言うといた方が後々面倒臭い事にならんで済むで。最初の結婚失敗したんも結局そこやろ?

 「貴女がお嫌でなければまずはお付き合いしてみませんか?結婚はおいおいゆっくり考えて頂ければ……」

 サキちゃんは花束を受け取ってええもんなんかシェフにお伺いを立てとる。シェフは構わないと言う風に頷いたので彼女は恭しくそれを受け取った。

 「あの、結婚に関してのお返事は待ってください」

 「もちろんです、一生の事ですから時間を掛けてお考えください」

 俺ここに居るんがいたたれまなくなってった、正直に言うてええ?最初っからお前一人でやれや!俺居る必要全く無いやんけ!はぁ~今の俺にこの光景はかなりキツい、しかも週末お見合いやぁ……何か今度は憂鬱になってった、俺今情緒不安定やわ。

 「本当にわたしなんかで良いんですか?」

 あぁそっちまだやっとったんかいな、さっさと終わらしてさっさと帰らしてくれや。俺の心はどんどんやさぐれていく。喜多見さんも目を瞑って視界に入れんようにしとる。うん、その気持ちよう分かるわぁ後輩。

 「私は貴女が良いんです」

 「……わたしバツイチですよ」

 「それは気になりません、大事なのは今の貴女の気持ちです」

 「けど初対面の方に……てっぺどう思う?」

 はぁっ!?そんな火の粉要らんわい!自分で考えいそんなもん!俺ただのとばっちりやのに瑠偉氏に睨まれて余計居りにくうなる、もう勘弁して。

 「……そんなん自分で考えてください」

 「今頭働かへん」

 「次の休みにデートでもすりゃええんちがいます?」

 俺のテキトー発言に瑠偉氏がそれ良いなと乗ってくる。

 「そうだな、私の事も知って頂くいい機会だし……次のお休みはいつでしょうか?」

 土曜日です。瑠偉氏はその日にデートしましょうと言い出し、二人はシェフを立たせっ放しの状態で連絡先を交換してデートの約束を取り付けよった。
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