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第2章
21話②
しおりを挟むアランを筆頭に騎士達が男の周りを取り囲む。
「くそっ、、あぁそうだよ。俺がやったんだよ!!それもこれも全部お前が悪いんだ!!」
男は観念したかの様にいきなり声を張り上げザーガスを睨みつけた。
その声に視線が集まるのを感じた。
「彼が何したって言うのよ!貴方に会ったのはこの間が初めての筈でしょ!!」
「ああ、そうだよ。ソイツにはあった事はないね。
だからこそ横から湧いて出た奴になんかお前を取られたと思うと腹わたが煮えくりかえるんだよ!!」
「わっ、わたし?!」
マエルは驚いていたが周りは大方予想していただろう。だからこそ、ミネアもマエルが来るのは危険ではないかと心配していたのだ。
「なぁ、俺はお前の話をいつも真剣に聞いていただろ。お前も楽しそうにしてたじゃないか!なのにどうしてソイツなんだよ?おかしいだろう?
俺のやってる事は当然の事だ!!ソイツを消して俺と一緒になろう!!なぁ、分かってくれよ…」
当然分かる筈もない。
「確かに、話は聞いて貰ってたわ。でも私は貴方に恋愛感情なんてないわ!!私が愛してるのは彼だけよ!!」
「こっ、の!!ならお前も道連れだー!!」
アラン達の一瞬の隙をつき男は隠し持っていた呪術用の魔法陣をマエルに向け放った。
「「しまった!!」」
アランとリザルドが一斉にマエルに駆けつけようとしたが間に合わない。
バンっ!!
マエルの周りに煙が立ち上りみんなの視界を奪う。
「ハッハッハ、やったぞ。これでいい、これでいい!!ハッハッ、、!?」
「何がやったのですか?」
煙がサァーっと消え中からはマエルの前に立ちはだかるミネアがいた。
「何故だ!!何故無事でいる?!確実に呪術を食らっただろ!!」
「えぇ、くらいましたよ。文字通り食らいましたけどね」
そう、あの一瞬ミネアは咄嗟に判断しマエルの前に立つと男から放たれた呪術を自分で受け止め体の中で解呪したのだ。
「く、くそ…」
「よし、捕らえろ」
なす術ないと判断したのか男がガクッと項垂れると騎士達によってそのまま拘束され、その後役人へと引き渡された。
「ミネアよくやってくれた。お前がいなきゃ彼女は守れなかったよ、本当頑張ったな。」
アランがミネアの頭に手を置き労ってくれる。
あぁ、やっぱりアランは人の頭に手を乗せるのが癖なのね…
慣れてきてるからかしら、私も嫌じゃないのが不思議よね…
ミネアがぼーっと考えてるとアランが不思議そうに見てくる
「ミネア?」
!!!
「ミネア!!!」
ぐらっとミネアの視界が一転した。
あぁ、やっぱり自分に呪詛を取り込むのは反動が大きいわ、ね…
そう思ったのを最後にミネアの視界は真っ暗になった。
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