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第三章
公爵家主催パーティ
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フローレンス公爵邸に着くと、薔薇がふんだんにあしらわれたアーチ形の門をくぐり邸宅の中へと入る。
一歩足を踏み入れるとそこは王宮に負けず劣らず豪華絢爛な造りの内装に煌びやかな装飾品の数々。
王宮の内装も勿論華美なのだが変に飾ったりしていない分良識の範囲内の豪華さではある。だが公爵邸の内装はギラギラと権力を惜しみなく使ってますと主張している様な装飾品の数々に目がチカチカする様だった。
「凄いですね、ここまでくると一層清々しいですね」
「はは、セリーは正直者だな。でも口に出しては行けないぞ」
「あら、口に出てましたか?それは申し訳ありませんお父様」
今日のパーティーにはカブレラ侯爵夫妻とその令嬢として招待されている。
会場である大広間へ着くと既に大勢の人で賑わっていた。侯爵夫妻は早速挨拶周りへと行ってしまい1人になったセリーヌはキョロキョロと周りを確認した。
会場の前の方にリザベラがおり、その周りを既に取り巻き達が囲んでいる。
まだリリアンヌは到着していない様だ。
「はぁ、今日は何も起こらないと良いですけど。どうも嫌な予感がして仕方ありませんわ…」
隅へと移動して周りを観察しながらため息混じりに呟く。
「セリー、ご機嫌よう。1人で壁の花になっているなんて珍しいね」
ブルックスがセリーヌの姿を見つけてドリンクを片手に声をかける。
近くの令嬢が頬を染めながら見つめているがとうの本人は全く気づいていない。他人の事には敏感なのに自分の事になると鈍感な所がある。でもそれがブルックスのいい所だとセリーヌは思っているので問題はない。
「ルブご機嫌よう。少しこれから起こりそうな事について考えておりましたの」
あぁ、と納得すると持っていたドリンクの一つをセリーヌに手渡す。
ブルックスにはニースベルとリザベラ、リリアンヌの関係性をある程度伝えている。勿論前回会った時に今日のパーティーに聖女候補としてリリアンヌが招待されている事も。
そしてセリーヌが1番心配している事、それはこの会場でアリアローズがいない今リリアンヌの知り合いはセリーヌのみだと言うこと。リリアンヌとは決して仲は悪くない。だが公爵家でリリアンヌが何か不況を買えば友達として近しい人達は間違いなく公爵の標的となり矛先はカブレラ侯爵家へと、下手したら婚約関係にあるマクロナ侯爵家にも向いてしまう。
そうならない様に両殿下、特にカインザーク殿下にも恩を売っているのだけれど伝わっていれば良いが…
はぁ、とため息をつくとセリーヌを気遣う様にブルックスが頭を撫でる。
「はあ、ルブの隣は落ち着きますわね」
「ふふ、光栄だよ」
2人の仲睦まじい姿をお互いの侯爵夫妻がニコニコしながら遠くから見守っているがその視線はすぐに扉へと向かった。
「ニースベル殿下、カインザーク殿下のご到着です」
声が聞こえ扉が開くと両殿下が入場してきた。流石美男子と名高い2人である。双子なので勿論顔つきは似てはいるが異なる雰囲気の容姿を持ち、かつ清々しい魔力を纏っており学園では魔力持ちだらけで気にはならないが社交の場にでるとやはり近寄るのも畏れ多いと感じてしまう。
「ニースベル殿下、カインザーク殿下本日はわざわざ足を運びくださりありがとうございます。心ゆくまで堪能されてください」
フローレンス公爵が挨拶をするとその後ろからリザベラも2人に挨拶をする為に駆け寄ってくる。そして、公爵の隣で止まり挨拶をしようとしたがピタッと動きを止めた。
「あぁ、彼女を紹介し忘れていたね。先程入り口で偶然会ってね、フローレンス公爵彼女が聖女候補であるリリアンヌ嬢です」
両殿下の後ろからヒョコっと姿を見せたのは紛れもなく紹介にあったリリアンヌだった。
「フローレンス公爵お初お目にかかります。カナルディ男爵家のリリアンヌと申します。この度はご招待下さいありがとうございます」
リリアンヌは公爵とリザベラの前でとても綺麗な作法で挨拶をし、公爵と殿下に一礼をしてその場を一旦離れた。
「へえ、リリアンヌ嬢かなり礼儀作法勉強してきたんだね」
「た、確かに。今の挨拶は完璧でしたわね。それに、直ぐに殿下方の側を離れるとか前は有りませんでしたね」
これは入り口で偶然会ったと言うのは嘘では無いのだろう。
リザベラは唖然とし、未だに微動だにしていないが公爵は既に違う場所へと移動していた。娘の婚約者が違う女性と入場して来たのに以外とあっさりしている父親なのだろうか、それとも…
「あっー!セリーヌ様ー!!こちらにいらしたのですねー」
ブンブンと手を降りこちらに向かって来る気の抜けた声に考えが一瞬で飛んでいく様だった。
「ふふ、リリアンヌ様もう少し作法を学びましょうか」
「はは、前言撤回だねセリー」
苦笑いをしている2人を交互に見つめてキョトンとしているリリアンヌは相変わらずであった。
一歩足を踏み入れるとそこは王宮に負けず劣らず豪華絢爛な造りの内装に煌びやかな装飾品の数々。
王宮の内装も勿論華美なのだが変に飾ったりしていない分良識の範囲内の豪華さではある。だが公爵邸の内装はギラギラと権力を惜しみなく使ってますと主張している様な装飾品の数々に目がチカチカする様だった。
「凄いですね、ここまでくると一層清々しいですね」
「はは、セリーは正直者だな。でも口に出しては行けないぞ」
「あら、口に出てましたか?それは申し訳ありませんお父様」
今日のパーティーにはカブレラ侯爵夫妻とその令嬢として招待されている。
会場である大広間へ着くと既に大勢の人で賑わっていた。侯爵夫妻は早速挨拶周りへと行ってしまい1人になったセリーヌはキョロキョロと周りを確認した。
会場の前の方にリザベラがおり、その周りを既に取り巻き達が囲んでいる。
まだリリアンヌは到着していない様だ。
「はぁ、今日は何も起こらないと良いですけど。どうも嫌な予感がして仕方ありませんわ…」
隅へと移動して周りを観察しながらため息混じりに呟く。
「セリー、ご機嫌よう。1人で壁の花になっているなんて珍しいね」
ブルックスがセリーヌの姿を見つけてドリンクを片手に声をかける。
近くの令嬢が頬を染めながら見つめているがとうの本人は全く気づいていない。他人の事には敏感なのに自分の事になると鈍感な所がある。でもそれがブルックスのいい所だとセリーヌは思っているので問題はない。
「ルブご機嫌よう。少しこれから起こりそうな事について考えておりましたの」
あぁ、と納得すると持っていたドリンクの一つをセリーヌに手渡す。
ブルックスにはニースベルとリザベラ、リリアンヌの関係性をある程度伝えている。勿論前回会った時に今日のパーティーに聖女候補としてリリアンヌが招待されている事も。
そしてセリーヌが1番心配している事、それはこの会場でアリアローズがいない今リリアンヌの知り合いはセリーヌのみだと言うこと。リリアンヌとは決して仲は悪くない。だが公爵家でリリアンヌが何か不況を買えば友達として近しい人達は間違いなく公爵の標的となり矛先はカブレラ侯爵家へと、下手したら婚約関係にあるマクロナ侯爵家にも向いてしまう。
そうならない様に両殿下、特にカインザーク殿下にも恩を売っているのだけれど伝わっていれば良いが…
はぁ、とため息をつくとセリーヌを気遣う様にブルックスが頭を撫でる。
「はあ、ルブの隣は落ち着きますわね」
「ふふ、光栄だよ」
2人の仲睦まじい姿をお互いの侯爵夫妻がニコニコしながら遠くから見守っているがその視線はすぐに扉へと向かった。
「ニースベル殿下、カインザーク殿下のご到着です」
声が聞こえ扉が開くと両殿下が入場してきた。流石美男子と名高い2人である。双子なので勿論顔つきは似てはいるが異なる雰囲気の容姿を持ち、かつ清々しい魔力を纏っており学園では魔力持ちだらけで気にはならないが社交の場にでるとやはり近寄るのも畏れ多いと感じてしまう。
「ニースベル殿下、カインザーク殿下本日はわざわざ足を運びくださりありがとうございます。心ゆくまで堪能されてください」
フローレンス公爵が挨拶をするとその後ろからリザベラも2人に挨拶をする為に駆け寄ってくる。そして、公爵の隣で止まり挨拶をしようとしたがピタッと動きを止めた。
「あぁ、彼女を紹介し忘れていたね。先程入り口で偶然会ってね、フローレンス公爵彼女が聖女候補であるリリアンヌ嬢です」
両殿下の後ろからヒョコっと姿を見せたのは紛れもなく紹介にあったリリアンヌだった。
「フローレンス公爵お初お目にかかります。カナルディ男爵家のリリアンヌと申します。この度はご招待下さいありがとうございます」
リリアンヌは公爵とリザベラの前でとても綺麗な作法で挨拶をし、公爵と殿下に一礼をしてその場を一旦離れた。
「へえ、リリアンヌ嬢かなり礼儀作法勉強してきたんだね」
「た、確かに。今の挨拶は完璧でしたわね。それに、直ぐに殿下方の側を離れるとか前は有りませんでしたね」
これは入り口で偶然会ったと言うのは嘘では無いのだろう。
リザベラは唖然とし、未だに微動だにしていないが公爵は既に違う場所へと移動していた。娘の婚約者が違う女性と入場して来たのに以外とあっさりしている父親なのだろうか、それとも…
「あっー!セリーヌ様ー!!こちらにいらしたのですねー」
ブンブンと手を降りこちらに向かって来る気の抜けた声に考えが一瞬で飛んでいく様だった。
「ふふ、リリアンヌ様もう少し作法を学びましょうか」
「はは、前言撤回だねセリー」
苦笑いをしている2人を交互に見つめてキョトンとしているリリアンヌは相変わらずであった。
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