みゆたろ

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追い出された男

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逃げ出す様にして、男は去っていった。

大きなため息。

「まったくもー、何を考えてるんだか?あの男はーー」

母はがっかりした様子で、何を今更。ーーそうぼやいている。

数年ばかり前なら、受け入れたかも知れないが、もー10年も前の事だ。
愛なんて感情は心のそこに封印している。
二度とそんな感情を感じる事はないだろう。

もうずっと一人でいい。夕夏がいればーー。

その思いを確かめる様に、足音を立てないようにそっと、二階にある夕夏の寝室に向かった。
階段を上り終えると、静かに扉を開ける。

そこには、柴ちゃんと顔を並べるようにして、眠っている夕夏がいた。
室内に入る。
夕夏の頭を撫でようとすると、柴ちゃんが目を冷ます。

ワンッワンワン。

元気に吠える柴ちゃんを撫でて、もう一度寝かそうと思ったが、遊びたくなってしまったようで、柴ちゃんは足元にまとわりついてくる。

「ーーん?どーしたの?」

目をこすりながら、夕夏が言った。

「ーーごめんね。起こしちゃった?」
静香は聞いた。
「ううん。大丈夫」
「もう一回寝なさい」
静香は夕夏のおでこを撫でる。

あっとゆう間に、夕夏は深い眠りの中に落ちていったようだった。

静かにドアを閉め、外に出ると柴ちゃんも外に出てきていた。
階段を下りようとする静香の足元にまとわりついている。
柴ちゃんは、階段が平気な子の様だ。

犬は階段を降りる時に、怖がるイメージだったが、柴ちゃんに限って言えば、どーやら違うらしい。

あっとゆう間に、柴ちゃんと共に一階にたどり着いた。
柴ちゃんは、ワンワンと吠えている。

ーーどーしてあの男が来た時に吠えなかったのだろうか?
あんな変なところから入って来ようとしてたと言うのに、、。

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