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第七話
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「僕もまだ信じられませんが、事実です」
しばらくの重い沈黙が流れた。
「先日、父の遺品を整理してたら、こんなものを見つけたんです」
「ーーこれは?」
彼に封筒と四人の名前が記されただけのメモを渡した。
中身を抜き出すと、彼はマジマジとそれを見つめて、僕に言った。
「ーーこれ、健吾とトラブルを起こしているやつばっかだ」
「トラブル?ーーあなたも?」
「そうだ。昔、俺と健吾は一人の女を取り合っちまった事があるんだ。俺は対したトラブルではないと思ってるけどな」
「そうなんですか?」
「健吾は気にしていたみたいだけどな」
「他の3人はどんなトラブルだったんですか?」
「ーー俺から聞いたって言わないでくれよ?」
「はい。約束します」
「太郎は昔から金銭感覚がないやつで、詳しくはわからないが金銭面でのトラブルがあったようだ」
ーー太郎。金銭トラブル。
ーー昌司。女関係のトラブルか。
「藤田しげるーー彼は近所に住んでいて、彼の買っている犬に噛まれた事があると、健吾が話していた。しかし、慰謝料は払ってもらっていない、とーー」
ーーしげるは近所トラブル。
「最後に、中山兼(けん)。ーー彼の運転する車に健吾が引っかけられた事があるらしい。それがきっかけで、健吾は足を引きずる事になってしまったのだとか?随分昔の事だと話していたがーー」
ーー兼は事故か。
他の3人よりもトラブルの度合いが大きく感じた。
「最後に一つ、いいですか?」
「なんだ?」
「ぶっちゃけて聞きます。ーーあなたは父を殺しましたか?」
彼は突然、笑いだした。
「何をバカな事を言っているんだ?俺が殺す訳がない」
昌平はキッパリと断言する。
「ありがとうございます。また電話するかも知れませんが、今後ともお願いします」
「待ってるよ」
そう言って、昌平と別れた。
彼の言うトラブルが、当たってるのかどーかは不確かだが、これから会っていくうちに分かるだろう。
僕は残りの二人からどんな情報を得られるだろうか。
彼と別れてすぐ僕は父のケータイで、もう一件電話をした。
「藤田しげる」
今度は彼に会う為にーー。
しばらくの重い沈黙が流れた。
「先日、父の遺品を整理してたら、こんなものを見つけたんです」
「ーーこれは?」
彼に封筒と四人の名前が記されただけのメモを渡した。
中身を抜き出すと、彼はマジマジとそれを見つめて、僕に言った。
「ーーこれ、健吾とトラブルを起こしているやつばっかだ」
「トラブル?ーーあなたも?」
「そうだ。昔、俺と健吾は一人の女を取り合っちまった事があるんだ。俺は対したトラブルではないと思ってるけどな」
「そうなんですか?」
「健吾は気にしていたみたいだけどな」
「他の3人はどんなトラブルだったんですか?」
「ーー俺から聞いたって言わないでくれよ?」
「はい。約束します」
「太郎は昔から金銭感覚がないやつで、詳しくはわからないが金銭面でのトラブルがあったようだ」
ーー太郎。金銭トラブル。
ーー昌司。女関係のトラブルか。
「藤田しげるーー彼は近所に住んでいて、彼の買っている犬に噛まれた事があると、健吾が話していた。しかし、慰謝料は払ってもらっていない、とーー」
ーーしげるは近所トラブル。
「最後に、中山兼(けん)。ーー彼の運転する車に健吾が引っかけられた事があるらしい。それがきっかけで、健吾は足を引きずる事になってしまったのだとか?随分昔の事だと話していたがーー」
ーー兼は事故か。
他の3人よりもトラブルの度合いが大きく感じた。
「最後に一つ、いいですか?」
「なんだ?」
「ぶっちゃけて聞きます。ーーあなたは父を殺しましたか?」
彼は突然、笑いだした。
「何をバカな事を言っているんだ?俺が殺す訳がない」
昌平はキッパリと断言する。
「ありがとうございます。また電話するかも知れませんが、今後ともお願いします」
「待ってるよ」
そう言って、昌平と別れた。
彼の言うトラブルが、当たってるのかどーかは不確かだが、これから会っていくうちに分かるだろう。
僕は残りの二人からどんな情報を得られるだろうか。
彼と別れてすぐ僕は父のケータイで、もう一件電話をした。
「藤田しげる」
今度は彼に会う為にーー。
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