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兄弟と共に過ごす夜
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「ーーあれ?この子」
由美が不思議そうに翔大を見た。
子供五匹のうちの一匹は、由美の家で面倒を見てくれている。彼は「チャコ」と名付けられたようだ。
「そうだよ。チャコの兄弟だよ」
「やっぱりー?チャコそっくりだねー!!」
「チャコとはどう?ポチはうまく行ってる?」
「ーーうん。大丈夫みたい。でも、やっぱりびくつく時がある。その姿が可愛そうで」
由美が言った。
「ーーそっか」
私もどーにかしてあげたいとは思う。けど、今すぐにどーにかなる問題ではないだろう。
「ーーポチ、こっちにおいで」
来ないのを承知の上で、私はポチを呼んだ。
私の右隣には翔大が、左隣には柴ちゃんがいる。
ガルルル。
ポチが精一杯の警戒心をむき出しているのがわかる。
ーーでも、誰もそれを咎めない。
そう。
ポチが悪い訳ではないとわかっているから。
「ーーこっちにおいで」
ポチに笑いかけながら、私は呼んだ。
くぅーん。
ポチは立ち止まったまま。
しばらくして、ようやくポチは歩いてきた。
私の方にーー。
ヨチヨチと、一歩ずつ確実に。
座ってる私の目の前に、重たい腰をおろした。
「ーーどう?この家は?」
私はポチに問いかけた。彼も話せるはずだと柴ちゃんから聞いている。
だが、、。
「ーークゥーン」
悲しそうな声で、ポチが鳴いた。
ーーダメか。
「話してくれない」事は、つまり「慣れていない」という証明だ。
慣れれば話してくれるはずだと柴ちゃんは言っていたが。
どうしたらポチは心を開いてくれるだろう?
どうしたらポチは安心して眠ってくれるのだろうか?
私は考えてみる。
私の短い人生を、何度振り返ったところで、その答えは見つかりそうもなかった。
由美が不思議そうに翔大を見た。
子供五匹のうちの一匹は、由美の家で面倒を見てくれている。彼は「チャコ」と名付けられたようだ。
「そうだよ。チャコの兄弟だよ」
「やっぱりー?チャコそっくりだねー!!」
「チャコとはどう?ポチはうまく行ってる?」
「ーーうん。大丈夫みたい。でも、やっぱりびくつく時がある。その姿が可愛そうで」
由美が言った。
「ーーそっか」
私もどーにかしてあげたいとは思う。けど、今すぐにどーにかなる問題ではないだろう。
「ーーポチ、こっちにおいで」
来ないのを承知の上で、私はポチを呼んだ。
私の右隣には翔大が、左隣には柴ちゃんがいる。
ガルルル。
ポチが精一杯の警戒心をむき出しているのがわかる。
ーーでも、誰もそれを咎めない。
そう。
ポチが悪い訳ではないとわかっているから。
「ーーこっちにおいで」
ポチに笑いかけながら、私は呼んだ。
くぅーん。
ポチは立ち止まったまま。
しばらくして、ようやくポチは歩いてきた。
私の方にーー。
ヨチヨチと、一歩ずつ確実に。
座ってる私の目の前に、重たい腰をおろした。
「ーーどう?この家は?」
私はポチに問いかけた。彼も話せるはずだと柴ちゃんから聞いている。
だが、、。
「ーークゥーン」
悲しそうな声で、ポチが鳴いた。
ーーダメか。
「話してくれない」事は、つまり「慣れていない」という証明だ。
慣れれば話してくれるはずだと柴ちゃんは言っていたが。
どうしたらポチは心を開いてくれるだろう?
どうしたらポチは安心して眠ってくれるのだろうか?
私は考えてみる。
私の短い人生を、何度振り返ったところで、その答えは見つかりそうもなかった。
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