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第129話 〜瑠美の失望〜
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あたしは優莉さんの運転で源泉町一の繁華街の近くまで来たんやけど、お姉ちゃん今日はお仕事お休みのはず。
「あの、どこ向かってるんです?」
「バスターミナル」
何でなん? 車で出掛けとるのに?
「車で出掛けとるのにバスターミナル、ですか?」
「車が要ったんは……やっぱりな」
優莉さんはがらんとしとるバスターミナルの駐車場を一人とぼとぼと歩いとった。んでちょっと離れた所で見慣れた車が停車しとる、一体何したんや?
「さて、しばこか」
優莉さんはお姉ちゃんがおる側にわざと駐車させて車を降りると、まるで幽霊でも見るかのような目で彼女を凝視しとる。この顔はお父ちゃんに張り倒された時の目や、あの獰猛女でもこの人には勝てんのやな。なんて思うとったら優莉さんは長い腕を降ってお姉ちゃんを平手打ちしおった。あたしは慌てて車を降り、事の顛末を見守る。
「お前余計なことしおってからに」
「陣ちゃんはそんなもん望んでないんや!」
「それは好きにしたらええ、私はお前が気に入らん」
その言葉と同時にお姉ちゃんの体が吹っ飛んだ。
「お前自分の脳みそ使うたことあるんか?」
「陣ちゃんの望みはうちの望みや! 誰にも邪魔は……!」
パァーン! 優莉さんは容赦無くお姉ちゃんの頬を叩く。体力に自身のあるあの人が軽々と吹っ飛び、何の信念があるんか知らんけど倒されても立ち上がっとる。普段こんな根性見せへんのに。
「その態度が気に入らん、お前陣に『死ね』言われたら死ぬんか?」
「死ぬっ! うちらは一心……」
優莉さんはお姉ちゃんの言い分なんか聞く気無いんやろな、涼しい顔してビンタし続けとってや。
「何が『一心同体』や、思考能力放棄しとるだけのクソアマが。いつまで浮ついた生き方しとんのや」
この人も気付いとったんやな、お姉ちゃんは一見傍若無人に生きとるけど自分で考えて行動したことなんて無いと思う。人の意見に振り回されてあっちにフラフラこっちにフラフラ、そうしとけば人のせいにできて楽チンではあるけどそれって生きとる価値あるの?
「陣ちゃんはいつだって正しいことしか言わんのや、あんたこそ姉のくせにそんなんも知らんのか?」
「知らんのぅ、あいつの『正しさ』なんぞ私の人生には不要やからな。せやからお前は人生が定まらんのや」
優莉さんはふら付いとるお姉ちゃんにとどめの一発をお見舞いして車に乗り込んだ。ぶっ倒れたまんまのお姉ちゃんは赤う腫れ上がった顔をこっちに向けとるけど、正直同情の余地なんて無いわ。
「……ルミ?」
「ホンマ阿呆やなあんた」
あたしはお姉ちゃんを放置して優莉さんの背中を追いかけた。
「あの、どこ向かってるんです?」
「バスターミナル」
何でなん? 車で出掛けとるのに?
「車で出掛けとるのにバスターミナル、ですか?」
「車が要ったんは……やっぱりな」
優莉さんはがらんとしとるバスターミナルの駐車場を一人とぼとぼと歩いとった。んでちょっと離れた所で見慣れた車が停車しとる、一体何したんや?
「さて、しばこか」
優莉さんはお姉ちゃんがおる側にわざと駐車させて車を降りると、まるで幽霊でも見るかのような目で彼女を凝視しとる。この顔はお父ちゃんに張り倒された時の目や、あの獰猛女でもこの人には勝てんのやな。なんて思うとったら優莉さんは長い腕を降ってお姉ちゃんを平手打ちしおった。あたしは慌てて車を降り、事の顛末を見守る。
「お前余計なことしおってからに」
「陣ちゃんはそんなもん望んでないんや!」
「それは好きにしたらええ、私はお前が気に入らん」
その言葉と同時にお姉ちゃんの体が吹っ飛んだ。
「お前自分の脳みそ使うたことあるんか?」
「陣ちゃんの望みはうちの望みや! 誰にも邪魔は……!」
パァーン! 優莉さんは容赦無くお姉ちゃんの頬を叩く。体力に自身のあるあの人が軽々と吹っ飛び、何の信念があるんか知らんけど倒されても立ち上がっとる。普段こんな根性見せへんのに。
「その態度が気に入らん、お前陣に『死ね』言われたら死ぬんか?」
「死ぬっ! うちらは一心……」
優莉さんはお姉ちゃんの言い分なんか聞く気無いんやろな、涼しい顔してビンタし続けとってや。
「何が『一心同体』や、思考能力放棄しとるだけのクソアマが。いつまで浮ついた生き方しとんのや」
この人も気付いとったんやな、お姉ちゃんは一見傍若無人に生きとるけど自分で考えて行動したことなんて無いと思う。人の意見に振り回されてあっちにフラフラこっちにフラフラ、そうしとけば人のせいにできて楽チンではあるけどそれって生きとる価値あるの?
「陣ちゃんはいつだって正しいことしか言わんのや、あんたこそ姉のくせにそんなんも知らんのか?」
「知らんのぅ、あいつの『正しさ』なんぞ私の人生には不要やからな。せやからお前は人生が定まらんのや」
優莉さんはふら付いとるお姉ちゃんにとどめの一発をお見舞いして車に乗り込んだ。ぶっ倒れたまんまのお姉ちゃんは赤う腫れ上がった顔をこっちに向けとるけど、正直同情の余地なんて無いわ。
「……ルミ?」
「ホンマ阿呆やなあんた」
あたしはお姉ちゃんを放置して優莉さんの背中を追いかけた。
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