モブの筈がモブじゃない〜乙女ゲームの世界ではモブだったはずなのに全然モブじゃありません〜

あかとんぼ

文字の大きさ
上 下
60 / 83
第三章

王都アクアーレン2

しおりを挟む
「ね、言ったでしょ迷子になるって」

「は、はい。おっしゃる通りでした…」

少し露店に目移りしている間にどうやらアルベルトを見失ったらしい。その場に居ればいいものの迷子になる人がやりがちな相手を探して動き回ってしまった為合流するのが遅くなってしまった。
結局最後はダブリンに見つけ出されたという訳だ。

「すみません。私のせいで視察の時間が少なくなってしまって…」

これでは完璧にお荷物だと肩を落とすアリアローズを覗き込むようにまた麗しい顔が見つめてきた。

「大丈夫だよ。言ったでしょ?ただ視察するだけではつまらないって。こう言うことも踏まえて誘ったんだからねっ!」

何だがその答えは腑に落ちないが実際迷惑をかけてしまった事には変わりない。
今度はしっかりとアルベルトから離れないように目を光らせておかないと。

「さて、じゃあ次は…」

ぐぅぅうー

うん、嘘だと言って欲しい…何故このタイミングでなるんですかね私のお腹!!

「はは、そうだね。いい時間だしお昼にしようか。アリアも僕に会う為に頭使ってエネルギー消費しただろうし丁度いいね」

「は、ははは。もう何も言いません」

確実に恥ずかしかった筈なのに何故か恥ずかしさより自分に呆れてしまったのはアルベルトの返しの所為だろう。うん、そう言う事にしよう。

昼食にと連れて行かれた場所は以前訪れた事のあるお店だった。

「ここね、料理がおいしいんだよ。シェフが昔何処かの国の宮廷料理長だったとかで人気なんだ」

「そ、そうなんですねー道理でお食事している人達は皆高級そうなんですね…知ったましたアルト様?私達とっても場違いな格好してますよ」

2人の服装は庶民服だ。以前このお店に来た時でももっと小綺麗な格好をしていても場違いで視線を集めたのに今は更に周囲の視線を集めている。

「大丈夫、皆んなそんなに気にしないさ。ねぇ、ここの支配人いる?これ見せたら分かるから」

そう言うと銀製のペンダントにマーガレットの紋様が描かれている物を懐からだし店員に手渡した。店員は明らかに服装のおかしい2人を不審に思ったがそこは教育が整っているからか支配人へと渡しに行った。
すると、直ぐに慌てた様子で1人の身なりのいい男性が出てくると一礼しペンダントをアルベルトへと返却した。

「お待たせ致しました、ようこそお越し下さいました殿下。おや、今日はまた珍しい服をお召しになられてますね。お席はいつものお部屋で宜しいでしょうか」

「ああ、頼むよ」

通された場所は以前リリアンヌ達と来た部屋ではなく個室ではあるがどちらかと言うと華美ではなく自然を感じさせる様な作りになっている部屋だった。

「アルト様はここに来る時はこのお部屋なのですか?室内なのにすごい木の香りが感じられますね」

「ああ、いつも煌びやかな所にいると偶には自然に癒されたくなるんだよ。本当は森に出向くのが1番なんだけどね、そういう時はうるさいのも着いてくるし食事やお茶の時間にゆっくりと自然を感じるのも悪くないだろ」

「そうですね、確かに落ち着きますね」

スゥーと息を吸うたびに木の香りを感じられこのまま外の街並みを見ながら時間も忘れてゆっくり出来そうだ。

「さて、アリアは何食べる?ここは、」

ふふ、知ってますよ!ここは、、

「お肉が美味しいんですよね!」

「ぷっ、ははは」

あれ?また私はずしましたかね…
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢エリザベート物語

kirara
ファンタジー
私の名前はエリザベート・ノイズ 公爵令嬢である。 前世の名前は横川禮子。大学を卒業して入った企業でOLをしていたが、ある日の帰宅時に赤信号を無視してスクランブル交差点に飛び込んできた大型トラックとぶつかりそうになって。それからどうなったのだろう。気が付いた時には私は別の世界に転生していた。 ここは乙女ゲームの世界だ。そして私は悪役令嬢に生まれかわった。そのことを5歳の誕生パーティーの夜に知るのだった。 父はアフレイド・ノイズ公爵。 ノイズ公爵家の家長であり王国の重鎮。 魔法騎士団の総団長でもある。 母はマーガレット。 隣国アミルダ王国の第2王女。隣国の聖女の娘でもある。 兄の名前はリアム。  前世の記憶にある「乙女ゲーム」の中のエリザベート・ノイズは、王都学園の卒業パーティで、ウィリアム王太子殿下に真実の愛を見つけたと婚約を破棄され、身に覚えのない罪をきせられて国外に追放される。 そして、国境の手前で何者かに事故にみせかけて殺害されてしまうのだ。 王太子と婚約なんてするものか。 国外追放になどなるものか。 乙女ゲームの中では一人ぼっちだったエリザベート。 私は人生をあきらめない。 エリザベート・ノイズの二回目の人生が始まった。 ⭐️第16回 ファンタジー小説大賞参加中です。応援してくれると嬉しいです

【完結】転生7年!ぼっち脱出して王宮ライフ満喫してたら王国の動乱に巻き込まれた少女戦記 〜愛でたいアイカは救国の姫になる

三矢さくら
ファンタジー
【完結しました】異世界からの召喚に応じて6歳児に転生したアイカは、護ってくれる結界に逆に閉じ込められた結果、山奥でサバイバル生活を始める。 こんなはずじゃなかった! 異世界の山奥で過ごすこと7年。ようやく結界が解けて、山を下りたアイカは王都ヴィアナで【天衣無縫の無頼姫】の異名をとる第3王女リティアと出会う。 珍しい物好きの王女に気に入られたアイカは、なんと侍女に取り立てられて王宮に! やっと始まった異世界生活は、美男美女ぞろいの王宮生活! 右を見ても左を見ても「愛でたい」美人に美少女! 美男子に美少年ばかり! アイカとリティア、まだまだ幼い侍女と王女が数奇な運命をたどる異世界王宮ファンタジー戦記。

毒を盛られて生死を彷徨い前世の記憶を取り戻しました。小説の悪役令嬢などやってられません。

克全
ファンタジー
公爵令嬢エマは、アバコーン王国の王太子チャーリーの婚約者だった。だがステュワート教団の孤児院で性技を仕込まれたイザベラに籠絡されていた。王太子達に無実の罪をなすりつけられエマは、修道院に送られた。王太子達は執拗で、本来なら侯爵一族とは認められない妾腹の叔父を操り、父親と母嫌を殺させ公爵家を乗っ取ってしまった。母の父親であるブラウン侯爵が最後まで護ろうとしてくれるも、王国とステュワート教団が協力し、イザベラが直接新種の空気感染する毒薬まで使った事で、毒殺されそうになった。だがこれをきっかけに、異世界で暴漢に腹を刺された女性、美咲の魂が憑依同居する事になった。その女性の話しでは、自分の住んでいる世界の話が、異世界では小説になって多くの人が知っているという。エマと美咲は協力して王国と教団に復讐する事にした。

聖女の娘に転生したのに、色々とハードな人生です。

みちこ
ファンタジー
乙女ゲームのヒロインの娘に転生した主人公、ヒロインの娘なら幸せな暮らしが待ってると思ったけど、実際は親から放置されて孤独な生活が待っていた。

【完結】悪役令嬢だったみたいなので婚約から回避してみた

21時完結
恋愛
春風に彩られた王国で、名門貴族ロゼリア家の娘ナタリアは、ある日見た悪夢によって人生が一変する。夢の中、彼女は「悪役令嬢」として婚約を破棄され、王国から追放される未来を目撃する。それを避けるため、彼女は最愛の王太子アレクサンダーから距離を置き、自らを守ろうとするが、彼の深い愛と執着が彼女の運命を変えていく。

乙女ゲームの悪役令嬢に転生したけど何もしなかったらヒロインがイジメを自演し始めたのでお望み通りにしてあげました。魔法で(°∀°)

ラララキヲ
ファンタジー
 乙女ゲームのラスボスになって死ぬ悪役令嬢に転生したけれど、中身が転生者な時点で既に乙女ゲームは破綻していると思うの。だからわたくしはわたくしのままに生きるわ。  ……それなのにヒロインさんがイジメを自演し始めた。ゲームのストーリーを展開したいと言う事はヒロインさんはわたくしが死ぬ事をお望みね?なら、わたくしも戦いますわ。  でも、わたくしも暇じゃないので魔法でね。 ヒロイン「私はホラー映画の主人公か?!」  『見えない何か』に襲われるヒロインは──── ※作中『イジメ』という表現が出てきますがこの作品はイジメを肯定するものではありません※ ※作中、『イジメ』は、していません。生死をかけた戦いです※ ◇テンプレ乙女ゲーム舞台転生。 ◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。 ◇なろうにも上げてます。

魔術師の妻は夫に会えない

山河 枝
ファンタジー
 稀代の天才魔術師ウィルブローズに見初められ、求婚された孤児のニニ。こんな機会はもうないと、二つ返事で承諾した。  式を済ませ、住み慣れた孤児院から彼の屋敷へと移ったものの、夫はまったく姿を見せない。  大切にされていることを感じながらも、会えないことを訝しむニニは、一風変わった使用人たちから夫の行方を聞き出そうとする。 ★シリアス:コミカル=2:8

記憶喪失になった嫌われ悪女は心を入れ替える事にした 

結城芙由奈@コミカライズ発売中
ファンタジー
池で溺れて死にかけた私は意識を取り戻した時、全ての記憶を失っていた。それと同時に自分が周囲の人々から陰で悪女と呼ばれ、嫌われている事を知る。どうせ記憶喪失になったなら今から心を入れ替えて生きていこう。そして私はさらに衝撃の事実を知る事になる―。

処理中です...