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やっとこさ本編
語り部ジャック 輝編 天使降臨!上には上が……
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史生谷先生の思わぬ計らいでΔΔΔ区立病院へ行く事になった颯天と僕、先生の車の中で結嶋と喜多川もお兄さんの車で病院に向かっていた事を知った。
「畠中が倒れた状況を説明するためにお兄さんの車に同乗したらしいぞ」
そっか……あの二人冷静だなぁ、それも含めてはなから付いて行くつもりだったんだろうな。
「そう言えば結嶋って何かスポーツとかしてるんですか?」
伽月を抱えてのあの身のこなしは半端無くヤバかった!これまで“ヤシックス”の嫌がらせも何のそので普通に学校来てたし、最低でも“数学補習組”とは親しくしてたからなぁ。それを励みに、とも思ってたけど案外今日みたいな機会を敢えて狙ってたかも知れないな、うわぁ~アイツ策士だ。
「お父さんが古武術の師範をされてるよ、本人も日夜鍛練を積んでるとは聞いてるが……一応口止めされてたから」
……策士結嶋、アイツを敵にしなくて良かったよ。にしても颯天にしろ伽月にしろ、よく気付いてたよね?結嶋の“才能”に。
「アイツ案外体締まってたからな、それに体育の授業で後れをとった事無かったろ?」
「そうだね、他に気付いてた人いたのか?」
「松尾は完全に気付いてた、『マトモに相手したら絶対勝てない』って」
「えっ?アイツ柔道部じゃん」
「そもそも力技が通用しないんだと、利用されちまうとか言ってた。あと喜多川も薄々は勘付いてたみたいだよ」
僕らが結嶋の話題で盛り上がり始めると、先生は苦笑いしてお前らなぁ……と声を掛けてきた。
「少しは畠中の心配、しないか」
今日は比較的空いてたとは言ってもΔΔΔ区立病院は遠い、軽く四十分ほどかけてやっとの事で到着した。それにしてもでかい病院だなぁ……内科に外科に耳鼻科に皮膚科、眼科もあって小児科、歯科まであるや。あとは緩和ケアとかリハビリテーション科、産科もある。それだけに病院内も広い広い、受付もいちいち細かく分かれてる、入院患者ってどの受付に言えばいいの?って思ってたら先生もう事務員さんと話してる。
「内科だって、そこの階段で二階に上がって突き当たり一番奥の二一五号室だ。四人部屋だそうだから騒ぐなよ」
はい。僕らは先生に付いて二階に上がると、突き当たりの病室入り口前の椅子に座ってるインテリサラリーマンとスキンヘッドが真っ先に目に付いた。因みにインテリサラリーマンは喜多川、スキンヘッドは結嶋のことね。
「伽月は?」
「まだ眠ってるって。ご家族の方は検査入院の説明を受けに別室にいらっしゃって、ご友人かな?がお父様と一緒に中に」
結嶋が周囲に気を遣って小声で話す。ご家族の方……じゃあこの二人ゲイカップルを目の当たりにした訳だ。
「それにしても絵に描いた様な美男子カップルで……」
「畠中が霞むくらいの美形振りだったよ」
「腐女子に見せたら卒倒するな、多分」
とまぁ二人揃って興味深々みたいだな、僕も見たくなるじゃないか!確か颯天は面識あるよな、お二人と。
「俺はもう見慣れてるけど……俺の彼女腐女子だから試してみようかな?」
颯天の彼女……誠君のクラスメイトの子か。
「そんなに美形なのか?」
僕は颯天の顔を見る。
「あぁ。お兄さんは俳優レベルだし、パートナーの……波那ちゃんって言うんだけど、彼がまたアラフォーとは思えぬ可愛さで」
そ、そうなのか?うわぁ~ますます興味湧いてきた。
「ま、誠君レベルくらい?」
喜多川と結嶋までもが色めき立つくらいだからきっとそのくらいのレベルは見込んで良いでしょ?
「何言ってんだ、もっと上だよ。マジで天使みたいだからな」
「もう神ってる、畠中が羨ましくなる」
颯天の評価に喜多川と結嶋も頷いてる。あっ、そう言えば先生だって……と思って顔を見上げたら、ちょっとばかり血管浮かせて怒りの表情を見せてる。普段は気さくで理解のある兄ちゃん的な方なんだけど……怒ると結構怖いんだ。
「お前らなぁ……今その話題大事か?」
先生、ここ病院なんで雷は落とさんでください……僕ら四人はぐっと押し黙って先生を見上げた。
「お兄様カップルの事より畠中の心配、したらどうなんだ?」
い、いや、心配はしてますとも、本心は。でもこんな時でもない限りご家族とお目に掛かる機会何てそうそう……。
「史生谷先生、この度は伽月がご迷惑をお掛け致しました」
と一人の男性が先生にお辞儀してる。
「いえ、こちらこそ大人数で押し掛けて申し訳ございません」
「そんな事ありません、そちらのお二方が付いて来てくださらなかったら、倒れた時の状況説明は出来ませんでしたから」
その男性が……多分波那さんか。身長は結嶋くらいかな?前髪を大きな瞳すれすれのところで切り揃えてて長さはボブカットくらいか。ちょっと遠目だけど、確かに結構な美人さんだ。
「颯天君とそちらの君もありがとう、誠君を経由してくれたお蔭で交通機関に困らなくて済みました」
波那さんは僕らにも礼を言って微笑みかけてくれる。ひやぁ~!その笑顔は反則技じゃないか!い、いかん!惚れそうなくらいに可愛すぎる!颯天、お前の言ってる意味が分かったよ……僕一瞬だけ誠君がそっちのけになってた、ゴメンな、誠君。
「畠中が倒れた状況を説明するためにお兄さんの車に同乗したらしいぞ」
そっか……あの二人冷静だなぁ、それも含めてはなから付いて行くつもりだったんだろうな。
「そう言えば結嶋って何かスポーツとかしてるんですか?」
伽月を抱えてのあの身のこなしは半端無くヤバかった!これまで“ヤシックス”の嫌がらせも何のそので普通に学校来てたし、最低でも“数学補習組”とは親しくしてたからなぁ。それを励みに、とも思ってたけど案外今日みたいな機会を敢えて狙ってたかも知れないな、うわぁ~アイツ策士だ。
「お父さんが古武術の師範をされてるよ、本人も日夜鍛練を積んでるとは聞いてるが……一応口止めされてたから」
……策士結嶋、アイツを敵にしなくて良かったよ。にしても颯天にしろ伽月にしろ、よく気付いてたよね?結嶋の“才能”に。
「アイツ案外体締まってたからな、それに体育の授業で後れをとった事無かったろ?」
「そうだね、他に気付いてた人いたのか?」
「松尾は完全に気付いてた、『マトモに相手したら絶対勝てない』って」
「えっ?アイツ柔道部じゃん」
「そもそも力技が通用しないんだと、利用されちまうとか言ってた。あと喜多川も薄々は勘付いてたみたいだよ」
僕らが結嶋の話題で盛り上がり始めると、先生は苦笑いしてお前らなぁ……と声を掛けてきた。
「少しは畠中の心配、しないか」
今日は比較的空いてたとは言ってもΔΔΔ区立病院は遠い、軽く四十分ほどかけてやっとの事で到着した。それにしてもでかい病院だなぁ……内科に外科に耳鼻科に皮膚科、眼科もあって小児科、歯科まであるや。あとは緩和ケアとかリハビリテーション科、産科もある。それだけに病院内も広い広い、受付もいちいち細かく分かれてる、入院患者ってどの受付に言えばいいの?って思ってたら先生もう事務員さんと話してる。
「内科だって、そこの階段で二階に上がって突き当たり一番奥の二一五号室だ。四人部屋だそうだから騒ぐなよ」
はい。僕らは先生に付いて二階に上がると、突き当たりの病室入り口前の椅子に座ってるインテリサラリーマンとスキンヘッドが真っ先に目に付いた。因みにインテリサラリーマンは喜多川、スキンヘッドは結嶋のことね。
「伽月は?」
「まだ眠ってるって。ご家族の方は検査入院の説明を受けに別室にいらっしゃって、ご友人かな?がお父様と一緒に中に」
結嶋が周囲に気を遣って小声で話す。ご家族の方……じゃあこの二人ゲイカップルを目の当たりにした訳だ。
「それにしても絵に描いた様な美男子カップルで……」
「畠中が霞むくらいの美形振りだったよ」
「腐女子に見せたら卒倒するな、多分」
とまぁ二人揃って興味深々みたいだな、僕も見たくなるじゃないか!確か颯天は面識あるよな、お二人と。
「俺はもう見慣れてるけど……俺の彼女腐女子だから試してみようかな?」
颯天の彼女……誠君のクラスメイトの子か。
「そんなに美形なのか?」
僕は颯天の顔を見る。
「あぁ。お兄さんは俳優レベルだし、パートナーの……波那ちゃんって言うんだけど、彼がまたアラフォーとは思えぬ可愛さで」
そ、そうなのか?うわぁ~ますます興味湧いてきた。
「ま、誠君レベルくらい?」
喜多川と結嶋までもが色めき立つくらいだからきっとそのくらいのレベルは見込んで良いでしょ?
「何言ってんだ、もっと上だよ。マジで天使みたいだからな」
「もう神ってる、畠中が羨ましくなる」
颯天の評価に喜多川と結嶋も頷いてる。あっ、そう言えば先生だって……と思って顔を見上げたら、ちょっとばかり血管浮かせて怒りの表情を見せてる。普段は気さくで理解のある兄ちゃん的な方なんだけど……怒ると結構怖いんだ。
「お前らなぁ……今その話題大事か?」
先生、ここ病院なんで雷は落とさんでください……僕ら四人はぐっと押し黙って先生を見上げた。
「お兄様カップルの事より畠中の心配、したらどうなんだ?」
い、いや、心配はしてますとも、本心は。でもこんな時でもない限りご家族とお目に掛かる機会何てそうそう……。
「史生谷先生、この度は伽月がご迷惑をお掛け致しました」
と一人の男性が先生にお辞儀してる。
「いえ、こちらこそ大人数で押し掛けて申し訳ございません」
「そんな事ありません、そちらのお二方が付いて来てくださらなかったら、倒れた時の状況説明は出来ませんでしたから」
その男性が……多分波那さんか。身長は結嶋くらいかな?前髪を大きな瞳すれすれのところで切り揃えてて長さはボブカットくらいか。ちょっと遠目だけど、確かに結構な美人さんだ。
「颯天君とそちらの君もありがとう、誠君を経由してくれたお蔭で交通機関に困らなくて済みました」
波那さんは僕らにも礼を言って微笑みかけてくれる。ひやぁ~!その笑顔は反則技じゃないか!い、いかん!惚れそうなくらいに可愛すぎる!颯天、お前の言ってる意味が分かったよ……僕一瞬だけ誠君がそっちのけになってた、ゴメンな、誠君。
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