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平等に

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本当は総理の事なんてどうでもいい。。

自由に生きていきたいだけ。。

これまでの様に、緊急事態宣言のない暮らしがしたいだけ。。

冷めた想いと晃は向き合っていた。
他の大人たちは違うようだが、晃は他の大人たちと違っている。

確かに俺もこれまでのような自由が欲しい。だが、自由になっても、司と貴子がいなければ、俺の幸せは成立しない。

ーー早く。。
ーー早く戻ってこい!!司。
ーーそしたら、また三人で笑って暮らそう。。

俺を幸せだった日々に戻してくれ。。

晃の心の叫びは、だんだんと大きく膨れ上がっていく。

助けてくれ。。
俺を一人にしないでくれ。。
俺の幸せには、二人の存在が不可欠なんだ。

これまで「いて当たり前」だった二人が「いなくなった」ーーその時、これまでの人生で初めて俺にとっての、司や貴子の存在感の大きさを理解した。

晃はその思いを、、祈りを届けるようにして、手を組んで空を見上げる。
まるで、神様の前でお祈りしている様にして。。

ーーあ、いかんいかん。
他の大人たちの為に、政府への次なる手を考えなければ。。
すべての人が自由で、すべての人が平等に扱われるべきだと思い知らせるんだ。。

※虫けら

翌日、朝のニュースには集団自殺が報道されていた。

空は青く清み渡り、とても清んでいる空気の中にいたはずなのに、このニュースを見て、晃は気持ちがゲンナリとしてしまった。。

わかる。。わかるんだ。。
死のうとする理由も、、なぜ今なのか。。それすら、想像の域を越えてはいないが、おそらく緊急事態宣言のせいだろう。。

大人たちは、これまで自由に生きてきた。。
仕事も休みたい時には休める。家事を休みたい時は外食をすればいい。
お金がなければ、金融業者から借りればいい。

そんな風に過ごしてきたはずだ。
だからこそ、国に緊急事態宣言を出され、軟禁と呼ぶに相応しい状態になった時、彼らの心が麻痺してしまったのだろう。

ーー死。
その道だけは、決して選んではいけないものだとわかっていたはずなのに、政府は命を守っていないじゃないか。。

晃はふとそのニュースに、心を痛めた。

怖いくらいにわかる気がした。
死を選んだ彼らが、何故、その行動に出てしまったのか。

真実は彼らにしかわからない。
だが、想像するのは容易だった。そしておそらくそれが正解であろう、と晃は確信に近いものを感じていた。

ーー政府は人を、国民を、虫けらの様に殺したんだ。。

※裏切り

そんな時、突然目の前を通りすぎたのは、テレビでよく見る総理大臣だった。

ーーこんなところに総理大臣??
ーーまさか、、。
ーーあり得ないだろ?

だが、どー見てもそれは総理大臣だった。
しかも、お抱えの運転手やボディーガードがいるイメージだが、歩いている。。
一体何をしてるのか?

国を動かす人たちが歩いているのに、市民には緊急事態宣言ーー動くな!と言っている。
この国は矛盾だらけだ。。

ーー元はこんなんじゃなかったはず。。

一体、どうして日本はこんなにおかしな国になってしまったんだ??

総理大臣なのに、彼は国民を裏切っている。

※傷害事件

総理大臣が通りすぎた、その時。
俺の体は、総理に一直線に向かっていた。

不意に総理大臣がよろける。。

すべての大人たちの恨みを晴らす為に。
そして俺の幸せを守る為にーー。

「ふっざけんな!!国民には緊急事態宣言、家にいろ!?ーーそれで総理がこの様は何だ??ふざけやがって。。」

総理大臣の上に、馬乗りになり、思いっきり殴り付けた。
何度も何度もーー。

しかし、総理である彼は、何も言わなかった。ただ、されるがまま。。

「どーした?何でやり返さない?」

そう聞きながら、俺は彼を殴り続けた。
近くには、ケータイで動画を撮りながら事件だ、事件だ。と野次馬が沢山いた。

きっと遅くても、明日になれば事件は発覚するだろう。

もう覚悟を決めていた。
俺は俺の人生《みち》を行くーー。

ボロボロになった総理を横たえたまま、俺は家路を急いだ。。

翌日の朝にはもしかしたら、警察が来るかも知れないと怯えながら。。
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