モブの筈がモブじゃない〜乙女ゲームの世界ではモブだったはずなのに全然モブじゃありません〜

あかとんぼ

文字の大きさ
上 下
78 / 83
第四章

ニースベルの招集

しおりを挟む
救護室の一件から1週間がすぎ、今アリアローズはセリーヌと共に王宮へと向かう馬車に乗っている。

「本当カインザーク殿下には驚かされましたわね。いきなり帰ってきたかと思ったらニースベル殿下にデコピンをされるんですもの」

全くだ、あの場にカインザークがいる事にすら驚いたのだが更に驚きが待っていたのだから。
しかし、カインザークのデコピンでもニースベルは目を覚さないくらい深く眠っていたので両殿下とランティスはそのまま王宮へと場所移した。
チラッとカインザークと目があったが和んで話してる場合ではないのでその場は会話もなしにお別れをした。
そして本日は数日前に目が覚めたニースベルが話したい事があると言われたそうでこうして王宮へと招集されたのだ。

因みに、直ぐに目を覚ますと思ってたニースベルはあれから3日は眠っていたと言う。そして、学園や周りの騒動など露知らず起きてきたニースベルの肌は卵の様につやつやで体力も回復し元気いっぱいの様子だったそうだ。もしかしたら少しは治癒魔法が効いてしまって体力が全快になるまで寝てたのかもしれないと言う事は思っても黙っておこう。


馬車に揺られ王宮へと到着すると、ニースベル殿下が待っている部屋へと案内された。
案内のメイドが扉をノックするとどうぞと部屋へと入室する。
中にはニースベル殿下、カインザーク殿下、ランティス、攻略対象である宰相の息子ログワーツ、近衛団長の息子グレンそれにリリアンヌも既に入室していた。
呼ばれていたのは私たちだけではないと思っていたがまさかのパンドラ乙女の主要メンバーが勢揃いだった。
これから何があるのかとゴクっと唾を飲み込む。

「2人ともよく来てくれたね、君たちにも心配をかけてしまったね。この通り元通りに回復したし私を心配してくれ、そして私が信頼している皆んなに大事な話があるんだ」

そういうとニースベルはリリアンヌの肩を抱き隣へと引き寄せると皆の前で宣言するように口を開く

「私ニースベル・ラクトリアはリザベラ・フローレンスとの婚約を破棄しここにいるリリアンヌ・カナルディとの婚約を宣言したい」

やはりこの話だったのか。
そして流石乙女ゲームのトゥルーハッピーエンドと言った所か、他の攻略者の前でニースベルとの婚約宣言をしても皆温かく見守っている。

「まぁ、分かってはいたけど遂に決めたんだな」

カインザークの声にコクンと頷く

「父上や母上には既に了承を得ているんだ、後はフローレンス公爵家をどう説得するかで数日頭を悩ませていたんだけど使えそうな情報を見つけてね、このまま進めれば100とは行かなくても婚約破棄はできると思って寝ずに資料をまとめていた所だったんだ」

「そこに今回の事故か、中々上手く使えそうだな」

2人で顔を見合わせてニヤッと頷いている。
やはり双子なだけあって普段は似て居なくても似ている時は似ているものなのだと妙に納得してしまった。

今回のニースベルに怪我を負わせてしまった件を上手く使えば学園内の出来事とは言え故意に王族に危害を加えたとして婚約者であろうともそれなりの処分は出来るだろう。それを婚約破棄の理由に使い、断罪を果たすようだ。

そうかそうか、等々ここまで来たんだな。
とリリアンヌに視線を向けるとリリアンヌもニッコリと意味ありげにアリアローズを見返す。

「ん、まぁそう言う事なので皆には知っていてほしいし、協力して欲しいんだ。婚約破棄を伝えるのはリザベラの謹慎が明け皆の卒業が決まった後の卒業パーティーで行うことにする」

「何故卒業パーティーなんですか?直ぐにでも破棄を言いつければ宜しいのでは?」

近衛団長の息子グレンが不思議に思い訪ねる。確かに、義に厚いグレンなら直ぐにでも不要なら排除したいだろう。
しかし、相手はリザベラ・フローレンスだ。
そこは慎重にいかなくては行けない事くらい分かってはいるが、卒業パーティーまで待つ必要もない事は確かだった。

「そうだね、別に卒業パーティーで無くても良いのだけどより多くの人に承認としていて貰うには在学中の事を知っている者たちが多くいて、更には親も参席できる卒業パーティーの場を使うのが1番円滑に破棄を進めるた為の近道かなと思ってね」

「確かにそうだな、卒業後のパーティーでは学園内の事やリリアンヌ嬢の事をよく知らない貴族も居るだろうし、何より直近でそう言った貴族を集める大掛かりなパーティーは企画しなければ開催の予定がないしな、学園には悪いがそこを利用させて貰わない手はないな」


「そう、そう言うことで決行は卒業パーティー当日。皆んなにはやって貰いたい事も個別にあるからそれは後に話すとして。あ、アリアローズ嬢とセリーヌ嬢には特別招待状を送るから当日は参加してリリアンヌを見守っててね」

こうして、卒業パーティーでの断罪イベントへの幕が明けたのだった。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

王子妃教育に疲れたので幼馴染の王子との婚約解消をしました

さこの
恋愛
新年のパーティーで婚約破棄?の話が出る。 王子妃教育にも疲れてきていたので、婚約の解消を望むミレイユ 頑張っていても落第令嬢と呼ばれるのにも疲れた。 ゆるい設定です

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

処理中です...