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第十二話

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恵は受話器を置くと、すぐに昔の同級生だった藤沢誠に電話を入れた。

「ーーもしもし、藤沢くん?」
「そうだけど?誰?」
「私よ。中学の同級生だった原口恵」
「あぁ、久しぶりー」
急に彼は軽い声を出した。
「まだ警官やってる?」
「一応ね、、」
「お願いがあるんだけど、聞いてくれるかなぁ?」
急に恵は猫なで声を出した。
「何?」
「ちょっと調べてほしいものがあるのーー昔の事件に関係ありそうなんだけど、、どう?」
「どんな事件?」
「殺人事件の証拠になる物だと思うんだけど、、?」
「いーよ。内緒で調べてやるよ」
持つべきものは善き友だ、と思う。
明日、品物を持っていくと言って、恵は受話器を置いた。

買い物をして家に帰ると、もう秀二が帰っていた。

「どうだった?警察の人ーー?」
言葉少なに秀二が聞いた。
「調べてくれるそうよ。ところでとーゆー事なの?説明して」
恵は急に理解した様な僕の声を聞いたせいか?僕に問い詰める。
ーー一体何があったのか?と。

僕はこれまでの経緯を母に話した。
東京拘置所に行き、中山兼に会いに言った時、すでに面会客がいて、それが沢田昌平だった事。
二人が話していた内容をーー。
「えっ?じゃ、、」
「多分、父さんは事件の現場を目撃しちゃったんだ。それで証拠を持ってたから、殺された。ーーそんなところだろう。」
大きく深呼吸する。
「直接、手を下したのは、、あの四人の中の誰かじゃない。あの四人がグルになって、父さんを殺したんだ」
「そんなーー?」
母がよろめく。
そのまま母は座り込んだ。

「ーーあの人が殺された?」
信じられない思いで一杯だった。

「ーー母さん、僕は間違ってたのかも知れない。ただ真実を知りたいと思って、調べ始めた。でも、殺人だった。それなら僕はどーしたらいーのか?わからない」

僕には涙が流れた。

「すべてはあの証拠を調べてもらってからだ」
その結果次第で、僕がどうするか?考えても遅くはない。

恵は例の警察官の友人に、灰皿を預けてくれているらしい。
指紋と血痕の有無を調べてほしいと言った。

それから丸一日が経過して、恵のケータイが鳴った。
恵はすぐさま、電話を僕に渡す。

「簡潔に言いますと、この灰皿には6名の指紋とAB型の血痕が見つかりました」
その報告を聞いて、ーーやっぱり、と思った。
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