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第一話

死に別れた大切な人との再会を願う魂 -5-

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 「そぉそぉ、ヴィスキーオずうっとこっち見てたもんねぇ」

 ヴィーンの言葉に乗ったネプテューヌも、つまみを並べながらヴィスキーオをからかっている。その様な視線に全く気付いていなかったシェリーはえっ?と驚いた表情を見せる。

 「気持ちは分かるわよぉ、だってシェリー美人だものぉ」

 「えぇ、先輩は超面食いですから」

 二人にからかわれているヴィスキーオの顔はみるみる紅くなっていく。シェリーも美人と言われて恥ずかしそうに下を向いた。

 「おっお前ら何言い出すんだ!?」

 「「見たまんまの事ぉ」です」

 ぐぬぬっ……ヴィスキーオは図星を言い当てられて何も言い返せない。

 「でも修行魂は恋愛ご法度でしょお?まぁ悪徳化・・・する事は無いだろうけどぉ」

 「する訳無いだろ?修行魂を甘く見んな。けどよぉ、美人を美人と思うくらいは良くないか?」

 「思うだけでしたらね、貴方の場合声掛けていますし。まぁお気持ちは理解致します、それくらいでしたら問題は無いでしょう」

 先程まで懐中時計を片手に立っていただけの中年紳士クロノスがヴィスキーオに話し掛けた。

 「クロノスさんにしては甘々な評価ですね」

 ヴィーンが意外そうに言ったがクロノスはそうでしょうか?と涼しげな表情を崩さない。

 「シェリーさんがお美しいのは事実ですから仕方がありません」

 「そろそろお婆ちゃんをからかうのはお止めください……」

 シェリーは自身への褒め言葉がいたたまれなくなって思わず話の腰を折ってしまう。彼女はこの街に来てまだ間もなく、“地上”にいた頃の年寄りという無意識の意識が抜け切っていない様だ。

 「からかってはいませんがこの話はこれくらいで。では乾杯といきしょうか」

 クロノスはいつの間にかジョッキを片手に嬉しそな表情を見せている。彼は普段冷静沈着で殆ど客を相手にしないのだが、どうもヴィスキーオと似たような思考を持ち合わせてしまったらしい。そんな中年紳士おっさんにネプテューヌも呆れ顔だ。
 
 「……いつの間に仕切ってんのぉ?」

 「クロノスさんも同類ですか、珍しい事もあるもんですね」

 思わぬ展開にヴィーンも苦笑いするしかないらしい。当のシェリーはというと、にこやかにジョッキを掲げて音頭を待っている。二人の男に惚れられてもどこ吹く風……聞く耳を持つ気も無い様だ。

 「……ご主人の魂には勝てない様ですね」

 「……みてぇだな」

 二人は肩を竦めて互いの顔を見合わせる。

 「それじゃあ、振られたおっさん二人にぃ」

 「「「乾杯っ!」」」

 と仕切るネプテューヌ。奪われかけたお株を奪還出来てご満悦だ。

 「「イヤイヤ、待て待てーい!!!」」

 二人は平然と行われる乾杯を止めようとしたが、綺麗にスルーされてしまい結局大人しく酒を飲むのだった。
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