上 下
33 / 39
第三話

【デスタウン】のお巡りさん ー9ー

しおりを挟む
 が、そこは“死神部隊”上層部員、双子の鳩はすぐさま体勢を整えて不意打ちしてきた相手に抗議を始める。

 「「不意打ちなんて汚いじゃないかっ!!!」」

 「「それがグリムリーパーのやる事かっ!!!」」

 二人の言った通り、ススンが遥か下方で両手にピストルを持ち思いっきり仲間に銃口を向けていた。

 「……………………真面目にやれ…………………」

 「「あれ~?おっかしいな~。真面目にやってるのに~」」

 二人はすっとぼけているが目が泳いでいる。どうやらパクリの自覚はある様だ。

 「「でもこの技なかなかの優れものなんだよね~」」

 「「バレなきゃ大丈夫なんじゃな~い?」」

 「バレバレだからサー・グリムリーパーに銃口向けられてんでしょうが!!!」

 下層部員の燃料収集班の男性が上層部員である双子の鳩に突っ込みを入れる。
 
 「「え~っ?完全オリジナル技だよ~」」

 「「仲間に銃口向けるなんて心の侘しい男だよね~」」

 「開き直らんでください!!!今しがた『『バレなきゃ大丈夫』』的な事思いっきりぬかしてたじゃないですか!!!」

 「「う~ん、そうだったかなぁ?……うわぁっ!!!」」

 パキューーーン!銃声と共に二人は違う方向にパッと飛び立ち、代りに餌食となった“オジャマタクシ”がグエッ!と醜い声を上げて黒く光って弾け散る。直後黒い石ころになって落下していったが、燃料収集班が見事キャッチして無事に回収された。
 
 「……………………感謝するんだな……………………」

 ススンは何事も無かったかのようにサッとピストルをしまう。

 「「ただのこじ付けじゃないか!!!」」

 「「ったくえげつない男だよね~!」」

 完全に敵に背を向けている鳩の双子だったが、不意打ちを食らわしに背後に回っていたはずの“オジャマタクシ”たちは自動的に殲滅されていく。いずれも石に羽根が刺さっており、ディオスとムエルテの分身たちの功績であることがひと目で分かる。羽根彼らのお陰で戦場でもこうして遊んでいられる余裕もあるというもので、戦闘での双子の評価は最上級なのである。

 「はぁ~、戦場での活躍はいつ見ても素晴らしいよ」

 「ホントだよね、これで他の仕事もちゃんとしてくれたらレジェンドなんだけどなぁ」

 「まぁその分偉そうになさらないだけマシなんだけど……」

 「何でもそうだけど一長一短あるよね」

 「「「「……だよねぇ」」」」

 燃料収集班の四人組は半分遊びながら敵をバッタバッタとなぎ倒す上層部員を見上げていたら、またしても自動殲滅された“オジャマタクシ”の残骸がパラパラと降ってきた。

 「「「「おっとやべぇ、仕事仕事」」」」

 四人組は石ころを追って四方に散っていく。

 「「おーい、燃料は根こそぎ集めて居住エリアの修復に使うからねー!!!」」

 「「「「へ~~い」」」」

 「「だから僕らの扱い雑すぎなんだって!!!」」



 下では幸運の“迷い魂”を救出中のスミューチェとトート……のはずなのだが、骸骨からイケメンに変体中のトートは“迷い魂”の女性たちに惚れられて少々面倒な事になっていた。

 〈〈〈皆様速ヤカニコノ場ヲ離レマショウ!〉〉〉

 〈〈〈イヤァーーッ!私アノ方ガイイノ!!!〉〉〉

 下層部員たちの救出に不満たらたらの“迷い魂”に辟易とするトートだったが、“オジャマタクシ”殲滅に集中していて一切の無視を決め込んでいる。

 〈今ノ状況分カッテラッシャイマスカ?折角ノ幸運ヲ自ラ捨テルオツモリデスカ?〉

 〈離セ凡人!ドウセナライケメンニ抱カレタイニ決マッテンデショ!!!〉

 〈今ソレ選ンデル場合ジャナイデショウ!僕タチダッテ仕事ナンデス!〉

 下層部員たちは女性“迷い魂”の扱いに四苦八苦している。

 〈〈〈アノ方ニ抱カレナイナラ死ンダ方ガマシーーー!!!〉〉〉

 「……………………その言葉しかと聞いた………………放していい」

 「「「はっ!!!サー・グリムリーパー!!!」」」

 ススンに従い抱えていた“迷い魂”を手放すと、失言した彼女たちは悲鳴とともに落下、自ら幸運を手放したのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

今日の授業は保健体育

にのみや朱乃
恋愛
(性的描写あり) 僕は家庭教師として、高校三年生のユキの家に行った。 その日はちょうどユキ以外には誰もいなかった。 ユキは勉強したくない、科目を変えようと言う。ユキが提案した科目とは。

月夜の理科部

嶌田あき
青春
 優柔不断の女子高生・キョウカは、親友・カサネとクラスメイト理系男子・ユキとともに夜の理科室を訪れる。待っていたのは、〈星の王子さま〉と呼ばれる憧れの先輩・スバルと、天文部の望遠鏡を売り払おうとする理科部長・アヤ。理科室を夜に使うために必要となる5人目の部員として、キョウカは入部の誘いを受ける。  そんなある日、知人の研究者・竹戸瀬レネから研究手伝いのバイトの誘いを受ける。月面ローバーを使って地下の量子コンピューターから、あるデータを地球に持ち帰ってきて欲しいという。ユキは二つ返事でOKするも、相変わらず優柔不断のキョウカ。先輩に贈る月面望遠鏡の観測時間を条件に、バイトへの協力を決める。  理科部「夜隊」として入部したキョウカは、夜な夜な理科室に来てはユキとともに課題に取り組んだ。他のメンバー3人はそれぞれに忙しく、ユキと2人きりになることも多くなる。親との喧嘩、スバルの誕生日会、1学期の打ち上げ、夏休みの合宿などなど、絆を深めてゆく夜隊5人。  競うように訓練したAIプログラムが研究所に正式採用され大喜びする頃には、キョウカは数ヶ月のあいだ苦楽をともにしてきたユキを、とても大切に思うようになっていた。打算で始めた関係もこれで終わり、と9月最後の日曜日にデートに出かける。泣きながら別れた2人は、月にあるデータを地球に持ち帰る方法をそれぞれ模索しはじめた。  5年前の事故と月に取り残された脳情報。迫りくるデータ削除のタイムリミット。望遠鏡、月面ローバー、量子コンピューター。必要なものはきっと全部ある――。レネの過去を知ったキョウカは迷いを捨て、走り出す。  皆既月食の夜に集まったメンバーを信じ、理科部5人は月からのデータ回収に挑んだ――。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

戒め

ムービーマスター
キャラ文芸
悪魔サタン=ルシファーの涙ほどの正義の意志から生まれたメイと、神が微かに抱いた悪意から生まれた天使・シンが出会う現世は、世界の滅びる時代なのか、地球上の人間や動物に次々と未知のウイルスが襲いかかり、ダークヒロイン・メイの不思議な超能力「戒め」も発動され、更なる混乱と恐怖が押し寄せる・・・

淫らな蜜に狂わされ

歌龍吟伶
恋愛
普段と変わらない日々は思わぬ形で終わりを迎える…突然の出会い、そして体も心も開かれた少女の人生録。 全体的に性的表現・性行為あり。 他所で知人限定公開していましたが、こちらに移しました。 全3話完結済みです。

百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎
キャラ文芸
名門零楼館高校はもともと女子高であったのだが、様々な要因で共学になって数年が経つ。 文武両道を掲げる零楼館高校はスポーツ分野だけではなく進学実績も全国レベルで見ても上位に食い込んでいるのであった。 そんな零楼館高校の歴史において今まで誰一人として選ばれたことのない“特別指名推薦”に選ばれたのが工藤珠希なのである。 工藤珠希は身長こそ平均を超えていたが、運動や学力はいたって平均クラスであり性格の良さはあるものの特筆すべき才能も無いように見られていた。 むしろ、彼女の幼馴染である工藤太郎は様々な部活の助っ人として活躍し、中学生でありながら様々な競技のプロ団体からスカウトが来るほどであった。更に、学力面においても優秀であり国内のみならず海外への進学も不可能ではないと言われるほどであった。 “特別指名推薦”の話が学校に来た時は誰もが相手を間違えているのではないかと疑ったほどであったが、零楼館高校関係者は工藤珠希で間違いないという。 工藤珠希と工藤太郎は血縁関係はなく、複雑な家庭環境であった工藤太郎が幼いころに両親を亡くしたこともあって彼は工藤家の養子として迎えられていた。 兄妹同然に育った二人ではあったが、お互いが相手の事を守ろうとする良き関係であり、恋人ではないがそれ以上に信頼しあっている。二人の関係性は苗字が同じという事もあって夫婦と揶揄されることも多々あったのだ。 工藤太郎は県外にあるスポーツ名門校からの推薦も来ていてほぼ内定していたのだが、工藤珠希が零楼館高校に入学することを決めたことを受けて彼も零楼館高校を受験することとなった。 スポーツ分野でも名をはせている零楼館高校に工藤太郎が入学すること自体は何の違和感もないのだが、本来入学する予定であった高校関係者は落胆の声をあげていたのだ。だが、彼の出自も相まって彼の意志を否定する者は誰もいなかったのである。 二人が入学する零楼館高校には外に出ていない秘密があるのだ。 零楼館高校に通う生徒のみならず、教員職員運営者の多くがサキュバスでありそのサキュバスも一般的に知られているサキュバスと違い女性を対象とした変異種なのである。 かつては“秘密の花園”と呼ばれた零楼館女子高等学校もそういった意味を持っていたのだった。 ちなみに、工藤珠希は工藤太郎の事を好きなのだが、それは誰にも言えない秘密なのである。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」「ノベルアッププラス」「ノベルバ」「ノベルピア」にも掲載しております。

MASK 〜黒衣の薬売り〜

天瀬純
キャラ文芸
【薬売り“黒衣 漆黒”による現代ファンタジー】  黒い布マスクに黒いスーツ姿の彼“薬売り”が紹介する奇妙な薬たち…。  いくつもの短編を通して、薬売りとの交流を“あらゆる人物視点”で綴られる現代ファンタジー。  ぜひ、お立ち寄りください。

処理中です...