モブの筈がモブじゃない〜乙女ゲームの世界ではモブだったはずなのに全然モブじゃありません〜

あかとんぼ

文字の大きさ
上 下
56 / 83
第三章

留学生

しおりを挟む
パンドラ乙女の主人公達は高等部へと進学して行き、早いもので一年が経った。
アリアローズは無事4年生へと進級し、間もなく新学期を迎える。

高等部では中々熾烈攻略争いをしている様だがアリアローズは直接巻き込まれる事が無い為3年生はとても穏やかに過ごすことができた。
リリアンヌとは宿舎が隣なので休日にお茶をしながら攻略状況を聞いたり愚痴に付き合ったりして進行状況を確認している。
この前は肩を落としてニースベル以外の評価が上がらないと落ち込んでいた。確かにニースベルとは順調そうだが狙うルートとしては他の対象者の好感度も必要なのだから頑張らないといけない。
そういえばカインザークの好感度は?と聞いたらどうやらアリアローズと仲良くなってから何故だか好感度が鰻登りで上がっていくらしい。
私が何かの鍵だったのかは分からないがリリアンヌは勝手に上がるのなら楽なものだとこうしてアリアローズとお茶をしている様だ。

「あ、そうですアリア様最近カインザーク殿下に会いましたか?何だかこの所疲れている様ですけど?」

「ああ、それならこの前お茶をした時に確か隣国から留学生が来られるとか言ってましたね…何かその手続きやら歓迎会やらでお忙しいようですよ」

「あら、それは…」

リリアンヌが何かいい途中ではあったがそれから先は言わなかった。



新学期、アリアローズは教室へと向かうと何やらザワザワと落ち着きない様子だった。

「おはようセリーヌ。如何したの?何か皆浮き足立ってる感じ?」

「アリアおはようございます。そうみたいですね、実は」

「今日転入生が来るんだってよ!」

おはようと口を挟んできたのはジョナサンだった。流石クラスの人気者だけあって誰にでも平等に接してくる。まあ、この人懐っこい性格でなければ幾ら階級は関係ない学園内とはいえ誰にでもは親しまれないだろうが…

「転入生って珍しいですね。この学園は入園から卒園までずっと面子は変わらない物だと思ってたから、辞退者で減ることはあっても入るのは中々大変とも聞いたし、それを踏まえると中々転入生様は優秀なんですね」

「そうそう、実はその転入生って」

席につけーと教室の扉が開きジョナサンは途中で席へと戻ってしまった。

そう言えば転入生って何処かで聞いた様な…

「さて、早速だがこのクラスに転入生を紹介する。入ってー」

ガラガラと扉が開き教師の隣に来た人を見るや否や女生徒が目の色を変えた。転入生は見るからに艶やかな黒髪にシャープな輪郭、目つきは鋭いが少し垂れ目がちになっておりそれですら顔を形成する素敵すぎるパーツの一つに過ぎないと言わせる様な美形である。
これは殿下方に引けを取らないくらい美形だわ…

「アルベルト・ダナ・セクタールです。どうぞよろしく」

ん?アルベルト、、、セクタール!?

「あー、皆は知っていると思うが隣国より留学生として来られたセクタール王国の王太子殿下だ。今日からクラスメイトとしてよろしく頼むぞ」

頼むって、他人事だな…
そうか朝のザワつきようは隣国の王太子とお近付きになりたい人達だったのか。
チラッとジョナサンの方を見るとアリアローズに気づいたらしくパチリとウインクを投げてくれた。いや、その目くばせは要らないんだけどね。

今日の授業が終わると殿下の周りには人だかりが出来ていた。勿論、取り巻きになりたい令息にあわよくばお相手として名乗りをあげたい令嬢やらが殆どだ。皆一様に欲望が透けている様だったが王太子ともなれば慣れているのか軽くあしらっていた。
そのうち遂に席を立ち何処に行くのかと思うとアルベルトはそのまま教室から出ずに真っ直ぐにアリアローズとセリーヌ目掛けて歩いてきた。

「ねえ君達、どっちがレネティシス男爵令嬢?あ、そうだ。この学園案内してもらえる?」



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

オバサンが転生しましたが何も持ってないので何もできません!

みさちぃ
恋愛
50歳近くのおばさんが異世界転生した! 転生したら普通チートじゃない?何もありませんがっ!! 前世で苦しい思いをしたのでもう一人で生きて行こうかと思います。 とにかく目指すは自由気ままなスローライフ。 森で調合師して暮らすこと! ひとまず読み漁った小説に沿って悪役令嬢から国外追放を目指しますが… 無理そうです…… 更に隣で笑う幼なじみが気になります… 完結済みです。 なろう様にも掲載しています。 副題に*がついているものはアルファポリス様のみになります。 エピローグで完結です。 番外編になります。 ※完結設定してしまい新しい話が追加できませんので、以後番外編載せる場合は別に設けるかなろう様のみになります。

逃げて、追われて、捕まって

あみにあ
恋愛
平民に生まれた私には、なぜか生まれる前の記憶があった。 この世界で王妃として生きてきた記憶。 過去の私は貴族社会の頂点に立ち、さながら悪役令嬢のような存在だった。 人を蹴落とし、気に食わない女を断罪し、今思えばひどい令嬢だったと思うわ。 だから今度は平民としての幸せをつかみたい、そう願っていたはずなのに、一体全体どうしてこんな事になってしまたのかしら……。 2020年1月5日より 番外編:続編随時アップ 2020年1月28日より 続編となります第二章スタートです。 **********お知らせ*********** 2020年 1月末 レジーナブックス 様より書籍化します。 それに伴い短編で掲載している以外の話をレンタルと致します。 ご理解ご了承の程、宜しくお願い致します。

前世では美人が原因で傾国の悪役令嬢と断罪された私、今世では喪女を目指します!

鳥柄ささみ
恋愛
美人になんて、生まれたくなかった……! 前世で絶世の美女として生まれ、その見た目で国王に好かれてしまったのが運の尽き。 正妃に嫌われ、私は国を傾けた悪女とレッテルを貼られて処刑されてしまった。 そして、気づけば違う世界に転生! けれど、なんとこの世界でも私は絶世の美女として生まれてしまったのだ! 私は前世の経験を生かし、今世こそは目立たず、人目にもつかない喪女になろうと引きこもり生活をして平穏な人生を手に入れようと試みていたのだが、なぜか世界有数の魔法学校で陽キャがいっぱいいるはずのNMA(ノーマ)から招待状が来て……? 前世の教訓から喪女生活を目指していたはずの主人公クラリスが、トラウマを抱えながらも奮闘し、四苦八苦しながら魔法学園で成長する異世界恋愛ファンタジー! ※第15回恋愛大賞にエントリーしてます! 開催中はポチッと投票してもらえると嬉しいです! よろしくお願いします!!

キャンプに行ったら異世界転移しましたが、最速で保護されました。

新条 カイ
恋愛
週末の休みを利用してキャンプ場に来た。一歩振り返ったら、周りの環境がガラッと変わって山の中に。車もキャンプ場の施設もないってなに!?クマ出現するし!?と、どうなることかと思いきや、最速でイケメンに保護されました、

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!

桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。 「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。 異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。 初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!

できれば穏便に修道院生活へ移行したいのです

新条 カイ
恋愛
 ここは魔法…魔術がある世界。魔力持ちが優位な世界。そんな世界に日本から転生した私だったけれど…魔力持ちではなかった。  それでも、貴族の次女として生まれたから、なんとかなると思っていたのに…逆に、悲惨な将来になる可能性があるですって!?貴族の妾!?嫌よそんなもの。それなら、女の幸せより、悠々自適…かはわからないけれど、修道院での生活がいいに決まってる、はず?  将来の夢は修道院での生活!と、息巻いていたのに、あれ。なんで婚約を申し込まれてるの!?え、第二王子様の護衛騎士様!?接点どこ!? 婚約から逃れたい元日本人、現貴族のお嬢様の、逃れられない恋模様をお送りします。  ■■両翼の守り人のヒロイン側の話です。乳母兄弟のあいつが暴走してとんでもない方向にいくので、ストッパーとしてヒロイン側をちょいちょい設定やら会話文書いてたら、なんかこれもUPできそう。と…いう事で、UPしました。よろしくお願いします。(ストッパーになれればいいなぁ…) ■■

皇帝の番~2度目の人生謳歌します!~

saku
恋愛
竜人族が治める国で、生まれたルミエールは前世の記憶を持っていた。 前世では、一国の姫として生まれた。両親に愛されずに育った。 国が戦で負けた後、敵だった竜人に自分の番だと言われ。遠く離れたこの国へと連れてこられ、婚約したのだ……。 自分に優しく接してくれる婚約者を、直ぐに大好きになった。その婚約者は、竜人族が治めている帝国の皇帝だった。 幸せな日々が続くと思っていたある日、婚約者である皇帝と一人の令嬢との密会を噂で知ってしまい、裏切られた悲しさでどんどんと痩せ細り死んでしまった……。 自分が死んでしまった後、婚約者である皇帝は何十年もの間深い眠りについていると知った。 前世の記憶を持っているルミエールが、皇帝が眠っている王都に足を踏み入れた時、止まっていた歯車が動き出す……。 ※小説家になろう様でも公開しています

処理中です...