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第33話

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うわぁぁぁぁーー。

自分の叫び声で、僕は目を覚ました。
汗でビショビショになっている。
「ーー夢、かぁ」

焦りが出ているのだろうか?僕が逮捕される夢なんて見てしまった。あんな夢を見たら、目覚めもよくはない。
一体どこまでが夢で、どこまでが現実なのか?わからない。僕もネットに乗っているのか?

再度、僕はネットで検索してみる。
「清水奏太殺害事件、真相と。

時刻は夕方の六時を指している。
ようやく僕は家にたどり着いた。

「ーーただいま」
「おかえりなさい。遅かったわね」
僕を出迎えたのは、久しぶりの恵だった。
「母さん、もー大丈夫なのか?」
「もう大丈夫よ。ーーあなたには、バカな事させられないから」
恵は笑った。
久しぶりの恵の存在に、心から癒されるような気がした。
「お帰りなさい」

その日。
親子で囲む食卓は、楽しいものだった。

ーー人のいる家はこんなにも暖かい。
僕は痛感した。
その日。
僕は夢を見た。

ーー父と母に囲まれた幼い頃の僕が、幸せそうに楽しく笑っている夢をーー。
それなのに、なぜか目を覚ました時、僕は泣いていた。
本当ならこんな風に、笑っていられる時間が訪れるはずだったのにーー。
父はもういない。
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