36 / 39
第四話
有終の美を飾りたい魂 ―2―
しおりを挟む
「……何だソレ?」
「ん?それの煮汁で作ったお酒ぇ、相性はバッチリだと思うわよぉ。その名もまんま“ディングバウ”ぅ」
「……………………ほぅ、ここで飲めるとは……………………」
インズは嬉しそうに小さなグラスを受け取った。
「……うわっ!!!半端ねぇなこの匂い!」
「鼻が取れそうですー!!!」
ヴィスキーオとヴィーンは顔を仰け反らせて鼻をつまんでいる。
「コレお酒にすると匂いが凄いのよねぇ、獣人類のあなたたちには厳しいかもぉ」
「先に言え!!!ってかお前も獣人類だろうが!!!」
「私はもう慣れたから平気ぃ」
ネプテューヌは普段滅多に見せないアイスブルーのふさふさした尻尾を見せていた。
「そうだ、“ディングバウ”って山菜か何かですか?」
「う~ん、星によっては雑草だったりするけどぉ……」
とサッと空中に映像を出してとある植物の画像を見せる。それは一品の茎から腕の形に似た触手のようなものが無数に生えている少々不気味な見た目であった。
「「うわっ!“デンデコ草”!?」」
ヴィスキーオとヴィーンは嫌そうな表情で箸でつまんでいた“ディングバウ”を見つめている。
「違うわよぉ、形状こそ似てるけど全くの別物ぉ。まぁ“デンデコ草”ってあんたたちの星では劇薬だもんねぇ」
「激薬レベルじゃねぇ!触るだけでヒト一人死ぬんだよ!」
「服着ててもアウトなんですー!見るだけで恐いですー!」
二人は恐れ慄いて顔色が無くなっていく。
「だぁかぁらぁ、別物なんだから安心してよぉ。それに魂だけの状態で死ぬ訳無いじゃなぁい」
「まぁそうなんだが……いやぁトラウマと言うかさ」
「……………………何ですその“トラウマ”と言うのは?……………………」
異文化交流となるこの場ではこういった事が時々起こるので、話の内容によってはなかなか前に進んでくれない。
「う~ん、平たく言うと“この世”で出来た心の傷……って解釈でいいのよねぇ?」
「おぅ、そうだな。間違っても……」
「先輩やめましょう、話がややこしくなります」
ヴィーンは慌てて先輩の言葉を止める。そうしないと話が脱線して元に戻せなくなる場合がある。いくら言語問題がクリアになっても星それぞれの事情により、同じ物でも違う言葉だったり、その逆もあったりするのである程度のところで折り合いを付けてしまわないといつまで経っても一つの話題が頓挫してしまうのだ。
「まぁ……そのトラウマと言うやつのせいでこの形状には苦手意識があるって話だよ。ここではそんなの関係ないと分かってても、苦手なもんはやっぱり苦手なんだよ」
「……………………なるほど……………………」
「ん?それの煮汁で作ったお酒ぇ、相性はバッチリだと思うわよぉ。その名もまんま“ディングバウ”ぅ」
「……………………ほぅ、ここで飲めるとは……………………」
インズは嬉しそうに小さなグラスを受け取った。
「……うわっ!!!半端ねぇなこの匂い!」
「鼻が取れそうですー!!!」
ヴィスキーオとヴィーンは顔を仰け反らせて鼻をつまんでいる。
「コレお酒にすると匂いが凄いのよねぇ、獣人類のあなたたちには厳しいかもぉ」
「先に言え!!!ってかお前も獣人類だろうが!!!」
「私はもう慣れたから平気ぃ」
ネプテューヌは普段滅多に見せないアイスブルーのふさふさした尻尾を見せていた。
「そうだ、“ディングバウ”って山菜か何かですか?」
「う~ん、星によっては雑草だったりするけどぉ……」
とサッと空中に映像を出してとある植物の画像を見せる。それは一品の茎から腕の形に似た触手のようなものが無数に生えている少々不気味な見た目であった。
「「うわっ!“デンデコ草”!?」」
ヴィスキーオとヴィーンは嫌そうな表情で箸でつまんでいた“ディングバウ”を見つめている。
「違うわよぉ、形状こそ似てるけど全くの別物ぉ。まぁ“デンデコ草”ってあんたたちの星では劇薬だもんねぇ」
「激薬レベルじゃねぇ!触るだけでヒト一人死ぬんだよ!」
「服着ててもアウトなんですー!見るだけで恐いですー!」
二人は恐れ慄いて顔色が無くなっていく。
「だぁかぁらぁ、別物なんだから安心してよぉ。それに魂だけの状態で死ぬ訳無いじゃなぁい」
「まぁそうなんだが……いやぁトラウマと言うかさ」
「……………………何ですその“トラウマ”と言うのは?……………………」
異文化交流となるこの場ではこういった事が時々起こるので、話の内容によってはなかなか前に進んでくれない。
「う~ん、平たく言うと“この世”で出来た心の傷……って解釈でいいのよねぇ?」
「おぅ、そうだな。間違っても……」
「先輩やめましょう、話がややこしくなります」
ヴィーンは慌てて先輩の言葉を止める。そうしないと話が脱線して元に戻せなくなる場合がある。いくら言語問題がクリアになっても星それぞれの事情により、同じ物でも違う言葉だったり、その逆もあったりするのである程度のところで折り合いを付けてしまわないといつまで経っても一つの話題が頓挫してしまうのだ。
「まぁ……そのトラウマと言うやつのせいでこの形状には苦手意識があるって話だよ。ここではそんなの関係ないと分かってても、苦手なもんはやっぱり苦手なんだよ」
「……………………なるほど……………………」
0
お気に入りに追加
6
あなたにおすすめの小説
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
なんども濡れ衣で責められるので、いい加減諦めて崖から身を投げてみた
下菊みこと
恋愛
悪役令嬢の最後の抵抗は吉と出るか凶と出るか。
ご都合主義のハッピーエンドのSSです。
でも周りは全くハッピーじゃないです。
小説家になろう様でも投稿しています。
隣の人妻としているいけないこと
ヘロディア
恋愛
主人公は、隣人である人妻と浮気している。単なる隣人に過ぎなかったのが、いつからか惹かれ、見事に関係を築いてしまったのだ。
そして、人妻と付き合うスリル、その妖艶な容姿を自分のものにした優越感を得て、彼が自惚れるには十分だった。
しかし、そんな日々もいつかは終わる。ある日、ホテルで彼女と二人きりで行為を進める中、主人公は彼女の着物にGPSを発見する。
彼女の夫がしかけたものと思われ…
【R18】もう一度セックスに溺れて
ちゅー
恋愛
--------------------------------------
「んっ…くっ…♡前よりずっと…ふか、い…」
過分な潤滑液にヌラヌラと光る間口に亀頭が抵抗なく吸い込まれていく。久しぶりに男を受け入れる肉道は最初こそ僅かな狭さを示したものの、愛液にコーティングされ膨張した陰茎を容易く受け入れ、すぐに柔らかな圧力で応えた。
--------------------------------------
結婚して五年目。互いにまだ若い夫婦は、愛情も、情熱も、熱欲も多分に持ち合わせているはずだった。仕事と家事に忙殺され、いつの間にかお互いが生活要員に成り果ててしまった二人の元へ”夫婦性活を豹変させる”と銘打たれた宝石が届く。
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる