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第1章
夜会3
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待つ間またチラチラと視線を感じる。
中には挨拶で声を掛けてくる令息もおり今日は何処となく周りが変だ。皆んな進級も間近で浮かれてるのだろうか。
「レネティシス嬢、こんにちは。今日はこの後のダンスの予定はお決まりで?もし宜しければご一緒頂けませんか?」
見た事のない男性なので学年は違うのだろう。挨拶だけかと思ったらまさかダンスの誘いを貰えるとは…でも今日は
「ご機嫌よう。あの、申し訳っ」
「アリアローズ嬢待たせたな、うん?彼女に何か用か?」
2人の間に割り込むようにカインザークが入ってきたかと思うとそのままアリアローズを後ろに隠すように立ちはだかった。
「あっ、いや、いえ、滅相もありません!で、ではレネティシス嬢失礼します!」
「え、ええご機嫌よう…
あの、カインザーク殿下?何故そこに立つんでしょう。まだ話途中だったのですが…」
一応ダンスは断るつもりだった。
殿下と踊るだけでも疲弊しそうだから後はゆっくりしていたかった。
でもパーティーといえば婚活の場とも聞くし相手を探すには絶好の機会。殿下に禁止と言われていても話して相手を知っておくくらいは良いかと思っていたのに…
「アリアローズ嬢はあの様な男が好みなのか?」
「いや、そう言う訳では…」
少し不機嫌そうにこちらを見つめている。禁止と言われたのに婚活をしようとしてたのがバレたのだろうか。それは不味い!ハラハラしながらカインザークの目を見ると一瞬止まったかと思うと思いっきり逸らされてしまった。
「全くー、カインはダメだね。アリアローズ嬢今日は一段と素敵だね。これは他の男も見惚れてる訳だ。フフっ、ほらカインもそう思うだろ?」
ニコッとニースベルが茶化しながらカインザークの肩を叩き何か促している。2人が並ぶ姿は見慣れている筈だがやはり眼福である。
「ま、まあ、そうだな…似合ってる」
「あ、ありがとうございます。殿下も素敵ですよ」
照れながら言われるとこちらも何だか恥ずかしくなってくる。
「アリア様、今日の衣装とっっても素敵ですね!カインザーク殿下と並ぶとお二人とも映えますね」
確かに、セリーヌの選んでくれたドレスはカインザークの衣装ととてもよく合いお互いを引き立てている様に見える。
セリーヌは何か天賦の才でもあるのではないだろうか。
隣ではニースベルとリリアンヌがとても幸せそうな雰囲気を醸し出している。近くにいると流れ弾に当たりそうなくらい幸せオーラが飛んでいる。聞いていた通りニースベル殿下といい感じらしい。
ふう、と一息つきアリアローズはチラッと会場に通じる扉に目をやる。
さっきリザベラがドアの向こうに見えたがとても荒れていた。取り巻き達は大変そうだったなぁ…
リザベラの姿は遠くでも直ぐにわかった。何故なら彼女は悪役令嬢のテンプレという様な真っ赤なドレスに豪華な宝飾品を付け、しっかりと巻いた縦ロールをしていたからだ。
ゲームのシナリオに沿って動いているであろうリザベラが少し可哀想になってくるが例えシナリオが変わったとしてもキャラが変わる訳ではないので相変わらずの悪女なのだろうけれど…
「さあ、行こうか。リリアンヌ嬢どうぞ」
優しくリリアンヌをエスコートするニースベル殿下は流石王族である。とても自然で流れる様なエスコートだ。
「んん、さて、私達も行こう。アリアローズ嬢お手をどうぞ」
仕切り直しとばかりに咳払いすると、笑顔でアリアローズに向き直す。
これだけ見れば本当格好いい王子様だ。いや、王子なんだけれども…
中には挨拶で声を掛けてくる令息もおり今日は何処となく周りが変だ。皆んな進級も間近で浮かれてるのだろうか。
「レネティシス嬢、こんにちは。今日はこの後のダンスの予定はお決まりで?もし宜しければご一緒頂けませんか?」
見た事のない男性なので学年は違うのだろう。挨拶だけかと思ったらまさかダンスの誘いを貰えるとは…でも今日は
「ご機嫌よう。あの、申し訳っ」
「アリアローズ嬢待たせたな、うん?彼女に何か用か?」
2人の間に割り込むようにカインザークが入ってきたかと思うとそのままアリアローズを後ろに隠すように立ちはだかった。
「あっ、いや、いえ、滅相もありません!で、ではレネティシス嬢失礼します!」
「え、ええご機嫌よう…
あの、カインザーク殿下?何故そこに立つんでしょう。まだ話途中だったのですが…」
一応ダンスは断るつもりだった。
殿下と踊るだけでも疲弊しそうだから後はゆっくりしていたかった。
でもパーティーといえば婚活の場とも聞くし相手を探すには絶好の機会。殿下に禁止と言われていても話して相手を知っておくくらいは良いかと思っていたのに…
「アリアローズ嬢はあの様な男が好みなのか?」
「いや、そう言う訳では…」
少し不機嫌そうにこちらを見つめている。禁止と言われたのに婚活をしようとしてたのがバレたのだろうか。それは不味い!ハラハラしながらカインザークの目を見ると一瞬止まったかと思うと思いっきり逸らされてしまった。
「全くー、カインはダメだね。アリアローズ嬢今日は一段と素敵だね。これは他の男も見惚れてる訳だ。フフっ、ほらカインもそう思うだろ?」
ニコッとニースベルが茶化しながらカインザークの肩を叩き何か促している。2人が並ぶ姿は見慣れている筈だがやはり眼福である。
「ま、まあ、そうだな…似合ってる」
「あ、ありがとうございます。殿下も素敵ですよ」
照れながら言われるとこちらも何だか恥ずかしくなってくる。
「アリア様、今日の衣装とっっても素敵ですね!カインザーク殿下と並ぶとお二人とも映えますね」
確かに、セリーヌの選んでくれたドレスはカインザークの衣装ととてもよく合いお互いを引き立てている様に見える。
セリーヌは何か天賦の才でもあるのではないだろうか。
隣ではニースベルとリリアンヌがとても幸せそうな雰囲気を醸し出している。近くにいると流れ弾に当たりそうなくらい幸せオーラが飛んでいる。聞いていた通りニースベル殿下といい感じらしい。
ふう、と一息つきアリアローズはチラッと会場に通じる扉に目をやる。
さっきリザベラがドアの向こうに見えたがとても荒れていた。取り巻き達は大変そうだったなぁ…
リザベラの姿は遠くでも直ぐにわかった。何故なら彼女は悪役令嬢のテンプレという様な真っ赤なドレスに豪華な宝飾品を付け、しっかりと巻いた縦ロールをしていたからだ。
ゲームのシナリオに沿って動いているであろうリザベラが少し可哀想になってくるが例えシナリオが変わったとしてもキャラが変わる訳ではないので相変わらずの悪女なのだろうけれど…
「さあ、行こうか。リリアンヌ嬢どうぞ」
優しくリリアンヌをエスコートするニースベル殿下は流石王族である。とても自然で流れる様なエスコートだ。
「んん、さて、私達も行こう。アリアローズ嬢お手をどうぞ」
仕切り直しとばかりに咳払いすると、笑顔でアリアローズに向き直す。
これだけ見れば本当格好いい王子様だ。いや、王子なんだけれども…
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