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第三章
約束の高原2
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二本の木に結んだブランコはその男の子との思い出の場所だった。
王家の所有地にいるのだから王族関係者なのだろうがそれがカインザーク殿下だったのだろうか。
でも、、夢に出てきたあの男の子はカインザークの容姿とは似ても似つかない髪と瞳の色をしていた。その色は一般的なラクトリア国民の特徴色だった筈だ。
なら私と同じでこの場所に忍び込んだ人だったのだろうか。
「あの、殿下?」
中々返答が返って来ないので答えが気になってしまう。
「ふっ、あーあ、カインと呼んでくれたのは一回だけだったか、残念」
「あれ今そんな話でしたっけ?!」
カインザークは笑いながら二本の木に結んであるブランコに触れると懐かしそうにゆっくりと揺らしてみた。
「本当は教えてあげても良いんだけど…」
「え、今何か言いました?」
余りに小さく呟くのでアリアローズには聞き取れなかった。
「はは、今はまだ秘密だ。さて、そろそろお腹空かないか?軽食だが持ってきたから食べようか」
上手く話題を逸らされてしまったが、確かにお腹も空いていたしこれ以上カインザークは何も教えてくれなそうだった。
思い出させようとしたのに教えてくれないなんて意地悪だ。
用意された軽食を食べ終わると侍女がお茶を入れてくれた。食べ終えた物はすっかり片付けがされ広々したシートに座り込むだけの優雅なピクニック。
勿論アリアローズもピクニックはするがレネティシス家は最低限の使用人なのでやれる事は自分ですると言う家訓がある様な無い様ななので片付けも自らしていた。
そう言えば、セリーヌ達と行ったピクニックも片付けて無い気がするがあの時は森に入ってる間に無くなっていたのでそこまで気にならなかった。
お茶を口に含みのどかな雰囲気にホッとするとカインザークに伝えないといけない事があるのを思い出した。
「あっ、殿下そう言えばなんですが…」
「うん?」
どう話そうか、あれこれ悩んでも纏まらないしここは直球でいいか。
「アルベルト殿下に治癒魔法のことバレてしまいました!」
「はぁぁ?!」
余りに突拍子もない事を聞いたものだから思わず持っていたお茶をこぼして熱がっている。
まぁ、そう言う反応になりますよね…
「アリアあれだけ気をつけてって言った気がするんだが。しかも、よりによってセクタールの王太子にか…」
「あはは、、すみません」
謝るしかないけどもう済んでしまった事はどうすることも出来ないし要件はまだあるのだ。
「で、ですね。内緒にしてもらう変わりにレネティシス領の栄養剤を数本欲しいそうなんですが」
「待て。何故アルベルト殿が栄養剤の事を知ってるんだ」
「あー、そのー、なんと言うか、、すみません。ちょっと前に自国の回復薬と間違って栄養剤を渡してしまったんです。そこから調べたらしくて…治癒魔法の事がバレてしまったのでその事と含めて内緒にするから自分用に数本分けて欲しいと。流石に私だけでは渡していいのか判断が出来なかったので殿下の許可を貰わないとと思いまして…」
恐る恐る横を見ると明らかに不機嫌かつ怒っているオーラが受け取れる。
そりゃ怒っても当然の内容だ。気をつけろと言われていたのにあっさり他人に知られてしまうし、栄養剤までバラしてしまう自体。これはもう処罰の対象だと思う。
「それ知られたのはこの前のデートの時?」
デート!?
「いや、視察です!!でも、その、はい。その時に転んで血が出てた女の子に使った所を見られてしまって…」
うーん、とカインザークは頭を抱えながらどうするか考えている様だ。
「そうか、分かった。アリア次は無いよ?」
「はい!!」
ピンと背筋を正して返事をする。
もう本当に次は無いだろう、絶対守りますから!!
許して貰えたと胸を撫で下ろすとゴロンと膝に何かが乗る感覚がする。
「へっ?!殿下ちょ、何してるんですかー!!」
膝に乗ってるのは間違いなくカインザークの頭でこの状態は誰が見ても膝枕だ。
恋人でもないのに膝枕とか大丈夫なのだろうか、いや。それ以前に膝枕なんて恥ずかしすぎる!!
「何だ?いいだろうアルベルト殿の件を許してやるんだからこれくらいして貰わないと割に合わないからな」
膝枕が国家レベルの約束事の代わりになるのか分からないがそれで代わりになるのなら何も言えない。
ドキドキしているのがバレない様に必死に冷静を保つ事に集中した。
「そうだった、私もアリアに言わないといけない事があるんだ」
クルッと膝の上で寝返りを打ちアリアと顔を合わせ優しく微笑んだかと思うとカインザークは手を伸ばしアリアの頬を軽く撫でる。
「この後暫く国を離れる事になった。まぁ、ただの交換留学なんだが今この国にはアルベルト殿がいるだろう。王族が留学にきているのにこちらは行かないと言うのは体が悪いのでな、ほんの少しだ。3学年には戻るが今年のアリアの卒業パーティーは見れそうに無いんだ」
「そ、そうなんですか…それはまた長くお会い出来ないんですね」
あれ…
こんな返しをする筈ではなかったのに思わず口をついて出てしまった。
学園や校舎は違ってもこうして会うことが出来ていたが留学となると全く会うことは無いだろう。そう思うとやっぱり寂しいと感じてしまう。
「ふっ、そうかそう思ってくれる様にはなったんだな。それだけで成果があったのかな」
優しい微笑みを崩さないがどこか満足そうなカインザークはヨッと膝から起き上がりアリアローズと向かい合うと先程はとは変わって真剣な表情で見つめてきた。
「アリア、浮気するなよ」
はい?…この流れでそれですか?!
他に言うことはないんでしょうかね。
「もぉ、浮気とか誰とするんですか!と言うよりまず私は誰とも付き合ってもませんよー!!」
まだ、、
と小さく付け加えておいた。
その相手が目の前の人であれば良いのにと思うが一男爵令嬢には叶わない願いである。
ならこの気持ちは思わなかった事にしないと…と。
王家の所有地にいるのだから王族関係者なのだろうがそれがカインザーク殿下だったのだろうか。
でも、、夢に出てきたあの男の子はカインザークの容姿とは似ても似つかない髪と瞳の色をしていた。その色は一般的なラクトリア国民の特徴色だった筈だ。
なら私と同じでこの場所に忍び込んだ人だったのだろうか。
「あの、殿下?」
中々返答が返って来ないので答えが気になってしまう。
「ふっ、あーあ、カインと呼んでくれたのは一回だけだったか、残念」
「あれ今そんな話でしたっけ?!」
カインザークは笑いながら二本の木に結んであるブランコに触れると懐かしそうにゆっくりと揺らしてみた。
「本当は教えてあげても良いんだけど…」
「え、今何か言いました?」
余りに小さく呟くのでアリアローズには聞き取れなかった。
「はは、今はまだ秘密だ。さて、そろそろお腹空かないか?軽食だが持ってきたから食べようか」
上手く話題を逸らされてしまったが、確かにお腹も空いていたしこれ以上カインザークは何も教えてくれなそうだった。
思い出させようとしたのに教えてくれないなんて意地悪だ。
用意された軽食を食べ終わると侍女がお茶を入れてくれた。食べ終えた物はすっかり片付けがされ広々したシートに座り込むだけの優雅なピクニック。
勿論アリアローズもピクニックはするがレネティシス家は最低限の使用人なのでやれる事は自分ですると言う家訓がある様な無い様ななので片付けも自らしていた。
そう言えば、セリーヌ達と行ったピクニックも片付けて無い気がするがあの時は森に入ってる間に無くなっていたのでそこまで気にならなかった。
お茶を口に含みのどかな雰囲気にホッとするとカインザークに伝えないといけない事があるのを思い出した。
「あっ、殿下そう言えばなんですが…」
「うん?」
どう話そうか、あれこれ悩んでも纏まらないしここは直球でいいか。
「アルベルト殿下に治癒魔法のことバレてしまいました!」
「はぁぁ?!」
余りに突拍子もない事を聞いたものだから思わず持っていたお茶をこぼして熱がっている。
まぁ、そう言う反応になりますよね…
「アリアあれだけ気をつけてって言った気がするんだが。しかも、よりによってセクタールの王太子にか…」
「あはは、、すみません」
謝るしかないけどもう済んでしまった事はどうすることも出来ないし要件はまだあるのだ。
「で、ですね。内緒にしてもらう変わりにレネティシス領の栄養剤を数本欲しいそうなんですが」
「待て。何故アルベルト殿が栄養剤の事を知ってるんだ」
「あー、そのー、なんと言うか、、すみません。ちょっと前に自国の回復薬と間違って栄養剤を渡してしまったんです。そこから調べたらしくて…治癒魔法の事がバレてしまったのでその事と含めて内緒にするから自分用に数本分けて欲しいと。流石に私だけでは渡していいのか判断が出来なかったので殿下の許可を貰わないとと思いまして…」
恐る恐る横を見ると明らかに不機嫌かつ怒っているオーラが受け取れる。
そりゃ怒っても当然の内容だ。気をつけろと言われていたのにあっさり他人に知られてしまうし、栄養剤までバラしてしまう自体。これはもう処罰の対象だと思う。
「それ知られたのはこの前のデートの時?」
デート!?
「いや、視察です!!でも、その、はい。その時に転んで血が出てた女の子に使った所を見られてしまって…」
うーん、とカインザークは頭を抱えながらどうするか考えている様だ。
「そうか、分かった。アリア次は無いよ?」
「はい!!」
ピンと背筋を正して返事をする。
もう本当に次は無いだろう、絶対守りますから!!
許して貰えたと胸を撫で下ろすとゴロンと膝に何かが乗る感覚がする。
「へっ?!殿下ちょ、何してるんですかー!!」
膝に乗ってるのは間違いなくカインザークの頭でこの状態は誰が見ても膝枕だ。
恋人でもないのに膝枕とか大丈夫なのだろうか、いや。それ以前に膝枕なんて恥ずかしすぎる!!
「何だ?いいだろうアルベルト殿の件を許してやるんだからこれくらいして貰わないと割に合わないからな」
膝枕が国家レベルの約束事の代わりになるのか分からないがそれで代わりになるのなら何も言えない。
ドキドキしているのがバレない様に必死に冷静を保つ事に集中した。
「そうだった、私もアリアに言わないといけない事があるんだ」
クルッと膝の上で寝返りを打ちアリアと顔を合わせ優しく微笑んだかと思うとカインザークは手を伸ばしアリアの頬を軽く撫でる。
「この後暫く国を離れる事になった。まぁ、ただの交換留学なんだが今この国にはアルベルト殿がいるだろう。王族が留学にきているのにこちらは行かないと言うのは体が悪いのでな、ほんの少しだ。3学年には戻るが今年のアリアの卒業パーティーは見れそうに無いんだ」
「そ、そうなんですか…それはまた長くお会い出来ないんですね」
あれ…
こんな返しをする筈ではなかったのに思わず口をついて出てしまった。
学園や校舎は違ってもこうして会うことが出来ていたが留学となると全く会うことは無いだろう。そう思うとやっぱり寂しいと感じてしまう。
「ふっ、そうかそう思ってくれる様にはなったんだな。それだけで成果があったのかな」
優しい微笑みを崩さないがどこか満足そうなカインザークはヨッと膝から起き上がりアリアローズと向かい合うと先程はとは変わって真剣な表情で見つめてきた。
「アリア、浮気するなよ」
はい?…この流れでそれですか?!
他に言うことはないんでしょうかね。
「もぉ、浮気とか誰とするんですか!と言うよりまず私は誰とも付き合ってもませんよー!!」
まだ、、
と小さく付け加えておいた。
その相手が目の前の人であれば良いのにと思うが一男爵令嬢には叶わない願いである。
ならこの気持ちは思わなかった事にしないと…と。
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