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第4章
31話
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大きく開いた口からはギラリと鋭い牙を剥き出しにし前足を持ち上げミネアに襲いかかる。
もうダメだ…
ギュッと堅く目を瞑る。
「ミネアー!!!」
ミネアを呼ぶ声が聞こえたかと思うと目の前に居たグアラバイトが真っ二つになっていた。
裂かれたグアラバイトの後ろからアランとジュードの姿が見える。どうやらアランが風魔法を刀に載せ真っ二つにした様だ。
「た、助かった…」
ホッと安堵の息を着く。
「助かっただと」
声だけでわかる。
物凄く怒ってる…
ズカズカとアランがミネアに近づいてくる。
あれー?
目の前に魔物より怖い人が居るんですけど…
そっと目を逸らすと顎を掴まれアランと強制的に向き合う形になった。
「ミネアは1人でなんとか出来ると思ったのかな?」
「う、周りに人がいなかったし…イケるかと…」
「本当にそう思ったのか」
思ったんだけど、、、
結果はこの有り様だ。
「ごめんなさい…」
何だが不甲斐なくて泣けてきた。
「お、お姉ちゃんを怒らないで!!」
向こうから男の子が両親と一緒にこちらへ駆け寄ってきた。
「お姉ちゃんが危なくなったのは僕の所為なんだ。ぼ、僕が魔物と会っちゃったからお姉ちゃんが自分を囮に助けてくれて…だ、だからお姉ちゃんを怒らないであげて!!」
あー、なんていい子なの。
後ろでは両親がこちらを見て頭を下げていた。
「ああ、そうか君が無事で良かったよ。大丈夫だよ、このお姉さんを怒ってる訳じゃないんだ。只ね、分かって貰おうと思ってね」
いやいや、それが怒ってるんですよー!!
周りが一様に思うが誰も言えない。
「あ、でも。それなら…お姉ちゃん!助けてくれてありがとう。」
チラッとアランを見てそのまま両親の元へと帰っていった。
「んん、ミネア先程の話だけど、男の子を助けたのは立派だ。だが、1人で突っ込むのは感心しないな。確かにミネアの魔法は強力だ、でもそれが通じない相手や魔物だっているんだ。それに、ミネア今は1人じゃないんだ。誰かに頼れるって事もわかって欲しい」
あ、前にもアランに言われていた。
今まで全て1人でこなして来た、誰も頼る相手もいなかったからその生活が染み付いていたけど、そっか。頼ってもいいんだよね…
「アラン、本当にごめんなさい。前にも言われてたのに私また1人で突っ走ってしまって」
「あぁ、分かってくれればいいんだ。ミネアが無事で良かったよ…」
ポンとお決まりの様に頭を一つなですると険しかった顔が柔らかく微笑んだ。
「さて、ジュードそのグアラバイト処分してくれ。あぁ、燃やした後の消火にブラン、、は今見廻りに行ってるからリアを呼んでくるか」
魔物にもよるがグアラバイトはそのまま放置して置くと他のグアラバイトが寄ってくるのだ。群れを一層するのであれば囮としてそのままにしておくが今回はこの1匹らしいし、燃やしてしまおうと言う事だ。
でも、ここにリアさんを呼んで大丈夫だろうか…
「ミネアちゃん!!帰りが遅いから心配したわよ!!無事?大丈夫?怪我はない?」
「はい、リアさんありがとうございます。少し擦りむきましたがこの通り皆さんに助けて貰って無事です」
ホッと胸を撫で下ろしたポーネリアを見て今回自分のやった事の重大さが分かったような気がした。
何故アランが怒ったのかも。
きっとみんな凄く心配してくれたのだろう…
「あの、皆さん…心配かけてすみませんでした」
深く頭を下げるとジュードが笑顔で顔を覗き込んできた。
「いいよいいよ。ミネアちゃんが無事で本当良かったよ。実はね、男の子が助けを呼びに来た時に髪の色を聞いたとたんアランったらすごい勢いで飛び出して行ってね、こっちもついて行くのに必死だったんだよ。あっ、これアランには内緒ね」
何それ…
嬉しいような恥ずかしいような。
うん、これは情けない顔をジュードに覗かれてるから恥ずかしいんだ!アランの心配が嬉しいからとかじゃない。多分…
無理やりに納得して振り向くとそこにはポーネリアが今にも失神しそうな勢いで立ち尽くしていた。
あー、グアラバイト…
「く、く、蜘蛛ーー!!いやーージュード様はや、く早く燃やしてくださいーー!!」
魔物も去り静かな町に公爵令嬢の声が響き渡り木霊した…
隣ではアランが笑っている。
リアさん可哀想…
もうダメだ…
ギュッと堅く目を瞑る。
「ミネアー!!!」
ミネアを呼ぶ声が聞こえたかと思うと目の前に居たグアラバイトが真っ二つになっていた。
裂かれたグアラバイトの後ろからアランとジュードの姿が見える。どうやらアランが風魔法を刀に載せ真っ二つにした様だ。
「た、助かった…」
ホッと安堵の息を着く。
「助かっただと」
声だけでわかる。
物凄く怒ってる…
ズカズカとアランがミネアに近づいてくる。
あれー?
目の前に魔物より怖い人が居るんですけど…
そっと目を逸らすと顎を掴まれアランと強制的に向き合う形になった。
「ミネアは1人でなんとか出来ると思ったのかな?」
「う、周りに人がいなかったし…イケるかと…」
「本当にそう思ったのか」
思ったんだけど、、、
結果はこの有り様だ。
「ごめんなさい…」
何だが不甲斐なくて泣けてきた。
「お、お姉ちゃんを怒らないで!!」
向こうから男の子が両親と一緒にこちらへ駆け寄ってきた。
「お姉ちゃんが危なくなったのは僕の所為なんだ。ぼ、僕が魔物と会っちゃったからお姉ちゃんが自分を囮に助けてくれて…だ、だからお姉ちゃんを怒らないであげて!!」
あー、なんていい子なの。
後ろでは両親がこちらを見て頭を下げていた。
「ああ、そうか君が無事で良かったよ。大丈夫だよ、このお姉さんを怒ってる訳じゃないんだ。只ね、分かって貰おうと思ってね」
いやいや、それが怒ってるんですよー!!
周りが一様に思うが誰も言えない。
「あ、でも。それなら…お姉ちゃん!助けてくれてありがとう。」
チラッとアランを見てそのまま両親の元へと帰っていった。
「んん、ミネア先程の話だけど、男の子を助けたのは立派だ。だが、1人で突っ込むのは感心しないな。確かにミネアの魔法は強力だ、でもそれが通じない相手や魔物だっているんだ。それに、ミネア今は1人じゃないんだ。誰かに頼れるって事もわかって欲しい」
あ、前にもアランに言われていた。
今まで全て1人でこなして来た、誰も頼る相手もいなかったからその生活が染み付いていたけど、そっか。頼ってもいいんだよね…
「アラン、本当にごめんなさい。前にも言われてたのに私また1人で突っ走ってしまって」
「あぁ、分かってくれればいいんだ。ミネアが無事で良かったよ…」
ポンとお決まりの様に頭を一つなですると険しかった顔が柔らかく微笑んだ。
「さて、ジュードそのグアラバイト処分してくれ。あぁ、燃やした後の消火にブラン、、は今見廻りに行ってるからリアを呼んでくるか」
魔物にもよるがグアラバイトはそのまま放置して置くと他のグアラバイトが寄ってくるのだ。群れを一層するのであれば囮としてそのままにしておくが今回はこの1匹らしいし、燃やしてしまおうと言う事だ。
でも、ここにリアさんを呼んで大丈夫だろうか…
「ミネアちゃん!!帰りが遅いから心配したわよ!!無事?大丈夫?怪我はない?」
「はい、リアさんありがとうございます。少し擦りむきましたがこの通り皆さんに助けて貰って無事です」
ホッと胸を撫で下ろしたポーネリアを見て今回自分のやった事の重大さが分かったような気がした。
何故アランが怒ったのかも。
きっとみんな凄く心配してくれたのだろう…
「あの、皆さん…心配かけてすみませんでした」
深く頭を下げるとジュードが笑顔で顔を覗き込んできた。
「いいよいいよ。ミネアちゃんが無事で本当良かったよ。実はね、男の子が助けを呼びに来た時に髪の色を聞いたとたんアランったらすごい勢いで飛び出して行ってね、こっちもついて行くのに必死だったんだよ。あっ、これアランには内緒ね」
何それ…
嬉しいような恥ずかしいような。
うん、これは情けない顔をジュードに覗かれてるから恥ずかしいんだ!アランの心配が嬉しいからとかじゃない。多分…
無理やりに納得して振り向くとそこにはポーネリアが今にも失神しそうな勢いで立ち尽くしていた。
あー、グアラバイト…
「く、く、蜘蛛ーー!!いやーージュード様はや、く早く燃やしてくださいーー!!」
魔物も去り静かな町に公爵令嬢の声が響き渡り木霊した…
隣ではアランが笑っている。
リアさん可哀想…
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